発表日:2020-12-15
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TAIPEI #22 (2020 冬季号)
台北の有機農業
白石湖エリアで観光農園体験
文 / Rick Charette
編集 / 下山敬之
写真 / Samil Kuo、野草花果有機農場、許宜容
世界中で観光農園の人気が高まっていますが、台湾では10年前から広まり始め、現在では台北にある有機栽培をテーマとした観光農園が様々なDIY体験を提供しています。その中心となっているのが、台北市の内湖区(ネイフーチュー)にある白石湖(バイシーフー)付近の観光農園です。
台北市は山々に囲まれた盆地で、平地には高層ビル群が広がっています。市内にはいくつもの観光農園がありますが、特に人気があるのは3ヶ所です。上述した白石湖付近以外では、オランダカイウやアジサイで有名な竹子湖、鉄觀音茶と文山包種茶の産地として知られる猫空があります。
内湖区の農場は大湖街(ダーフージエ)と碧山路(ビーシャンルー)という2つの道に沿って点在していますが、今回は碧山路にある農場を紹介していきます。碧山路には「白石」と呼ばれる丘陵の盆地に農場が集中していて、名前が示すように白みがかった泥岩や砂岩が多い地域です。湖は本来水のある場所を指しますが、竹子湖を始めとする「湖」は盆地を意味しています。
白石湖付近のアクティビィティ— 観光農園体験
白石湖エリアは、ここ20年ほどで持続可能な有機農業への取り組みをしている場所として知られるようになりました。現在は数多くの農場がありますが、碧山路を登ってすぐ目に入る野草花果有機農場(イエツァオホァグォヨウジーノンチャン)が、このエリアに初めてできた観光農園です。
オーナーは林清立(リンチンリー)氏という方で、国際商社を経営する起業家でしたが、健康上の理由で2000年初頭に故郷である白石湖に戻り、何10年も放置された土地で農業を始めました。当初は非有機農業を実践していましたが、次第に良心の呵責を覚えるようになったと言います。「私自身の健康の問題を省みた時、自分が食べている作物が土地や消費者に対して害をもたらしているのではと考えるようになり、不安を感じました。」
▲健康的なライフスタイルを求めた林清立氏は、白石湖エリアで20年近くに渡り有機農業に従事してきました。
5年後、林氏は有機農業へ移行し、DIYによる教育プログラムを通じて栽培体験を提供し始めました。また、海外との取引や個人的な旅行を通じて欧米諸国や日本で人気の持続可能な農業活動とDIY農場体験を組み合わせた有機農場というコンセプトを知ります。「自らの手で土を掘ることで地球を感じ、人生を通して自然保護の精神を育むことができるのです。」農薬を使わなくなってからの数年は収穫量が落ち込んだものの試行錯誤を繰り返し、土地の特性や作物を理解することで、農場は成功を収めました。
林氏が農業に着手したての頃、地元の農家が提供していたのはイチゴ狩り体験だけだったそうです。林氏は有機栽培というコンセプトの反応が良好であったことから時間をかけて様々な果物と野菜の栽培を始め、さらに幅広いビジター体験を提供し始めました。それを目の当たりにした他の農場が後に続いたことで、白石湖付近の有機農場体験は成長を遂げたのです。
▲白石湖は台北市のすぐ近くにある観光農園区で、代表的な農作物は冬に栽培されるイチゴです。(写真 / 許宜容)
栽培している果物と野菜の種類
12月~5月まではイチゴ、1月~4月は大根、4月~6月はジャガイモ、10月~12月はサツマイモの収穫期です。他にもハニーピーチやドラゴンフルーツ、リュウガン、プンタンなど世界にあまり知られていない果物も少し栽培しています。
DIYとキャンプ体験の内容
現在、他の農場では簡単なイチゴ狩り体験を始め、ダイコンやジャガイモのDIY栽培体験といった長期間に渡る活動を提供していますが、野草花果有機農場ではさらに多くの魅力的な体験プログラムを用意しています。
1日体験では、ガイド付き農場ツアー、有機農業セミナー、イチゴ狩り、ダイコン掘り、トウモロコシ狩りと皮むきといった直接土に触れるDIY体験が楽しめます。時間は通常であれば午前中から午後までです。
▲野草花果有機農場は季節ごとにキャンプを開催し、親子で楽しめる農業体験を提供しています。(写真 / 野草花果有機農場)
