発表日:2018-03-19
2021
地元食材を生かす極上の饗宴
食材本来の味を追求する料理人—陳之穎さん
文 _ 黄星若 写真 _ 陳弘岱
▲陳さんは旬の食材を使用して、食材本来の色と味を引き出すことにこだわっています。(写真/陳弘岱)
「レシピは一切信じていません。信じているのは自分の舌だけです」。北投老爺酒店(ホテルロイヤル北投)の館内にあるフレンチレストラン「PURE cuisine純・欧法料理餐庁」の料理長で、自然の食を一番のポリシーとする陳之穎さんは語ります。非常に鋭い味覚を持つ陳さんは、新鮮な天然の食材と優れたオリジナリティーを生かした料理で、食材が本来持つ絶妙の味わいを引き出しています。陳さんの料理を食べた食通たちは「おいしさと健康は両立できる」と信じられるようになると言います。
陳さんは高級職業学校で電子工学を専攻し、趣味はデザインでした。しかし、大学時代にアルバイトしていたステーキハウスで、卒業後に試しにとホールスタッフから始め、その後、厨房で調理の仕事に就きました。料理人たちから知識とテクニックを教わる中で料理に対する興味を持ち、プロの料理人になることを決意しました。大手のホテルで働き始めてからは食材に対する理解と視野を広げ、その後フランスに留学して本場のフランス料理をマスターしました。料理の腕にさらに磨きをかけ、独自の調理法を確立した陳さんは料理の世界で活躍するようになります。
健康とおいしさを両立
陳さんは料理の世界に入ってから間もなく、健康とおいしさのバランスを追求するようになりました。最初のころは牛肉を漬けこんだり香料を加えたりしないという理念を受け入れないお客さんもいましたが、ここ数年間、食の安全を脅かす事件が相次いだことで、陳さんのこだわりが正しいことが次第に認められるようになりました。
「健康とおいしさを両立させる方法はあります」。ヘルシーなものはおいしくないと思い込んでいる人は多いですが、陳さんの考えは違います。食材選び、包丁の技、調理法によって口当たりと風味を良くすることができるため、添加物で味を整える必要はないと考えています。
だからこそ、陳さんは食材選びにとても気を配っています。野菜は陽明山の小規模農家が農薬や化学肥料を極力抑えて栽培したものを使っています。こうした野菜は普通より小ぶりですが、風味が抜群です。また、魚は肉質がしっかりしてみずみずしいうまみのある天然魚にこだわっています。陳さんは食材選びで種類にこだわらず、今採れる食材で料理を作ります。旬の食材こそ最高の素材であり、季節に応じた料理によって食材の良さを引き出せると信じているのです。
鮮度へのこだわり
陳さんは食材選びだけでなく、食材の鮮度を保つことにもこだわっています。魚の場合は水揚げ直後から輸送中、ワゴンに載せている間まで氷を敷き、魚の骨を取る作業も氷の上で行います。体温などで鮮度が落ちないようにし、魚を最も新鮮な状態で維持するためです。
陳さんは皿の周りの盛り付けに時間をかけるよりも、皿の温度を一定に保った方が料理を最高の状態でお客さんに提供できると考えています。こうした昔かたぎの考え方も陳さんの料理に対するこだわりと言えるでしょう。
偶然の成り行きから始まった料理人としてのキャリアですが、陳さんの人生の中で素晴らしくまた大切な物語を紡いでいます。陳さんは心を込めて料理を作り続けることで、自然な食の概念と、食材と健康の大切さをより多くの人に理解してもらえると信じています。
▲陳さんは食材本来の味を残した料理をひとつひとつ丁寧に作っています。(左から蒸し天然魚、キャラメル風味のダックワーズ)(写真/陳弘岱)
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