発表日:2019-03-22
1830
TAIPEI #15 (2019 春季号)
異国料理と春の風味 華めく台北の趣き
文 = 石永豪 訳者=下山敬之 写真 = 楊智仁 , 蘭 ORCHID Restaurant, 日日幸福出版社
春の訪れにより大地が満開の花で彩られるように、食卓に並ぶ料理もハーブの新芽がフランス 料理を飾り、香ばしい抹茶には花のように美しいお茶請けの和菓子が添えられ、 視覚と味覚を同時に満足させてくれます。
►シェフにとって新芽や花は美しさや輝きの象徴です。 ( 圖_蘭 ORCHID Restaurant)
一面の花や緑から 着想を得る
如何にして「春」という テーマを食卓で表現するか 。 蘭 ORCHID Restaurant というお店でフランス創作 料理を作っているシェフ Gildas Périn(ギルダス・ ペラン)さんは台湾の春の 大地を料理に反映させると いう独自の発想でメニュー を作り出しています。春は 花だけでなく、あらゆる生 命が芽吹く時期でもあり、 同時にシェフたちにも新た な創作料理のインスピレー ションを与えています。
蘭 ORCHID Restaurant で花よりパクチーの苗や豆 苗などのようなシンプルな 食材を飾りとして使用して います。パンジーのような 観賞用の花は色鮮やかです がほとんど味はありませ ん。対照的に緑野菜の苗は 見た目がよく香ばしさと食 感をプラスしてくれます。
►花や緑を添えることで料理は一層味わ深くなり ます。( 圖_蘭 ORCHID Restaurant)
これまで私たちは料理の 飾りとして花を使ってきま したが、花に異なる役割を持たせることも必要です。 キュウリのような一般的な 食材が上品で繊細な風味を 求めるフランス料理に適す ように、キュウリのスライ スにヨーグルトをかけてサ ラダにしたり、キュウリの スムージーにキュウリの花 を飾るなど同じ食材からで きた前菜とデザートを同時 に味わうということです。
►花や緑を添えることで料理は一層味わ深くなり ます。( 圖_蘭 ORCHID Restaurant)
異なる季節、異なる産地で 育った食材を如何にフラン ス料理の特徴と組み合わせ るかもポイントです。例え ば春に収穫した台湾産ホワ イトアスパラは料理に新た な風味を運んできました。 台湾産のホワイトアスパラ とコシヒカリを使った料理 で、硬めでアスパラを茎ま でムダにせず汁まで絞り出 し、それを焼きあがったホ ワイトアスパラに塗ること によって旨さが一段と増し ます。最後は青海苔をかけ てパセリを飾ると春らしい 料理が完成します。
►花や緑を添えることで料理は一層味わ深くなり ます。( 圖_蘭 ORCHID Restaurant)
それぞれの季節がもたらす折々の味わい
フランス料理と同様に繊 細さ見た目を大事にしてい る和菓子も春の食卓に彩り を添えてくれます。
東京製菓学校を卒業し北 投文化財博物館で「和菓子 体験」コースを指導してい る吳蕙菁 ( ウーホイジン ) さんは授業の際、素敵な着 物姿で和菓子に関するの発 想を語っています。
吳さん曰く、初期の和菓 子は神様を祭るお供え物と して利用され、動物の形を したものはほとんど使われ ず、後に茶道の影響を受け て形や風味、和菓子の発想 その物も季節を表わすよう になったそうです。また、 お茶の風味を損なわないよ う和菓子には強烈な匂いを 発する材料は使われていま せん。
つまり和菓子は季節毎に 旬の農作物や花、景色に合 わせて作られています。例 えば、「桜餅」は桜のよう なピンク色の糯米であんこを包み、最後は塩漬けにし た桜の葉で巻き、同じく塩 漬けにした桜の花を飾れば 完成です。桜餅を掴むと春 その物を掴んだような感覚 を受けるだけでなく、口へ 運ぶと程よい塩味と甘さ、 そして花の香りが口の中に ふわっと広がります。
►桜の葉に包まれた桜餅は春爛漫を表す象徴にな っています。( 写真 _ 楊智仁 )
和菓子で再現する 台北の春
口当たりの良い桜餅以外 にも和菓子には花の美しさ を現した「上生菓子」があ ります。和菓子とは日本の 伝統的なデザートの総称で すが、上生菓子は白あんを ベースに色鮮やかな皮(正 式名称「練り切り」)でこ しあんやうぐいす餡を包 み、押す、切るといった工 程を経て形を整えます。吳 さんは日本で上生菓子の作 り方を学んだ際にシャクナ ゲを作ったことがあるそう です。最初は馬毛で作られ た粉ふるいを使い、緑に染 色されたあんを細い糸状に します。それをこしあんの 表面に飾りつけることで葉の中から可愛いらしく顔を 覗かせるシャクナゲの花が 完成します。台北の春と同 様にシャクナゲが咲き乱れ る様が和菓子で再現されま した。
