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TAIPEI 2015冬季号 Vol.02—朝から晩まで何でも美味しい 老台北人の愛する伝統の味

アンカーポイント

発表日:2016-06-22

更新日:2016-09-23

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文・写真 高伝棋(台北旧市街シニアツアーガイド)
艋舺(現萬華)地区の歴史や文化、文化的景観、地元グルメは枚挙にいとまがありません。しかし真に艋舺を理解し、自力で艋舺全体を回りきれる国内外の観光客はあまりいませんでした。ところが2010 年に映画『艋舺(モンガに散る)』が上映されると、台北の旧市街の文化的景観が知られるようになり、台湾に萬華観光ブームが起こります。
この地を訪れる国内外の観光客は、龍山寺で平安や幸福、成功を祈願するほか、映画のロケ地へ「巡礼」に出かけます。馬如龍扮するGETA 親分の家、剥皮寮歴史街区の「原太陽製本所」や、主人公らが義兄弟の契りを結ぶ「艋舺祖師廟」、ヤクザとの大乱闘があった「華西街観光夜市」と「古山園旅社近くの路地」、主人公がヒロインと出会い恋に落ちる「宝斗里」など、どれも人気のスポットです。

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▲艋舺の歴史的、文化的景観は数も種類も多いが、自力で艋舺全体を回りきれる観光客は少ない。

2_2010年電影《艋舺》上映,帶動艋舺周邊的觀光人次及經濟效益.jpg
▲2010 年、映画『艋舺』により艋舺周辺は観光客増と経済効果に沸いた。
お腹が鳴ったら映画
グルメに舌鼓
ロケ地巡りも終わり、お腹がすいたら、映画に登場したご当地グルメで胃袋を満たしてはいかがでしょう。「豆導」の愛称で知られる『艋舺』の監督鈕承澤氏は、映画に登場する食べ物は、鶏もも肉はロケ班が作ったものだが、「肉粥」(台湾風肉入り粥)、「胡椒餅」(台湾風おやき)、「魷魚羹」(イカのとろみスープ)、「青草茶」(ハーブティー)など他の食べ物は全てこの地に実際にあるものだと言います。また撮影中、地元の人や店の人はとても親切で、美味しい食べ物や飲み物をしばしば撮影チームに差し入れしてくれ、監督は非常に感動したそうです。これこそ300 年間艋舺の人々が失わなかった温かさと人情です。この映画のおかげで観光客が増え、客足は何倍にもなりました。

3_1940年代,由日本畫家立石鐵臣所繪的艋舺街頭飲食露店.jpg
▲1940 年代に日本人画家立石鉄臣が描いた艋舺の街頭に並ぶ屋台。
 
老台北人に共通する
暮らしの記憶
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▲開拓初期の台湾の食文化の多くは廟周辺から始まった。

萬華中部の艋舺地域は萬華北部の西門町にある阿宗麺線や上海老天禄のように全国規模の有名グルメはありませんが、夜市や小吃(シャオチー)の店の密度と数では全国トップクラスですし、台北でよく知られているものも数え切れません。
朝5、6 時から夜中の2、3 時まで、艋舺に来ればいつでもいろいろなグルメがいっぱい。昔ながらの小吃の店は日本統治時代中期(1920 年代)か戦後初期(1950 年代)に作られたものがほとんどで、少なくとも平均60 年以上の歴史があり、3 代目、4 代目と引き継がれる老舗も数知らず。台北発祥の地である艋舺の地元グルメとその味は、昔ながらの「老台北人」に共通する暮らしの記憶となっています。
艋舺の主要な寺院の入口付近で売っている食べ物や小吃は、いっそう地元っ子の生活や文化を体現しています。かつて寺院前は職探し、情報の通達、意見交換の中心となる場所だったため、古今を通じて「ボリューム満点」の店や「量より質で勝負」の屋台や小吃の店が集まるのです。

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▲龍山寺付近に軒を連ねるのは安くて美味しいお店ばかり。
寺院前に広がる食文化
清朝から現代まで、龍山寺の「薬箋」(薬みくじ)で処方された薬草を買うため発展した薬草問屋街「青草巷」や、季節の行事と冠婚葬祭に必要な台湾の伝統的なお菓子やお餅の店以外にも、龍山寺と艋舺公園の付近一帯には福州元祖胡椒餅、三六圓仔店、蘇家肉円油粿、頂皇家素食水煎包、両喜号魷魚羹、香佳旗魚米粉湯、淞品土鶏肉、太和餅舖など有名なお店があります。

