紹介
台湾省における専売事業の発展は、日本統治時代の1901年、台湾総督府が当時の台湾製薬所と台湾塩務局、台湾樟脳局を合併して「台湾総督府専売局」を設立したのがはじまりです。日本統治時代の専売品は、タバコ、酒類、アヘン、食塩、樟脳、マッチ、石油、度量衡器の8種類でした。専売事業の業務量が多かったことから、1913年にビル建設に着工し、台湾総督府営繕課技師の守山松之助(1870~1949)の設計により1922年に竣工しました。建築スタイルは総督府と似ており、当時の民間有力者たちが模範とした建物です。建物は上空から見るとL型で、正面には半円型の妻壁、玄関ホール上にはドーム型の屋根、正面と左右の翼廊には立体型の柱が採用され、荘厳かつ華麗な外観を呈します。
台湾光復(日本統治からの開放)後は、政府が財源を確保して庶民に対する租税を軽減するために、台湾省行政長官公署が専売制度を継承し、「台湾省専売局」に変更されました。業務範囲は、タバコ、酒、樟脳、マッチ、度量衡器の5種類に縮小、1968年にはタバコと酒のみとなりました。「煙草・酒公売局」は、タバコ・酒の生産、流通から販売までを担い、生産及び販売によって庶民のニーズを満たし、専売に関する法令を執行しています。所管機関や販売機関、認可された小売店は台湾各地に拡がって毎年卓越した業績をあげており、公売事業の利益による国庫納付金は、国全体でも重要な徴税収入になっています。
近年のグローバル化と自由化の潮流に対応し、政府は2002年1月1日より専売制度を廃止し、2002年7月1日に「台湾菸酒股份有限公司」に変更しました。台湾の専売事業の歴史を見守ってきたこの建物は1998年、内政部から国の史跡として指定されました。