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台北孔子廟の祭典 伝統から伸びる新たな枝葉 (TAIPEI Quarterly 2019 秋季号 Vol.17)

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発表日:2019-09-18

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TAIPEI #17 (2019 秋季号)

台北孔子廟の祭典 伝統から伸びる新たな枝葉

文=張盈華 編集=下山敬之 写真=趙守彥


9月28日は儒学の祖•孔子(こうし)の誕生日で、台湾では一年に一度の「教師の日」となっています。孔子は、人は教育によってどのようにもなるという意味の「有教無類」、能力や資質に応じて異なる教育を実施するという意味の「因材施教」などの思想を教育の模範として広めたことから、「至聖先師」という封号が贈られました。

教師の日は、この歴史上の偉大な教育者を偲び、そして師を尊び、道を重んじるという伝統の大切さを思い出させる機会になっています。
▲ 台北市孔子廟で執り行われる釈奠は一般の方も参加できます。

千年にわたる祭典 新旧共存
毎年、教師の日になると台北市孔子廟では孔子を祀る釈奠(せきてん)という祭典が行われます。孔子を祀る儀式は孔子の君主だった哀公(あいこう)が追悼のために始めたと言われていて、漢の時代には国を挙げての祭典となりました。現在の儀式の形式や「至聖先師孔子」という呼び名は清代に定着したものです。

台北市孔子廟は地域の名士の募金によって建造された。1930年から80年以上に渡り釈奠を開催してきましたが、近年では毎年2000人以上の参加者を集める大きなイベントになっています。

この人気の祭典の正式な手順は37項に及び、大別すると「神様をお迎えする」、「神様を祀る」、「神様をお送りする」という3つで構成されています。祭典を執り行うのは孔子の嫡孫が担当する「奉祀官」、参列者を先導する「引賛」、祭典での曲目と舞踊の統制を担当する「楽長」、雅楽を演奏する「楽生」、佾舞(イーウー)を踊る「佾生」、その他を取り仕切る「禮生」などがいます。
▲ 釈奠で有名な踊り「佾舞」は東アジアにおける重要な無形文化遺産です。

祭典当日では孔子の位牌を祀る大成殿の前に、「丹墀(タンチ)」と呼ばれる大きな舞台を見ることができます。これは祭典の際に楽器を置いたり、踊りの舞台として使用されます。

荘厳な雰囲気の中で行われる祭典の中にはいくつか特別な意味を持つ儀式があります。その中の一つに正装した禮生がお供え物の動物の毛と血を埋葬する「瘞毛血」(イーマオシエ)があります。これは大地で生まれた育った動物を土に返し養分を与えることで万物を清め、輪廻転生をさせるという意味があります。近年では動物保護意識が向上したことで、紅麹で作った赤い水を動物の血の代わります。
▲ 「瘞毛血」は万物の輪廻転生を表しています。

時代の変化 伝統の変革
お父さん世代から台北市孔子廟の近くに住み、10余年余に渡って釈奠の禮生を担当してきた陳應義(チェンインイー)さんは、釈奠に対する深い思いを持っています。しかし近年になり、時代の変化による祭典の変革を経験しました。

例えば祭典の終わりには、参加者がお供え物の牛の頭の毛を抜く「抜智慧毛(知恵の毛)」がありました。これは「孔子が食べた牛の頭の毛を抜くことで、頭が良くなる」という民間伝説に由来しています。しかし、近年では牛の毛を抜くのではなく、牛の毛に見立てたボールペンが使われるようになっています。ボールペンはひのき製で、《論語》の一説である「学びて時に之を習ふ」という言葉が刻まれており、金色の牛の模型に掛けられてます。参加者たちはこのボールペンを抜き取ることで以前の伝統の代わりとしています。▲ 釈奠のお供え物は189品に上り種類も豊富です。

長い歴史を持つ釈奠は、今日に至るまで様々な変化をしてきました。しかし、祭典だけでなく背景にある文化、礼節、そして最も大事な「教育」こそ未来に残し続ける価値があります。孔子の格言にも「朋有り遠方より来たる、亦た楽しからずや(遠方から友人が訪ねてくれる、喜びを表した言葉)」とあるように、台北市孔子廟は多くの方の参拝と祭典への参加をお待ちしています。


▲ 楽生は祭典中に雅楽を演奏します。

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