►大自然を表現した和菓子の盛り合わせはまるで 満開の花が咲いているように見えます。 ( 写真 _ 楊智仁 )
しかし、台湾においてシ ャクナゲは台北市を代表す る花であり、吳さんは日本 で習ったように緑の葉でシ ャクナゲを隠すのではな く、主役として力強く表現 したいと考えました。その ため創意工夫し、ピンク色 の餅でこしあんを包み、シ ャクナゲの花の形に仕上げ ました。また、花びらにも 花脈を彫り刻み、赤い斑点 を付けることで可愛らしい 満開のシャクナゲを作り出 しました。
季節に合った春らしい 食材と大自然から着想に よって台北の独特な料理 を生み出し、忘れがたい 美しい春の雰囲気を味わ う事ができます。
シャクナゲの上生菓子の作り方
ステップ A 練り切り作り( 上生菓子の皮部分)
材料
白あん 1,000g 、水飴 50g、白玉粉 18g、水 15 〜 25g
使用する道具
ステンレスボウル、片手鍋、木杓子、粉ふるい、サランラップ
1️⃣白玉粉をボウルに入れて、水 18g をゆっくり加えなが ら手で混ぜ合わせます。粘り気がなくなり手にくっつか ない程度になるまで水を加えつつ生地をまとめていきま す。白玉粉によって必要な水の量は異なるので生地の状 況を見ながら水を足して下さい。
2️⃣片手鍋に水を 8 分目まで入れて沸騰させ、まとめて小さ な団子にした白玉生地を鍋に入れて茹でます。約 3 分ほ ど煮て柔らかくなったら生地を取り出し、茹水を捨てま す。
3️⃣ 再度鍋に少量の水を入れ(水は白あんを焦げないように するためのもので、水量は適量で十分)、白あんを加え て弱火でじっくり煮込みながら木杓子でかき混ぜます。
4️⃣茹で上がった白玉の生地を加えて白あんにコシ ( 粘りや 弾力性 ) が出るまでじっくりとかき混ぜながら煮込みま す。さらに練り切りの乾燥を防ぐために水飴を加えたら 完成です。
5️⃣次に練り切りを粉ふるいで濾して、練り合わせます。 2〜3回繰り返すと色が白くなりますが、食紅を加える とシャクナゲのピンクを表現できます。常温まで冷めた らラップで包みます。
ステップ B こねて仕上げる
材料
ピンク色の練り切り 22g、こしあん 15g
使用する道具
三角棒(三角形のお箸で代用可)、針、丸棒
1️⃣ピンク色の練り切りを丸めてから丸棒で薄く伸ばして 平にし、中心部分にこしあんを塗り、練り切りで包ん で丸めます。
2️⃣三角棒で丸めた練切の端から中央に向けて 5 等分の切り 込みを入れて、花びらを作ります。花びらの先端部分は やや鋭い形になっているので、形を整える際に手や工具 を使って花びらの輪郭を作り出します。

3️⃣針や丸棒で花びらに花脈を彫り刻むと花びらが完成 します。
異国料理と春の風味 華めく台北の趣き
文 = 石永豪 訳者=下山敬之 写真 = 楊智仁 , 蘭 ORCHID Restaurant, 日日幸福出版社
春の訪れにより大地が満開の花で彩られるように、食卓に並ぶ料理もハーブの新芽がフランス 料理を飾り、香ばしい抹茶には花のように美しいお茶請けの和菓子が添えられ、 視覚と味覚を同時に満足させてくれます。
一面の花や緑から 着想を得る
如何にして「春」という テーマを食卓で表現するか 。 蘭 ORCHID Restaurant というお店でフランス創作 料理を作っているシェフ Gildas Périn(ギルダス・ ペラン)さんは台湾の春の 大地を料理に反映させると いう独自の発想でメニュー を作り出しています。春は 花だけでなく、あらゆる生 命が芽吹く時期でもあり、 同時にシェフたちにも新た な創作料理のインスピレー ションを与えています。
蘭 ORCHID Restaurant で花よりパクチーの苗や豆 苗などのようなシンプルな 食材を飾りとして使用して います。パンジーのような 観賞用の花は色鮮やかです がほとんど味はありませ ん。対照的に緑野菜の苗は 見た目がよく香ばしさと食 感をプラスしてくれます。
これまで私たちは料理の 飾りとして花を使ってきま したが、花に異なる役割を持たせることも必要です。 キュウリのような一般的な 食材が上品で繊細な風味を 求めるフランス料理に適す ように、キュウリのスライ スにヨーグルトをかけてサ ラダにしたり、キュウリの スムージーにキュウリの花 を飾るなど同じ食材からで きた前菜とデザートを同時 に味わうということです。
異なる季節、異なる産地で 育った食材を如何にフラン ス料理の特徴と組み合わせ るかもポイントです。例え ば春に収穫した台湾産ホワ イトアスパラは料理に新た な風味を運んできました。 台湾産のホワイトアスパラ とコシヒカリを使った料理 で、硬めでアスパラを茎ま でムダにせず汁まで絞り出 し、それを焼きあがったホ ワイトアスパラに塗ること によって旨さが一段と増し ます。最後は青海苔をかけ てパセリを飾ると春らしい 料理が完成します。
