発表日:2019-06-12
2409
TAIPEI #16 (2019 夏季号)
台湾の精神と気質:本来の台湾料理を受け継ぐ金蓬萊
「楽しむ心、感動的な料理」台湾料理の熱さを知る!
文=番紅花
翻訳=下山敬之
写真=台北市観光伝播局
始まりは北投の宴会料理
正統な台湾料理の定義とはなんでしょうか?
「金蓬萊遵古台菜」(ジンポンライズングータイツァイ)のシェフである陳博璿(チェンボーシュエン)さんによれば、台湾料理は「大勢で楽しむ」という特徴があるそうです。大勢でテーブルを囲み、料理を熱々のうちに食べる事が重要で、写真を撮ったり、SNSに投稿する間に料理が冷めるような事はあってはいけません。和気あいあいと食卓を囲む様子は、雰囲気に影響されないフランス料理や日本料理とは大きく異なります。台湾料理とは熱さであり、料理の温度も雰囲気気持ちさえも、台湾の精神や気質と同じく熱さが重要だそうです。
▲台湾料理の熱さは料理の温度も雰囲気も、台湾の精神と同じく熱さです。
2年連続でミシュランの星を獲得している「金蓬萊遵古台菜」は、開業して70年近くになります。しかし、三代目である陳博璿さんは、品質と技術の向上を怠ることはありません。お客さんは外国人から、国内の映画やテレビのスター、知名度の高さを知って訪れた若者たち、そして地元の人々など、セレブや庶民、老若男女を問わず夢中にさせています。そんな人気店は北投の宴会料理から始まりました。
▲陳博璿さんは、家族の料理人の精神と味わいを受け継ぐことに力を尽くしました。
金蓬萊の創業社長である陳良枝(チェンリャンヂー)さんは、元々日本人の開いた料亭で雇われていましたが、1950年に「蓬萊飲食店」を開店させました。その当時、秘伝のレシピを使った豚のから揚げは、政治家やビジネスマンが北投で宴会をする際には欠かせない一品でした。そもそもホテルには専属のシェフがいましたが、当時の人にとって「蓬萊飲食店」の豚のから揚げは配達や持ち帰りをするのが普通でした。時間の流れとともに多くの宴会料理が消えていく中、「蓬萊飲食店」の独特な味わいは幸いなことに二代目の陳芳宗(チェンファンゾン)さんに引き継がれました。
▲金蓬萊は1950年の創業以来70年近く営業し続けています。
1987年、陳芳宗さんは北投の近くにある天母に「金蓬萊台菜」を開店し、父である先代が苦労して生み出した台湾料理を残し続けるために、素材の選択から調理に至るまで先代の手法や技術を完璧に再現し、その精神が最終的に「金蓬萊」を台湾料理の代表という地位へと導きました。
2009年、陳芳宗さんは「金蓬萊」を一人息子の陳博璿さんに託しました。二代目から三代目に受け継がれた事柄や熱意は、「金蓬萊」に新しい変化をもたらしました。陳博璿さんは幼い頃から厨房で育ちましたが、彼は自身がこれほど忙しく料理を作る生活を送るとは想像していませんでした。彼は元々国際的な航空会社のマーケティングディレクターであり、裏方業務をこなすホワイトカラーでした。仕事以外でも海外旅行へ行ったり、グルメを楽しむなど気楽な生活を送っていました。しかし、二代目である父の体力が衰え「金蓬萊」が閉店しそうになった時、祖父と父が積み上げた50年を終わらせてはいけないと思い至りました。そして、厨房に戻るとエプロンを着て包丁も持ち、料理人としての道を歩み始めました。
▲店のインテリアは伝統の中にもモダンな部分があり、幅広い層の人たちの心を鷲掴みにしています。
伝統の味と新しいアイデアの共存
店を引き継いだ後、陳博璿さんと奥さんの楊雪芬(ヤンシュエフェン)さんは、「金蓬萊」のチームを率い、正統派の台湾料理に新しいアイデアを取り入れました。「正統派を守る」ために新しいアイデアを拒絶することはせず、またメディアの流行をやみくもに追いかけて正統の味を曲げることもしませんでした。伝統な味をより良い食材を使って実験して、最終的に祖父と父の味を残しつつも三代目としての独自性と特色を持つ新たな味わいを作り出しました。
▲三世代に渡り追求してきた職人の精神が、金蓬萊を台湾料理の指標と言える位置へと導きました。
「金蓬萊」のメニューを開くと、佛跳牆、蒸し鶏、豚レバーのソテー、台南伝統料理の魚の甘酢あんかけ、タロ芋フライ、えび揚げ餅……など一度は味うべき名物料理が並んでいます。これらの見事な味わいは、業務用の大型コンロと伝統的な重い鉄鍋、シェフ達が長年に渡り磨いた腕前、燃え尽きることのない職人魂によって作り出されました。このようにして出来た台北の伝統グルメは感動的な文章のような美しさがあります。
