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台北観光サイト

虹を追って旅に出よう (TAIPEI Quarterly 2018 夏季号 Vol.12)

アンカーポイント

発表日:2018-06-19

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虹を追って旅に出よう

鍾文萍

写真 中国文化大学・周昆炫教授、楊智仁


「世界一長命」の虹は、文化大学のある山間に現れ、ギネス記録に認定されました。(写真/中国文化大学・周昆炫教授)
 

20171130日。もし偶然台北で空を見上げたのなら、あなたはきっとあの長い冬の日に陽明山にある中国文化大学の上空にかかり、「世界一長命」でギネス世界記録に輝いた虹を見たことでしょう。午前637分に文化大学の北西の空に現れた虹は、まず北側の山に足を降ろし、それから北東の空へと伸びていきました。幻想的な虹の橋は午後355分に消え、日照時間とほぼ同じ約9時間にわたって空を彩りました。1994314日にイギリスのウエストヨークシャー州ウェザビーで観測された6時間の記録を超えて、台湾の自然現象として初めてギネス記録に認定されたのです。国内だけでなく海外のメディアでもその美しさが話題となりました。
 

台北を一望するキャンパス
文化大学最高!と叫ぼう

虹に出会えるかどうかは運次第ですが、虹を追って山へ出かけてみませんか。虹のようにロマンチックな小旅行は「行きたい時にすぐ行ける」、小さいけれど確かな幸せです。

「世界一長命」の虹は、文化大学のある大屯山周辺で生まれました。同大学は海抜460メートルの位置にある台北の「最高」学府であり、台湾で数少ない国家公園の近くにある大学でもあります。山の雨が止んで陽が射すと、キャンパスの周辺にそっと虹が姿を現します。大学の人々がここを「虹の故郷」と呼ぶのもうなずけます。

高い位置にある文化大学は、台北市の全景や夕陽、夜景を楽しむのにも最適です。とくに体育館の裏側にある「後山情人坡」と呼ばれる坂道は天母東路に通じる下東勢産業道路の近くにあり、高くそびえたった場所なので視界を遮るものがありません。濃い霧や大雨でない限りは淡水河や観音山、そして眼下を交錯する車の流れや建物群を一望することができます。台北の町は足元に広げられた大きな地図のように隅々まではっきりと見え、その素晴らしい眺めはどこと比べることもできないほどです。

ロマンあふれる米軍宿舎

文化大学のある山仔后には、1950年に作られた米軍宿舎群が保存されています。朝鮮戦争が勃発したこの年、米国は共産党勢力がアジアに広がることを防ぐべく米軍事顧問を台湾に派遣し、駐台米軍のための宿舎を建設しました。念入りにも米軍事顧問と建築士は、台北の地図を携えてヘリコプターで上空から宿舎の建設地を探したといいます。こうして選ばれた静かで人里離れた山間の平地に217戸の宿舎が作られました。米国郊外の住宅を模した宿舎は最小でも80坪の敷地がある庭付き建物で、暖炉や煙突など台湾の建築物には珍しい設備も取り付けられました。この「小さなアメリカ村」を現地の人々は「阿兜仔厝(外国人の家)」と呼んだそうです。今では全台湾で最も完全な姿で保存された米軍宿舎群となっています。

米軍撤退後、宿舎は長らく放置されていましたが、近年台北市が整備を進めて2棟の建物を使った米国スタイルのカフェを完成させました。台北で最も早く近代西洋文化の洗礼を受けたこの場所が、再び台北の人々の生活へと溶け込んでいます。通りのイトマキカエデが風にそよぎ、霧がゆっくりと流れてくる中に佇む宿舎の姿はまるで懐かしの外国映画のワンシーンのような美しさで、散歩して景色を眺めたり、コーヒーやスイーツを楽しんだりと、ゆったりとした午後のひとときを過ごすのにびったりです。


竹子湖のカラー畑はまるで高山に積もる雪のような美しさです。(写真/楊智仁)
 

桜からカラーへ
花盛りの陽明山

台北の人々にとって陽明山で花を愛でることは、日本人にとってのお花見と同じように毎年行う大切な行事です。しかし陽明山では半年以上花を楽しめるため、台北の人々はもっと幸運かもしれません。春のヤエザクラとショウワザクラから始まり、タイワントキワアジサイ、ソメイヨシノ、ツツジ、カラー、アジサイなどが順々に咲き誇ります。この絶景は春と夏だけのもので、この時期を逃したら来年まで待つしかありません。

陽明山での花鑑賞は花時計や花卉試験センター、陽明山ビジターセンターで楽しめるほか、毎年23月になると復興三路では桜のトンネルが、復興高校の外では新たに植えられたソメイヨシノが見頃になります。道沿いの桜というと他ではまばらに咲いているだけですが、復興三路と白宮山荘の外のタイワンヤマザクラは北投区公所が早くに植えたもので、道の両側が花で埋め尽くされます。風が吹いて花びらが散る美しさは、日本の「桜吹雪」にも見劣りしません。

かつて復興高校の裏門には樹齢60年の桜の木があり、花満開の壮観な姿から「桜王」と呼ばれていましたが、残念なことに2015年に南根腐れ病にかかってしまったため切らざるを得なくなりました。今年、この高校では校庭の左側にある歩道に再びソメイヨシノを植え、咲き誇る花が人々を喜ばせました。今後、新たな人気の観光名所となることでしょう。

4月になると、桜は散ってカラーが咲き始めます。竹子湖のカラーはサトイモ科の球根を持つ多年草です。4月が最盛期で、12ヘクタールのカラー畑には主に湿地性の白や緑の湿地性カラーが植えられており、台湾で生産されるカラーの8割以上がここで育てられています。春は竹子湖が最も美しい季節です。一面緑のカラー畑のあちこちに白い花が咲き、その美しさはまるで高山に積もる雪のよう。カラーとその他の陽明山の花々との最大の違いは、カラーは見て楽しむだけでなく摘むこともできることです。農家に胴付長靴を借りてカラー畑に入り、花摘み体験を楽しみましょう。サトイモ科の花は「仏炎苞(ぶつえんほう)」という形をしています。独特な形をした真っ白な花は清楚で可愛らしく、緑の茎がすっと枝分かれした様はとても美しいものです。11輪ゆっくり選びながら楽しく花摘みをすれば、これ以上にロマンチックなことはないでしょう。

 

 

 

 

 

 

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