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台北観光サイト

TAIPEI 2015冬季号 Vol.02—艋舺旧市街の「前世」と「現世」

アンカーポイント

発表日:2016-06-22

更新日:2016-09-23

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7_太和餅鋪鳳梨球是創店至今熱賣的產品。(楊智.jpg文 鍾文萍  
写真 楊智仁

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▲龍山寺は艋舺の最大の廟であり、名の知れた台北市の観光スポットでもある。(写真/楊智仁)
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▲270 年もの間、「台北一の名寺」龍山寺は常に人出が多く、香が絶えることはない。(写真/楊智仁)

「艋舺」と聞いて思い浮かぶのは?龍山寺、青草巷、剥皮寮、美食揃いの新富市場?萬華の旧称である艋舺は、淡水河口という地理的条件に恵まれ、清代に台南、鹿港に次ぐ台湾第三の都市にまで成長、台北発展の始まりの地といえます。今もひと昔前の繁栄の面影を残す場所として多くの台北一、台湾一、世界一の称号を有します。古い廟や古い街並み、古い市場や歴史ある名店が集まってレトロな魅力を生み、百年を超える歴史のある文化を有する特別な趣は、丸一日かけてじっくり見て回るにふさわしい場所です。
艋舺迺透透(艋舺ぶらり旅)
龍山寺→青草巷→新富市場(阿婆油飯、三六圓仔店、三水食品行)→剥皮寮歴史街区→太和餅舖→艋舺隘門跡・台北仁済院
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龍山寺
台北一の名寺院に詣でる
龍山寺は艋舺地区最大の寺院であり、台北が誇る観光名所でもあります。1738 年(乾隆3 年)に建立され、祭祀や祈祷、会合、訴訟で神様の判断を仰ぐ際、地区間の抗争に至っても、艋舺の人々はまずここ龍山寺に集まりました。歴史的、文化的には、台北で最初に栄えた町にあり、その悠久の歴史は台北の発展の縮図のようなもの。建築様式としては、北を背に南を正面に向き「回」の字の形をした「三進四合院」と称される中国の伝統的な宮殿様式で、綿密な設計と精巧な彫刻、豪華絢爛な外観は台湾一と言われます。
「一に台南、二に鹿港、三に艋舺」として台湾第三の都市と呼ばれた艋舺の繁栄に支えられ、「台北一の名寺院」には270 年以上参拝者が絶えることはありません。山門をくぐれば、軒上の天女や精密な彫刻、祈りを捧げる人々と線香の煙は、今も全く変わりません。変わったのは年月を経て信徒が増え、金髪に青い瞳の「阿兜仔(西洋人)」さえ訪れるようになったこと。現地ガイドの高伝棋さんは、龍山寺の神威は遥か彼方に伝わるため、金運、子宝、健康、結婚、どんなことでも各仏殿の神様が人々の思いをくみ取り決めてくれると笑って言います。信徒にとって龍山寺はありがたい「総合病院」のような存在で、応じてくれたことには必ずなんらかの応えがあります。
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青草巷(薬草問屋街)
素朴な佇まいの中にさわやかな香り
龍山寺の外壁沿いに続く約45 mの路地は、清朝から続く古い街です。信徒が霊験あらたかな龍山寺の薬箋(薬みくじ)を引いた後に外で薬草を買ったため、徐々に「救命巷(救命通り)」と呼ばれる薬草専門の商店街ができました。のちに薬箋が廃止され、西洋医学の普及もあって、通りの規模は縮小したものの、薬草の青色があふれるこの場所には深い文化的魅力があります。作家の龍応台氏は青草巷を「素朴な佇まいにさわやかな香り」と評しました。天井から光が差し込み、かすかに反射する日光と、風通しがよく冷暗な空間は、薬草の鮮度を保ち、乾燥や腐敗を防ぐための独自の設計。病気用の薬のほか、現代人が重視する食事療法や美容のためのスープ、夏バテ防止の飲み物など、全て調合は店ごとに異なります。近年、食の安全が疑問視されるような事件が起き、薬草に改めて注目が集まる中、青草巷はその名にひかれた観光客と長年常連の地元民に支えられ香りを放ち続けます。

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▲ここ数年の食の安全問題で、薬草や医食同源の概念が改めて重視されている。(写真/楊智仁)
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新富市場周辺で美食三昧
市場が閉まるのは昼過ぎですが、超人気の「阿婆油飯」が目当てなら朝早い方が安心です。新式の衛生基準と現代建築様式を兼ね備えた初の公営市場として80 年前に完成した新富市場。「三角窓」と称される市場の角の最高の立地条件の阿婆油飯は数年前「No.1 屋台」の称号を手にしました。中華風おこわ「油飯」は、まず3 時間水に浸けたもち米を強火で蒸しておきます。また別の鉄鍋で椎茸、細切りにした皮付きバラ肉、干しエビ、素揚げしたエシャロットに醤油を加えて炒めます。そこに炊き上がったもち米を入れ、一粒一粒に醤油の色がつくまで混ぜ、味を調え、最後に木桶に移して保温すればもちもちの油飯の出来上がり。この店のもう一つの絶品メニューは、洗った豚の大腸に油飯を詰めた「糯米腸」で、プリッと薄い皮が食感のアクセントとなり油飯以上に人気の逸品です。

