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TAIPEI 2015冬季号 Vol.02—大稲埕1920 年代の風景を再現 伝統に新風を吹き込む周奕成氏

アンカーポイント

発表日:2016-06-22

更新日:2016-09-23

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文 金康嵐 
写真 高讃賢
1920 年代への憧憬、そして綿密な長期計画によって、大稲埕の華やぎが再現されました。仕掛け人は「小芸埕(Art Yard)」の創設者、周奕成氏です。

1_小藝埕創辦人周奕成,為大稻埕這百年街區注入新活水.jpg
▲小芸埕Art Yard の創設者周奕成氏が、大稲埕の100 年以上の歴史を持つこの街並みに新風を吹き込む。(写真/高讃賢)
映画『大稲埕』で、豬哥亮演じる朱教授のセリフに「あの時代は、我々台湾人が活気に満ちた黄金時代だった。皆必死に働き大いに稼いだ。こここそが大稲埕なんだ」というものがあります。また「台湾新文化運動の父」と呼ばれる蒋渭水氏が1921 年に大稲埕に台湾文化協会を設立したことからも、当時の大稲埕が経済面、文化面で輝いていたことがわかります。
1920 年代への憧れを抱いた周氏は、大稲埕に拠点を設けるべく何軒かの年代物の物件を借りました。そしてジョイントベンチャーを通して文化クリエイティブ方面の人材を呼び寄せ、100年以上の歴史を持つこの街に若い世代の創意と活力を取り入れています。

2_創意的特色小店,隱藏在街區內,為遊逛的人們帶來小小驚喜.jpg
▲通りにたたずむ素敵な店は、観光客にとってのささやかなサプライズ。(写真/高讃賢)
ミクロ創業基地を作り 
伝統に新たなコンセプトを
周氏は、大稲埕は政府と民間の努力で独特の歴史的風情や外観を保ってはいるが、外見だけでなく中身の充実こそが大稲埕の当時の賑わいをよみがえらせる唯一の方法だと考えています。伝統産業が次第に衰退していく現代において、既存の方法のみではこの100 年前の商業の中心地だったこの地域を活性化させ続けることは不可能です。このため、周氏は大きな方針として「新たな活力と創意を取り込み、古い伝統とリンクさせる」ことを掲げています。
この理念は、周氏が「小芸埕」の構想を練る以前からのもので、将来やる予定のプチ起業のベースは、いずれも大稲埕の伝統的な5 業種――茶、布、農産物(漢方薬、各地の商品)、戯曲(歌仔戯、南北管音楽、布袋戯)、そして建築物と関連したものでなければならないと決めていました。続いて周氏は、各業種の下にある産業の鎖に欠けている部分を探し出し、新しくここに越してくる起業者にパズルの最後のピースのようにそこを埋めてもらいました。
「紡績業でいうと、台湾では製造面は非常に強いのですが、生地のデザインはまだまだです。ですから小芸埕にはプリント生地の店『印花楽』に入ってもらいました。」と周氏は例を挙げます。また「お茶なら、大稲埕には茶葉の販売店はあってもお茶が飲める茶芸館はなかった」ため、民芸品店「民芸埕」の2 階には「南街得意」が、小芸埕の2 階には「ASW TEA HOUSE」などがあり、大稲埕の茶葉業者を支えつつ、台湾茶を楽しみたい若い世代や海外からの観光客を引きつけています。
各地の特色を集めて 
文化復興ブームを呼ぶ
今年7 月、周氏の新しいアイディアが大稲埕で始動しました。店名「台湾物産」というこの店は、外観は以前の「屈臣氏大薬房(ワトソンズ薬局)」の屋号をそのまま引き継いでいますが、小さな店には氏の長年の知見から生み出されるアイディアが詰まっています。「私は国際関係を学んでいたのですが、民間外交から見ると、外国人は『物産』を通して台湾がどれほどおもしろい場所かを知ってきたのです。」しかし、長年にわたり「台湾の人々は手土産が必要な時、いつも本当に台湾ならではのものが思いつかないと感じてきた」と言います。

3_「台灣物產」外貌上仍維持「屈臣氏大藥房」的行號.jpg
▲今も「屈臣氏大薬房(ワトソンズ薬局)」の屋号が残る「台湾物産」。(写真/高讃賢)
「台湾物産」という店の役割は、台湾各地から広く特色ある良い品を集めること。周氏は「このギフトボックスには、例えば美しい台湾の原住民族といったテーマがあって、中には台湾の南投県、嘉義県の各町の原住民族ならではの食品や工芸品を入れます」と説明します。氏は現在、観光客が様々な面からより深く台湾を理解できるよう、台湾のイラストレーターに台湾の物産地図作製を依頼しています。何棟もの文化的な建物、何人ものクリエーター、数々の美しく特色あふれる工芸品、それらが大稲埕に根付いた産業や文化と融合しています。周氏は「小芸埕」がシンボル的な役割を発揮し、夢を持った文化人がここに加わるようになることを願っています。今年10 月はまた思劇場(_inkers' _eater)の張哲龍総監督と蒋渭水文化基金会の蒋朝根執行長が共同で大稲埕国際芸術フェスティバルを実施、新たな文化復興運動を起こそうとしています。

4_「台灣物產」這間店不僅販售特色小物,同時也讓遊客能更深入了解台灣各地的文化價值.jpg
▲特色ある小物が買え、さらに台湾各地の文化的価値をより深く教えてくれる「台湾物産」。(写真/高讃賢)
 

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