▲豚のから揚げ、鰻の赤粕漬け揚げと煮込み白菜、からすみチャーハンは金蓬萊の看板メニューです。
最も人気のある「豚のから揚げ」、「鰻の赤粕漬け揚げと煮込み白菜」、「からすみチャーハン」はすべて台湾の食材と素晴らしい職人の腕前によって作られたグルメです。口に入れた瞬間、あまりの美味しさに誰もが驚いてしまうほどです。
金蓬萊の「豚のから揚げ」は一見普通に見えて、決して簡単ではありません。から揚げに使うお肉は台湾最大の豚肉専門業者から購入したトモバラを使用しています。この部位は運動量が少ないため脂肪がついていますが、それほど油っこくありません。お肉は7.5〜9.5センチの間で均一なサイズにカットして、秘伝のタレに一晩漬けます。それを揚げるとサクサクとした食感とジューシーな味わいが口いっぱいに広がり食べた人を感動させます。
また、「鰻の赤粕漬け揚げと煮込み白菜」も工夫が凝らされ、材料にも存分にこだわった一品です。一般的にこの料理における白菜は脇役と捉えられがちですが、決してそんなことはありません。カリカリ揚げ卵と豚肉でんぶがたっぷり入ることでスープの味に深みを持たせ、白菜の甘みを十分に引き出すことができます。鰻の赤粕漬け揚げはしっかりとした肉厚とサクサクとした食感、さらにジューシーさを残していて、絶妙な火加減によって生み出されています。
「からすみチャーハン」は角切りにしたからすみとご飯、野菜が完璧に融合した看板メニューの一つです。グルメ愛好家の間では有名な話ですが、「チャーハン」は料理人の腕を試すのに最適な料理です。長年の経験とその場での状況判断を頼りにご飯をパラパラとさせつつ食材の旨味をお米に染み込ませるわけですが、その点において「金蓬萊」のからすみチャーハンは絶対に失望させないのでご安心下さい。
「金蓬萊」は台北のグルメマップの中でも一際美しく輝く真珠であり、北投の天母地区で古くから知られているお店です。台湾の昔ながらの料理を台北の人々の生活の中で生かし続けています。こういった店があるからこそ、国際グルメ愛好家も台北人も幸せを感じる事ができています。
金蓬萊自慢のから揚げのコツ
看板メニューの豚のから揚げは、食べやすいように骨を露出させるなどの工夫がされています。カリッと揚がった衣は国内外問わず多くの人に支持されています。


金蓬萊遵古台菜(ジンポンライズングータイツァイ)
台北市士林区天母東路101号
平日11:30-14:00;17:30-21:00土日11:30-14:30;17:30-21:30|月曜定休
台湾の精神と気質:本来の台湾料理を受け継ぐ金蓬萊
「楽しむ心、感動的な料理」台湾料理の熱さを知る!
文=番紅花
翻訳=下山敬之
写真=台北市観光伝播局
始まりは北投の宴会料理
正統な台湾料理の定義とはなんでしょうか?
「金蓬萊遵古台菜」(ジンポンライズングータイツァイ)のシェフである陳博璿(チェンボーシュエン)さんによれば、台湾料理は「大勢で楽しむ」という特徴があるそうです。大勢でテーブルを囲み、料理を熱々のうちに食べる事が重要で、写真を撮ったり、SNSに投稿する間に料理が冷めるような事はあってはいけません。和気あいあいと食卓を囲む様子は、雰囲気に影響されないフランス料理や日本料理とは大きく異なります。台湾料理とは熱さであり、料理の温度も雰囲気気持ちさえも、台湾の精神や気質と同じく熱さが重要だそうです。
2年連続でミシュランの星を獲得している「金蓬萊遵古台菜」は、開業して70年近くになります。しかし、三代目である陳博璿さんは、品質と技術の向上を怠ることはありません。お客さんは外国人から、国内の映画やテレビのスター、知名度の高さを知って訪れた若者たち、そして地元の人々など、セレブや庶民、老若男女を問わず夢中にさせています。そんな人気店は北投の宴会料理から始まりました。
金蓬萊の創業社長である陳良枝(チェンリャンヂー)さんは、元々日本人の開いた料亭で雇われていましたが、1950年に「蓬萊飲食店」を開店させました。その当時、秘伝のレシピを使った豚のから揚げは、政治家やビジネスマンが北投で宴会をする際には欠かせない一品でした。そもそもホテルには専属のシェフがいましたが、当時の人にとって「蓬萊飲食店」の豚のから揚げは配達や持ち帰りをするのが普通でした。時間の流れとともに多くの宴会料理が消えていく中、「蓬萊飲食店」の独特な味わいは幸いなことに二代目の陳芳宗(チェンファンゾン)さんに引き継がれました。