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▲新富市場の阿婆油飯は数年前に台北市の「天下第一屋台」の称号を得ている。(写真/楊智仁)

市場の外にも老舗が集まります。「三六圓仔店」は蒸したタロイモで作ったお持ち「芋粿巧」、亀の形をした「紅亀粿」、すあまに似た「鳳片糕」など、お供え用の菓子専門店でしたが、観光客の増加に伴い「湯円(白玉団子)」や「剉冰(かき氷)」の販売も始めました。濁水渓産のもち米を使った湯円は柔らかくもっちりして、「甜湯(甘いスープ)」や剉冰の定番のトッピングです。「三水食品花生行」は台北でも珍しい手作りの炒り落花生や手絞りのごま油を扱う老舗で、油で炒った油炒花生、香辛料のきいた五香花生などの落花生は大粒でふっくらまんまる。今では珍しい「蛋酥花生(落花生の豆菓子)」もあり、さくさくで絶品。ついつい手が止まらなくなってしまうのです!
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剥皮寮歴史街区
古き日の艋舺を歩く
「剝皮寮」というこの変わった名前は木材や獣の「皮」を「剥ぐ」ことに由来するとか。清朝に形成され、200 年以上の歴史が1ある剥皮寮は、一本の通りではなく、広州街、康定路、昆明街に囲まれた一角のことです。清朝のままの街の形、中華民国成立初期の伝統的家屋、日本統治時代に区画整備された整然とした街並みが保存され、戦後の改築を経た様子はさながら艋舺の歴史の縮図のようです。交通の要所という土地柄、ここには有名人の住居や有名店が沢山あります。呂阿昌医師宅、革命家章炳麟の訪台時の住居、太陽製本所、秀英茶室や日祥旅社など、この場所を歩けばかつての賑やかな昔の艋舺にやってきたかのようです。かの有名な迪化街に華やかさは劣るものの、保存の良さという点では剝皮寮も一見の価値があります。

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▲剥皮寮はまるで艋舺の歴史の縮小版、じっくり見て回りたい。(写真/楊智仁)
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太和餅舖老字号
甘い中華菓子を味わう
1946 年、旧太平市場に店を構えて早半世紀。創業以来、中が空洞の「膨餅」やパイナップルを使った「鳳梨球」や「鳳梨酥」、肉入りのお菓子「古早肉餅」などが人気で、中でも膨餅はこの店の名物の一つ。お椀に入れて割り潰し、熱湯をかけて食べるのですが、アレンジとして落花生や小豆のスープを注げば更に栄養満点、甘い香りが広がります。物のない時代は、龍山寺の参拝帰りや、朝ごはん、夜食、はたまた坐月子(産後の休養期間)に食べるごちそうスイーツでした。

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▲剥皮寮の下町エリアを行けば、まるで華やかかりし時代の艋舺にいるかのよう。(写真/楊智仁)

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▲太和餅舗のお菓子「鳳梨球」は創業以来ずっと人気の商品。(写真/楊智仁)
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艋舺隘門・台北仁済院
乱闘シーンの多い映画『艋舺(モンガに散る)』の中で、ひっそりと立つ小さな門が派閥抗争の場面でひときわ目を引いたことに、するどい観客は気づいたでしょう。住民の安全を守るため、初期の艋舺政府は貴陽街と西昌街が交差する地点と広州街223 巷の入口に隘門(敵の侵入を防ぐ門)を設置し、抗争や盗賊の来襲時に門を閉じて侵入を防ぎました。残念ながら数年前に門は撤去され、当時を忍ばせるモザイク壁画が残るのみです。

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▲台北仁済院は台北の救済事業発展の貴重なあかし。(写真/楊智仁)
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▲艋舺に以前あった2 つの隘門は撤去され、ただモザイク壁画が残るのみ。(写真/劉佳雯)
歴史的文物が姿を消すのは悲しいですが、幸い隘門近くの台北仁済院は残っています。かつては男尊女卑だったので、沢山の女の赤ん坊が水に沈められたり捨てられたりしました。そこで板橋林家の4 代目林維源は1866 年に捨てられた女の赤ん坊を保護する保嬰局を設立。1870 年に淡水庁同知職の陳培桂が名を育嬰堂と改め救済の範囲を広げ、さらに回春院、養済院、同善堂を作ります。日本統治時代には孤児、身体障害者、病人、けが人、老人を保護する施設に統合。孤児院や老人ホームのようなこれらの施設は、当時としては相当の規模の社会福祉施設で、これが今の台北仁済院の前身です。今は参観可能な展示室もあります。旧仁済院の門近くには「淡北育嬰堂碑」が立ち、艋舺に残存する数少ない古碑であると共に、台北の社会救済事業の発展を伝える貴重な資料です。

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▲現在、旧仁済医院の門近辺には、かつての艋舺の賑わいを示すものとして「淡北育嬰堂碑」が残るのみ、これは台北市の救済事業発展の貴重なあかし。(写真/楊智仁)
龍山寺
広州街211 号
(02)2302-5162

三六圓仔店
三水街92 号
(02)2306-3765

三水食品花生行
和平西路3 段75 号
(02)2306-3785

剥皮寮歴史街区
広州街と康定路が交わる地点
(02)2336-1704

太和餅舖
康定路300 号
(02)2306-9629

台北仁済院
広州街243 号
 

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