耕作期と重なる8~9週間はキャンプ体験が可能です。参加者は毎週末の1日を使って土地を耕す作業から植付けや種まき、草むしりに収穫といった作業をグループで行います。月曜日から金曜日まで開催される5日間のキャンプイベントもあり、課外活動としても人気のイベントです。
他にも野草花果有機農場のキャンプ場で一泊することもでき、自然をテーマとした写生やロープクライミング、釣り、棒のみでの火おこし体験、自然散策(昼夜)、窯焼き、カエルと蛍狩り、カタツムリ狩りなど、数々のガイド付きアクティビィティが楽しめます。
小さなお子様もご参加いただけますし、親子参加やお一人での参加も可能となっています。
▲野草花果有機農場は季節ごとにキャンプを開催し、親子で楽しめる農業体験を提供しています。(写真 / 野草花果有機農場)
白石湖エリアで楽しめるその他のアクティビィティ
山道はわかりやすく整備されていますし、敷石による舗装もされているので気軽にレジャー体験が楽しめます。この山道を通れば農場だけでなく他のスポットにも行くことができます。
山道の1つは、野草花果有機農場に沿って歩くと、近くにある白石湖吊り橋へたどり着きます。この道は、19世紀に開拓者たちが淡水(ダンシュイ)と宜蘭(イーラン)の北部沿岸港の交易のために使用した淡蘭古道の一部です。
▲白石湖の吊橋は一体の龍が天空を翔け、白石湖に平和と幸運をもたらすというイメージでデザインされました。
手入れの行き届いた農地が広がる渓谷には、全長116メートルに及ぶ白石湖吊り橋が架かっています。ここではヤマムスメをはじめ、色鮮やかな固有種の野鳥が観察できます。山道や吊橋は林氏が企画した地元の観光振興を推進するプロジェクトの一環です。長い橋梁は、「竜骨」をイメージしてデザインされていて、山や谷を飛び越える竜のようにも見えます。
橋からはアーチ状の碧山巖開漳聖王廟(ビーシャンイェンカイジャンションワンミャオ)への入口が見えます。広大な山腹に建てられたこの建造物ですが、王廟自体は一部「屋根」の上にあり、白石湖ではなく台北盆地の方向を向いています。壮麗で華やかな王廟からは、広大な盆地の絶景が一望できます。
▲300年を超える歴史を持つ碧山巌開漳聖王廟は、現地の宗教の中心であるだけでなく、建築様式の美しさが楽しめる場所です。
1700年代初めに石窟寺院として始まった壮大な崇拝場は、林氏の先祖を含む白石湖の開拓者たちが中国から安全に帰れたことに感謝して建設したものです。聖地となっている崇拝場は今でも存在し、王廟の後方から見ることができます。また、王廟内部には3つの石がありますが、これはもともと1つだったものが1700年半ばに台北盆地に賊が出たことを知らせる天からの稲妻によってつに割れたという言い伝えが残 されています。
ゆったり散策をしたい方は、野草花果有機農場から内湖にある大湖公園までのハイキングがおすすめです。中級レベルのトレッキングコースでその大半が森林地帯となっていて、途中には1924年に建てられた円覚寺(ユェンジュエスー)、円覚の滝、大溝溪生態治水園区(ダーゴウシーションタイジューシュイユェンチュー)があります。大湖公園は中国の古典様式のアーチ橋が架かる風光明媚な湖で、有名かつ人気の公園です。
▲内湖の市街から白石湖に向かう際は、途中にある大溝渓生態治水園区に寄って新鮮な空気を楽しみましょう。(写真 / 許宜容)
お腹が空いたら
山道はロマンチックな雰囲気の同心池を通って野草花果有機農場へと続きます。「同心」はカップルの心が一つになるという意味で、パステルカラーの花でハートマークが作られていることから人気の撮影スポットとなっています。池の近くには林家所有の大昔に建てられた古い三合院造りの家屋敷があります。
▲2つの水田に挟まれた同心池は、山岳風景の美しさと相まって白石湖における人気の撮影スポットとなっています。
農場の隣には広々としたファームハウス・カフェの穠舍田園咖啡餐廳(ノンシャーティエンユェンカーフェイツァンティン)があります。地中海にあるレストランのような外観で、レストランの前には石を敷いて作られた中庭があります。林氏の弟が経営をしていて、元々は収穫物を乾燥する場所として使われていました。メニューには美味しいパスタ、リゾット、ワッフルがある他、隣りの温室で栽培した有機イチゴのマフィンとストロベリー・オレがおすすめです。
イエツァオホァグォヨウジーノンチャン野草花果有機農場
🏠 内湖区碧山路38号
☎️ 0975-638-765
🔗 zh-tw.facebook.com/martinfarmers/