1987年、陳芳宗さんは北投の近くにある天母に「金蓬萊台菜」を開店し、父である先代が苦労して生み出した台湾料理を残し続けるために、素材の選択から調理に至るまで先代の手法や技術を完璧に再現し、その精神が最終的に「金蓬萊」を台湾料理の代表という地位へと導きました。
2009年、陳芳宗さんは「金蓬萊」を一人息子の陳博璿さんに託しました。二代目から三代目に受け継がれた事柄や熱意は、「金蓬萊」に新しい変化をもたらしました。陳博璿さんは幼い頃から厨房で育ちましたが、彼は自身がこれほど忙しく料理を作る生活を送るとは想像していませんでした。彼は元々国際的な航空会社のマーケティングディレクターであり、裏方業務をこなすホワイトカラーでした。仕事以外でも海外旅行へ行ったり、グルメを楽しむなど気楽な生活を送っていました。しかし、二代目である父の体力が衰え「金蓬萊」が閉店しそうになった時、祖父と父が積み上げた50年を終わらせてはいけないと思い至りました。そして、厨房に戻るとエプロンを着て包丁も持ち、料理人としての道を歩み始めました。
伝統の味と新しいアイデアの共存
店を引き継いだ後、陳博璿さんと奥さんの楊雪芬(ヤンシュエフェン)さんは、「金蓬萊」のチームを率い、正統派の台湾料理に新しいアイデアを取り入れました。「正統派を守る」ために新しいアイデアを拒絶することはせず、またメディアの流行をやみくもに追いかけて正統の味を曲げることもしませんでした。伝統な味をより良い食材を使って実験して、最終的に祖父と父の味を残しつつも三代目としての独自性と特色を持つ新たな味わいを作り出しました。
「金蓬萊」のメニューを開くと、佛跳牆、蒸し鶏、豚レバーのソテー、台南伝統料理の魚の甘酢あんかけ、タロ芋フライ、えび揚げ餅……など一度は味うべき名物料理が並んでいます。これらの見事な味わいは、業務用の大型コンロと伝統的な重い鉄鍋、シェフ達が長年に渡り磨いた腕前、燃え尽きることのない職人魂によって作り出されました。このようにして出来た台北の伝統グルメは感動的な文章のような美しさがあります。
最も人気のある「豚のから揚げ」、「鰻の赤粕漬け揚げと煮込み白菜」、「からすみチャーハン」はすべて台湾の食材と素晴らしい職人の腕前によって作られたグルメです。口に入れた瞬間、あまりの美味しさに誰もが驚いてしまうほどです。
金蓬萊の「豚のから揚げ」は一見普通に見えて、決して簡単ではありません。から揚げに使うお肉は台湾最大の豚肉専門業者から購入したトモバラを使用しています。この部位は運動量が少ないため脂肪がついていますが、それほど油っこくありません。お肉は7.5〜9.5センチの間で均一なサイズにカットして、秘伝のタレに一晩漬けます。それを揚げるとサクサクとした食感とジューシーな味わいが口いっぱいに広がり食べた人を感動させます。
また、「鰻の赤粕漬け揚げと煮込み白菜」も工夫が凝らされ、材料にも存分にこだわった一品です。一般的にこの料理における白菜は脇役と捉えられがちですが、決してそんなことはありません。カリカリ揚げ卵と豚肉でんぶがたっぷり入ることでスープの味に深みを持たせ、白菜の甘みを十分に引き出すことができます。鰻の赤粕漬け揚げはしっかりとした肉厚とサクサクとした食感、さらにジューシーさを残していて、絶妙な火加減によって生み出されています。
「からすみチャーハン」は角切りにしたからすみとご飯、野菜が完璧に融合した看板メニューの一つです。グルメ愛好家の間では有名な話ですが、「チャーハン」は料理人の腕を試すのに最適な料理です。長年の経験とその場での状況判断を頼りにご飯をパラパラとさせつつ食材の旨味をお米に染み込ませるわけですが、その点において「金蓬萊」のからすみチャーハンは絶対に失望させないのでご安心下さい。
「金蓬萊」は台北のグルメマップの中でも一際美しく輝く真珠であり、北投の天母地区で古くから知られているお店です。台湾の昔ながらの料理を台北の人々の生活の中で生かし続けています。こういった店があるからこそ、国際グルメ愛好家も台北人も幸せを感じる事ができています。
金蓬萊自慢のから揚げのコツ
看板メニューの豚のから揚げは、食べやすいように骨を露出させるなどの工夫がされています。カリッと揚がった衣は国内外問わず多くの人に支持されています。
金蓬萊遵古台菜(ジンポンライズングータイツァイ)
台北市士林区天母東路101号
平日11:30-14:00;17:30-21:00土日11:30-14:30;17:30-21:30|月曜定休
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