それぞれの季節がもたらす折々の味わい
フランス料理と同様に繊 細さ見た目を大事にしてい る和菓子も春の食卓に彩り を添えてくれます。
東京製菓学校を卒業し北 投文化財博物館で「和菓子 体験」コースを指導してい る吳蕙菁 ( ウーホイジン ) さんは授業の際、素敵な着 物姿で和菓子に関するの発 想を語っています。
吳さん曰く、初期の和菓 子は神様を祭るお供え物と して利用され、動物の形を したものはほとんど使われ ず、後に茶道の影響を受け て形や風味、和菓子の発想 その物も季節を表わすよう になったそうです。また、 お茶の風味を損なわないよ う和菓子には強烈な匂いを 発する材料は使われていま せん。
つまり和菓子は季節毎に 旬の農作物や花、景色に合 わせて作られています。例 えば、「桜餅」は桜のよう なピンク色の糯米であんこを包み、最後は塩漬けにし た桜の葉で巻き、同じく塩 漬けにした桜の花を飾れば 完成です。桜餅を掴むと春 その物を掴んだような感覚 を受けるだけでなく、口へ 運ぶと程よい塩味と甘さ、 そして花の香りが口の中に ふわっと広がります。
和菓子で再現する 台北の春
口当たりの良い桜餅以外 にも和菓子には花の美しさ を現した「上生菓子」があ ります。和菓子とは日本の 伝統的なデザートの総称で すが、上生菓子は白あんを ベースに色鮮やかな皮(正 式名称「練り切り」)でこ しあんやうぐいす餡を包 み、押す、切るといった工 程を経て形を整えます。吳 さんは日本で上生菓子の作 り方を学んだ際にシャクナ ゲを作ったことがあるそう です。最初は馬毛で作られ た粉ふるいを使い、緑に染 色されたあんを細い糸状に します。それをこしあんの 表面に飾りつけることで葉の中から可愛いらしく顔を 覗かせるシャクナゲの花が 完成します。台北の春と同 様にシャクナゲが咲き乱れ る様が和菓子で再現されま した。
しかし、台湾においてシ ャクナゲは台北市を代表す る花であり、吳さんは日本 で習ったように緑の葉でシ ャクナゲを隠すのではな く、主役として力強く表現 したいと考えました。その ため創意工夫し、ピンク色 の餅でこしあんを包み、シ ャクナゲの花の形に仕上げ ました。また、花びらにも 花脈を彫り刻み、赤い斑点 を付けることで可愛らしい 満開のシャクナゲを作り出 しました。
季節に合った春らしい 食材と大自然から着想に よって台北の独特な料理 を生み出し、忘れがたい 美しい春の雰囲気を味わ う事ができます。
シャクナゲの上生菓子の作り方
ステップ A 練り切り作り( 上生菓子の皮部分)
材料
白あん 1,000g 、水飴 50g、白玉粉 18g、水 15 〜 25g
使用する道具
ステンレスボウル、片手鍋、木杓子、粉ふるい、サランラップ
1️⃣白玉粉をボウルに入れて、水 18g をゆっくり加えなが ら手で混ぜ合わせます。粘り気がなくなり手にくっつか ない程度になるまで水を加えつつ生地をまとめていきま す。白玉粉によって必要な水の量は異なるので生地の状 況を見ながら水を足して下さい。
2️⃣片手鍋に水を 8 分目まで入れて沸騰させ、まとめて小さ な団子にした白玉生地を鍋に入れて茹でます。約 3 分ほ ど煮て柔らかくなったら生地を取り出し、茹水を捨てま す。
3️⃣ 再度鍋に少量の水を入れ(水は白あんを焦げないように するためのもので、水量は適量で十分)、白あんを加え て弱火でじっくり煮込みながら木杓子でかき混ぜます。
4️⃣茹で上がった白玉の生地を加えて白あんにコシ ( 粘りや 弾力性 ) が出るまでじっくりとかき混ぜながら煮込みま す。さらに練り切りの乾燥を防ぐために水飴を加えたら 完成です。
5️⃣次に練り切りを粉ふるいで濾して、練り合わせます。 2〜3回繰り返すと色が白くなりますが、食紅を加える とシャクナゲのピンクを表現できます。常温まで冷めた らラップで包みます。
ステップ B こねて仕上げる
材料
ピンク色の練り切り 22g、こしあん 15g
使用する道具
三角棒(三角形のお箸で代用可)、針、丸棒
1️⃣ピンク色の練り切りを丸めてから丸棒で薄く伸ばして 平にし、中心部分にこしあんを塗り、練り切りで包ん で丸めます。
2️⃣三角棒で丸めた練切の端から中央に向けて 5 等分の切り 込みを入れて、花びらを作ります。花びらの先端部分は やや鋭い形になっているので、形を整える際に手や工具 を使って花びらの輪郭を作り出します。
3️⃣針や丸棒で花びらに花脈を彫り刻むと花びらが完成 します。
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