(サイト内は中国語表記。連絡は英語可)
(電話または Facebookでご予約ください)
ファームハウス・カフェ 穠舍田園咖啡餐廳
🏠 内湖区碧山路 38 号(野草花果有機農場の隣)
🕑 11:00 ~ 20:00 (月曜 - 金曜) 11:00 ~ 21:00 (土曜と日曜)
白石湖エリアへのアクセス
MRT 内湖駅近くからシャトルバス(ルートS2)に乗車し、碧山巌開漳聖王廟で下車。タクシーなら駅から約15分。自家用車の場合は、白石湖吊り橋横と碧山巌開漳聖王廟にある駐車場が利用可能。
台北の有機農業
白石湖エリアで観光農園体験
文 / Rick Charette
編集 / 下山敬之
写真 / Samil Kuo、野草花果有機農場、許宜容
世界中で観光農園の人気が高まっていますが、台湾では10年前から広まり始め、現在では台北にある有機栽培をテーマとした観光農園が様々なDIY体験を提供しています。その中心となっているのが、台北市の内湖区(ネイフーチュー)にある白石湖(バイシーフー)付近の観光農園です。
台北市は山々に囲まれた盆地で、平地には高層ビル群が広がっています。市内にはいくつもの観光農園がありますが、特に人気があるのは3ヶ所です。上述した白石湖付近以外では、オランダカイウやアジサイで有名な竹子湖、鉄觀音茶と文山包種茶の産地として知られる猫空があります。
内湖区の農場は大湖街(ダーフージエ)と碧山路(ビーシャンルー)という2つの道に沿って点在していますが、今回は碧山路にある農場を紹介していきます。碧山路には「白石」と呼ばれる丘陵の盆地に農場が集中していて、名前が示すように白みがかった泥岩や砂岩が多い地域です。湖は本来水のある場所を指しますが、竹子湖を始めとする「湖」は盆地を意味しています。
白石湖付近のアクティビィティ— 観光農園体験
白石湖エリアは、ここ20年ほどで持続可能な有機農業への取り組みをしている場所として知られるようになりました。現在は数多くの農場がありますが、碧山路を登ってすぐ目に入る野草花果有機農場(イエツァオホァグォヨウジーノンチャン)が、このエリアに初めてできた観光農園です。
オーナーは林清立(リンチンリー)氏という方で、国際商社を経営する起業家でしたが、健康上の理由で2000年初頭に故郷である白石湖に戻り、何10年も放置された土地で農業を始めました。当初は非有機農業を実践していましたが、次第に良心の呵責を覚えるようになったと言います。「私自身の健康の問題を省みた時、自分が食べている作物が土地や消費者に対して害をもたらしているのではと考えるようになり、不安を感じました。」
5年後、林氏は有機農業へ移行し、DIYによる教育プログラムを通じて栽培体験を提供し始めました。また、海外との取引や個人的な旅行を通じて欧米諸国や日本で人気の持続可能な農業活動とDIY農場体験を組み合わせた有機農場というコンセプトを知ります。「自らの手で土を掘ることで地球を感じ、人生を通して自然保護の精神を育むことができるのです。」農薬を使わなくなってからの数年は収穫量が落ち込んだものの試行錯誤を繰り返し、土地の特性や作物を理解することで、農場は成功を収めました。
林氏が農業に着手したての頃、地元の農家が提供していたのはイチゴ狩り体験だけだったそうです。林氏は有機栽培というコンセプトの反応が良好であったことから時間をかけて様々な果物と野菜の栽培を始め、さらに幅広いビジター体験を提供し始めました。それを目の当たりにした他の農場が後に続いたことで、白石湖付近の有機農場体験は成長を遂げたのです。
栽培している果物と野菜の種類
12月~5月まではイチゴ、1月~4月は大根、4月~6月はジャガイモ、10月~12月はサツマイモの収穫期です。他にもハニーピーチやドラゴンフルーツ、リュウガン、プンタンなど世界にあまり知られていない果物も少し栽培しています。
DIYとキャンプ体験の内容
現在、他の農場では簡単なイチゴ狩り体験を始め、ダイコンやジャガイモのDIY栽培体験といった長期間に渡る活動を提供していますが、野草花果有機農場ではさらに多くの魅力的な体験プログラムを用意しています。
1日体験では、ガイド付き農場ツアー、有機農業セミナー、イチゴ狩り、ダイコン掘り、トウモロコシ狩りと皮むきといった直接土に触れるDIY体験が楽しめます。時間は通常であれば午前中から午後までです。
