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愛しのパリ――当館所蔵常玉作品展

アンカーポイント

発表日:2017-03-30

更新日:2017-05-19

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愛しのパリ――当館所蔵常玉作品展
イベント日時
場所
台湾台北市中正区南海路49号 
愛しのパリ――当館所蔵常玉作品展

愛しのパリ――当館所蔵常玉作品展

常玉(1901-1966)は、字を幼書といい、中国四川省の順慶(現在の南充)の裕福な家庭に生まれました。幼い頃より、書の大家、趙煕について書を学び、伝統的な中国山水画も学んで、常玉は蔡元培氏の提唱した「勤工倹学(勉学と仕事の両立)」計画により、芸術家への道を歩み始めました。

1921年、常玉は、この計画に参加し、同時代の徐悲鴻、林風眠、潘玉良などと並ぶ、中国で最も早期のフランス留学生の一人として、パリに向かいました。ただ、他の芸術家たちと違い、常玉は正規の美術学院には入らずに、自由な雰囲気に満ちていたアカデミー・ドゥ・ラ・グランド・ショミエール(Académie de la Grande Chaumière)で、気ままに習作したのでした。

愛しのパリ――当館所蔵常玉作品展

そして、浮世離れした常玉は、モンパルナス(Montparnasse)のカフェに入り浸っていました。1964年、常玉は、教育部(省)に請われて台湾で教壇に立つことや国立歴史博物館で個展を開くことになっていましたが、故あって来ることが叶わず、1966年、ガス中毒によってパリで生涯を閉じました。

常玉の作品は、幼い頃に身に着けた書や中国の伝統山水画の影響を受けて、その筆遣いには書の流暢な筆運びが見え隠れして、「書法入画(書の技を取り入れた画法)」の独特な趣があります。また、中国で最も伝統的な筆記用具である毛筆を繰り返し用いて、一筆一筆、氏の目に映る現代の裸婦を描きました。

愛しのパリ――当館所蔵常玉作品展

常玉の作品に見出されるアジア的要素には、中国の文人画が持つ超俗的な雰囲気や尊大さではなく、中国の伝統的な工芸の見せる色鮮やかな装飾性に満ちています。氏の作品は、招福金運のシンボルである金銭文様や寿字文様、盤長文様を大量に用いるとともに、赤色に金色を配して、お祭りのような賑やかな雰囲気を際立たせています。また、静物画を描く時には、常玉はいつも「泥中にあって汚れなき」蓮の花や、「品行高潔」で「一節一節伸びて行く」竹、或いは世俗離れして「菊を采(と)る東籬(とうり)の下」と読まれた菊を題材としました。その色使い、構図、題材、どれをとっても、そこには伝統的な中国芸術の強い影響を見ることができます。その他に、動物などをテーマにした作品や、現代的な技法を駆使して描いた、郷愁満ち溢れる「北京馬戯(北京のサーカス)」などもあります。このような東洋と西洋の美学を兼ね備えた表現手法は、常玉らしい芸術の魅力を形成しました。

当館は、常玉の晩期の油絵作品49点、コレクターから購入したデッサン3点を所蔵しています。これらは、常玉の晩期における人体画、静物画、動物と風景画の三大画題を網羅し、何れも良質で、由来の確かな常玉コレクションとして世に知られています。常玉の没後50周年に当たり、当館では文化部(省)に対して、教育部(省)より当館にもたらされたこれら貴重な文化財の修復補助を申請しました。その中でも、「菊」と「四女裸像」の2点は、その芸術的な価値により重要古物とされています。今回の展覧会では、常玉の作品の修復過程についても一堂にご覧頂きます。

「愛しのパリ――当館所蔵常玉作品展」は、当館で個展を開くことができずフランスで生涯を閉じた常玉のための個展として、より多くの方々に常玉の絵画の魅力を間近にご覧頂く展覧会であるのみならず、当館では、「博物館法」の成立以来、国公立博物館で初めて、所蔵資料の修復過程を展示するものであり、今回の展覧会を通して、より多くの方々に国内の文化資産の保存の重要性とその過程を知って頂きたいと存じます。

国立歴史博物館
10066 台北市南海路49号
TEL: +886-2-23610270

http://www.nmh.gov.tw/jp/exhibition_2_1_22_826.htm

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