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デジタル時代のアナログサウンド: ロマン溢れるレコード専門店 (TAIPEI Quarterly 2020 秋季号 Vol.21)

アンカーポイント

発表日:2020-09-15

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TAIPEI #21 (2020 秋季号)

デジタル時代のアナログサウンド: ロマン溢れるレコード専門店

文 / Nathan Ray 編集 / 下山敬之 写真 /Samil Kuo


テクノロジーは私たちの生活に大きな進歩をもたらしましたが、音楽業界も同様にデジタル化によってカセットテープからCD、MP3やストリーミング配信へと楽しみ方が変化していきました。ほんの数十年前まで、音楽のコレクションは収納棚の空きスペースを考慮しなければいけませんでしたが、現在ではスペースに関係なく一生かけても聴ききれないほどの楽曲にアクセスできます。開門頁▲テクノロジーの進歩によって音楽産業は現在のように発展しましたが、台北にはレコードを保存しているお店が数多くあります。

台北もこうした音楽革命の影響からは逃れられず、デジタル化の一途をたどっていますが、中には音質への不満やストリーミングというシステムによってアーティストに楽曲の使用料が支払われないといった問題から、従来の楽しみ方を好む人もいます。そういった人たちはお目当ての曲を求めてレコード店を巡りますし、レコードこそが真の音楽愛好者の楽しめる唯一にして最高の媒体であり、レコードから流れる温かみのあるサウンドこそがリアルな音だと信じています。

ストリーミング時代となった今でも変わらずに、こうしたアナログサウンドを守り続けようとレコードにこだわり続けるお店がいくつか存在します。今季のTAIPEIでは、市高品質なサウンドにこだわる5軒のローカルなお店を紹介していきます。


佳佳唱片(ジャージャーチャンピエン)
1976 年に開店したこのお店は、活気あふれる商業地区の西門町にあります。佳佳-6▲佳佳は台湾の音楽だけでなく、早期から西洋の音楽を取り入れたお店で、レコードが好きな人なら一度は足を運ぶべき場所です。

専門性と多様性に富んだお店で、あらゆるスタイルの音楽を幅広く取り揃えています。40年以上も前から西洋、日本、韓国など海外の音楽を輸入していた数少ないレコード店で、来店するお客さんも年齢層が比較的高い人たちが多いです。クラシック音楽から、台湾の懐かしいキャンパスフォーク、1970年代のロックから最新のジャスティン・ビーバーまで、各時代を席巻した音楽を扱っています。また、スタッフも親切なので、欲しい楽曲が見つからなければ一緒に探してくれます。佳佳-14
万華区中華路一段110号2階(中華店)
10:30 ~ 22:30


個体戶唱片行(ガーティーフーチャンピエンハン)
このお店はMRT公館駅と台電大楼駅の中間にあり、メタルやハードロックを中心とした中古レコードを幅広く取り揃えています。個體戶-3▲個体戶は店内で実際にレコードが流せるので、欲しい楽曲が見つけやすいお店です。

豊富な品揃えからレコードが好きな方には天国のような場所ですが、商品が探しやすいとはいえないので、初めて来店した方は戸惑うかもしれません。ただ、世界中のDJが愛してやまない長年埋もれてきた名盤を「発掘するプロセス」が楽しめる場所です。どうしても欲しいレコードが見つからない場合はオーナーに訪ねてみてください。両ひざをつきながら目当ての音楽を探したいという真の音楽愛好者向けの場所です。個體戶-7
大安区羅斯福路三段297-5号3階
12:30 ~ 21:00 (月曜 ー 金曜)
13:30 ~ 22:00 (土曜、日曜)
(毎月の定休日はFacebookページに掲載されます)


小宋唱片(シャオソンチャンピエン)
人通りの多い道から少し外れた場所にある隠れ家的なレコード店となっていて、にぎやかな万華区の中にひっそりと佇んでいます。小宋-2▲小宋は商品が整理整頓されているだけでなく、店内でレコードのクリーニングサービスも行っています。

ジャンルはジャズとクラシックが中心で、欲しいレコードは必ず見つかるといっても過言ではないほど膨大な量を取り扱っています。オーナーはレコードを知り尽くした人物なので、おすすめの品やレコードプレーヤーの使い方、手入れ方法を教えてくれます。店内はキレイに整理整頓されていて、お客さんに靴を脱いで入店させるほど徹底されています。欲しいものがすぐに手に入る時代に、高水準、高品質にこだわったノスタルジックなお店です。小宋-7
万華区西園路二段225巷10号
10:00 ~ 20:00 (日曜定休)


古殿樂藏(グーディエンユエザン)
店名のとおりクラシック音楽を専門とするお店で、台北市北部にあるMRT明徳駅近くにあります。このお店は音楽サロンとなっていて、著名なクラシック作品を楽しむことができる空間です。オーナーは大変な歴史マニアで、ヴィンテージ・ミュージックを守ることに情熱を注いでいます。店内にある音楽作品も全てデジタル化して保存されていることから一般のCDショップなどとは一線を画すお店となっています。古殿-2▲古殿樂藏は大量のクラシックのコレクションがあるだけでなく、クラシックな家具を揃えることでレトロな雰囲気で音楽が楽しめる空間を作り上げています。

他にも音楽が一緒に楽しめるように不定期でセミナーやワークショップなどを開催しています。ただ、このお店は常時オープンしているわけではないので、来店時には事前予約が必要です。古殿-9
北投区西安街一段169号2階
* 事前予約番号 : 0975-057-467


THT RECORDS
レコード店、カフェ、バーが1つになったお店で、ビールを飲む、レコードを吟味する、ラウンジでくつろぐといったことができる空間です。また、最新のヒット曲だけでなく、インディーロックやアフリカンミュージック、エクストリームメタルなどオーナー個人の趣味が反映されている点も特徴の一つです。THT-3▲THTはこじんまりとした中二階にあり、店内ではレコードを選ぶだけでなく、椅子に座 ってコーヒーを楽しむこともできます。

音楽が好きな人たちが集まり、お酒を酌み交わしながら音楽トークに没頭することができる心地よい空間になっていて、音楽の持つ力と愛情によって新しい出会いが生まれる他とは少し違った体験のできる場所です。
台北市中山区にあり、MRT行天宮駅から徒歩10分の距離にあるので、ぜひ足を運んでみてください。THT-11
中山区興安街10-2号
12:00 ~ 21:00 (水曜、木曜、日曜)
14:30 ~ 23:30 (金曜、土曜)


伝統とは人々を心地よくさせ、一体感があり、帰属感を提供してくれるものです。ただ、時代とともに変わるものであり、変わっていく必要があります。音楽も同様で、宗教や人種にしばられることなく、多くの人たちが一体となって楽しめるものであり、時代とともに流行やスタイルも変化していきます。

時代の流れに逆行して、レコードに注目する人もいますし、それを取り扱うお店は音楽に対する純粋な愛情があるからこそ今も残り続けています。ぜひ台北に来た際にはこうしたお店にも立ち寄り、過去の伝統に触れてみてください。個體戶-12▲レコード店巡りは昔の音楽を懐かしむだけでなく、過去の思い出を次の世代に継承する行為でもあります。

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