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▲「艋舺ぶらり旅」の参加者がガイド役の筆者(中央の黒い洋服の男性)の解説を真剣に聞き入っている様子。(撮影/黄礼村)
ほかにも、艋舺祖師廟近くには原汁排骨大王、三味食堂、冬仙堂冬瓜茶飲、三十三間堂日本料理、直興市場の入口で油粿(餅菓子)や肉羹湯(肉つみれのスープ)を売る萬華祖伝老店などがあり、艋舺青山宮の近くには黄合発米粿店、一肥仔麺店、阿猜嬤甜湯鹹円、艋舺古早味涼粉、艋舺鹹粥店があります。
夜市や市場の小吃
台湾初の国際観光夜市もここ艋舺にあります。華西街観光夜市の中には多くの小吃の店があり、台南担仔麺、小王清湯瓜仔肉、北港甜湯、大鐤肉羹、蛇肉湯、昶鴻麺店、源芳割包などなど、どれもやみつきになる味ばかり。リピーターがどんどん増えています。
夜市付近の有名な広州街や梧州夜市には、懐念愛玉冰、頂級甜不辣、龍都冰果室、豊原排骨麺、阿嬌姨烤魷魚、宝字号猪脚などの店があります。今年ちょうど80 年になる新富市場付近一帯は、阿婆油飯、大豊魚丸、金禾寿司、丸合生魚片、三水食品花生行の落花生など、どれも長い歴史があり、古くから地元で愛された味です。
しかし艋舺グルメはこれだけではありません。近くの剥皮寮歴史街区一帯にある周記肉粥、阿秀伝統切仔麺、進財切仔麺、一心鵝肉、龍来果汁はどれもグルマンお墨付きの地元の味です。剥皮寮を離れて艋舺と下崁が隣り合う和平西路3 段に行くと、艋舺阿龍炒飯(麺)、熱海現撈海鮮店、李家滷鶏脚、萬華陳記専業蚵仔麺線、海天香餃、布袋鮮の蚵などのお店があります。そして艋舺大道には萬華仙草冰、柳州螺螄粉も。艋舺ではわざわざ苦労してグルメを探さなくても、二、三歩歩けば美食家一押しの美味しい店に行き当たるのです。
「艋舺迺透透(艋舺ぶらり旅)」ツアーで地元グルメを堪能
今年の8 月~ 9 月、台北市は艋舺公園の活性化のため、艋舺観光とインデプス・トラベル(特定の地域を掘り下げる旅)のPR 活動を行いました。その中で筆者は市と協力し、市民とバックパッカーに向けた定期的な週末のガイドツアーを開催しました。街と地図をリンクさせ、艋舺の昔と今の姿を探るため、参加者を現地の風景をご案内します。

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▲「三水食品花生行」の五香花生は大粒でふっくら。(撮影/楊智仁)
ガイド活動では時代を越えた艋舺の風景や老舗、骨董市を探索するほか、道中で参加者に地元グルメを味わってもらいます。天順青草行の青草茶、三六圓仔店の「芋粿巧」(タロ芋の餅)と「草仔粿」(草餅)、太和餅舖の「起司乳酪」(チーズ菓子)、三水食品花生行の「塩炒花生」(塩落花生)、新富市場の阿婆油飯の「油飯」(おこわ)などなど、いずれも古い歴史があるだけでなく、各方面で賞を獲得したり、メディアの取材を受けたりしています。中でも三水食品花生行の落花生は早くからエバー航空やチャイナエアラインに認められ、機内用スナックとして使われています。
先祖から数えて10 代あまり、300 年以上の歴史を持つ「老台北」に住む筆者としては、政府と民間がこれからも手を取り合って、艋舺の見どころ、特に地元の飲食や小吃を台湾人に紹介し、ひいては世界各国の人たちに見てもらい、世界中の美食家に艋舺で本場の台北グルメを味わってもらうことを願ってやまないのです。
8_三水街仍存在許多傳統飲食或販售乾貨的商店.jpg
 ▲三水街には伝統の食べ物屋や乾物店が多数現存。
 

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