耕作期と重なる8~9週間はキャンプ体験が可能です。参加者は毎週末の1日を使って土地を耕す作業から植付けや種まき、草むしりに収穫といった作業をグループで行います。月曜日から金曜日まで開催される5日間のキャンプイベントもあり、課外活動としても人気のイベントです。
他にも野草花果有機農場のキャンプ場で一泊することもでき、自然をテーマとした写生やロープクライミング、釣り、棒のみでの火おこし体験、自然散策(昼夜)、窯焼き、カエルと蛍狩り、カタツムリ狩りなど、数々のガイド付きアクティビィティが楽しめます。
小さなお子様もご参加いただけますし、親子参加やお一人での参加も可能となっています。
白石湖エリアで楽しめるその他のアクティビィティ
山道はわかりやすく整備されていますし、敷石による舗装もされているので気軽にレジャー体験が楽しめます。この山道を通れば農場だけでなく他のスポットにも行くことができます。
山道の1つは、野草花果有機農場に沿って歩くと、近くにある白石湖吊り橋へたどり着きます。この道は、19世紀に開拓者たちが淡水(ダンシュイ)と宜蘭(イーラン)の北部沿岸港の交易のために使用した淡蘭古道の一部です。
手入れの行き届いた農地が広がる渓谷には、全長116メートルに及ぶ白石湖吊り橋が架かっています。ここではヤマムスメをはじめ、色鮮やかな固有種の野鳥が観察できます。山道や吊橋は林氏が企画した地元の観光振興を推進するプロジェクトの一環です。長い橋梁は、「竜骨」をイメージしてデザインされていて、山や谷を飛び越える竜のようにも見えます。
橋からはアーチ状の碧山巖開漳聖王廟(ビーシャンイェンカイジャンションワンミャオ)への入口が見えます。広大な山腹に建てられたこの建造物ですが、王廟自体は一部「屋根」の上にあり、白石湖ではなく台北盆地の方向を向いています。壮麗で華やかな王廟からは、広大な盆地の絶景が一望できます。
1700年代初めに石窟寺院として始まった壮大な崇拝場は、林氏の先祖を含む白石湖の開拓者たちが中国から安全に帰れたことに感謝して建設したものです。聖地となっている崇拝場は今でも存在し、王廟の後方から見ることができます。また、王廟内部には3つの石がありますが、これはもともと1つだったものが1700年半ばに台北盆地に賊が出たことを知らせる天からの稲妻によってつに割れたという言い伝えが残 されています。
ゆったり散策をしたい方は、野草花果有機農場から内湖にある大湖公園までのハイキングがおすすめです。中級レベルのトレッキングコースでその大半が森林地帯となっていて、途中には1924年に建てられた円覚寺(ユェンジュエスー)、円覚の滝、大溝溪生態治水園区(ダーゴウシーションタイジューシュイユェンチュー)があります。大湖公園は中国の古典様式のアーチ橋が架かる風光明媚な湖で、有名かつ人気の公園です。
お腹が空いたら
山道はロマンチックな雰囲気の同心池を通って野草花果有機農場へと続きます。「同心」はカップルの心が一つになるという意味で、パステルカラーの花でハートマークが作られていることから人気の撮影スポットとなっています。池の近くには林家所有の大昔に建てられた古い三合院造りの家屋敷があります。
農場の隣には広々としたファームハウス・カフェの穠舍田園咖啡餐廳(ノンシャーティエンユェンカーフェイツァンティン)があります。地中海にあるレストランのような外観で、レストランの前には石を敷いて作られた中庭があります。林氏の弟が経営をしていて、元々は収穫物を乾燥する場所として使われていました。メニューには美味しいパスタ、リゾット、ワッフルがある他、隣りの温室で栽培した有機イチゴのマフィンとストロベリー・オレがおすすめです。
イエツァオホァグォヨウジーノンチャン野草花果有機農場
🏠 内湖区碧山路38号
☎️ 0975-638-765
🔗 zh-tw.facebook.com/martinfarmers/
(サイト内は中国語表記。連絡は英語可)
(電話または Facebookでご予約ください)
ファームハウス・カフェ 穠舍田園咖啡餐廳
🏠 内湖区碧山路 38 号(野草花果有機農場の隣)
🕑 11:00 ~ 20:00 (月曜 - 金曜) 11:00 ~ 21:00 (土曜と日曜)
白石湖エリアへのアクセス
MRT 内湖駅近くからシャトルバス(ルートS2)に乗車し、碧山巌開漳聖王廟で下車。タクシーなら駅から約15分。自家用車の場合は、白石湖吊り橋横と碧山巌開漳聖王廟にある駐車場が利用可能。
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