発表日:2020-12-16
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TAIPEI #22 (2020 冬季号)
シードペーパーに蒔く「希望の種」
文/Catherine Shih
写真/Yenyi Lin、蕪蕪紙創
編集/下山敬之
「Plant the paper, Grow a hope!(紙を植え、希望を育む)」これは、台北初の「シードペーパー」を開発した蕪蕪紙創(ウーウーズーチュアン)のスローガンです。シードペーパーとは土に還すことができる紙で、再生紙に花などの種子をすき込んで作られます。蕪蕪紙創では特殊な製法を用いて、グリーティングカードやはがき、ふせん、包装紙、ノートなどの文房具から形ボール状のものまで製造しています。いずれも水を加えるだけで発芽するので簡単に植物の栽培が始められます。
▲シードペーパーは種によって生命が循環し、最後は地球を緑化させるというサスティナブルをコンセプトに作られています。(写真 / 蕪蕪紙創)
誕生秘話
「蕪蕪紙創」という名前はガーデニングや農業と関連しています。「蕪 (wu)」は「荒れ果てる」や「雑草 」という意味ですが、「蕪 」が2つ連続すると別の意味が生まれます。その1つが「成長と繁栄」で、創設者である蒙艷芬(モンヤンフェン)氏がシードペーパーの製作を通して実現したい目標です。「人が受け取るものは生きていて、成長しているという考え方から着想を得ました。それを他の人に手渡すことで生命のサイクルとして多くの人に伝わっていきます」と蒙氏語っています。
蒙氏はもともと自作するほど紙に対する情熱があり、そこから会社を立ち上げました。「大学では金融を専攻していましたし、仕事も長年秘書をしていたので、今やっていることは全く畑違いなんです。技術も新しいものではなく、海外では20年ほど前から存在していました。ただ、小規模な慈善団体や宗教団体の間でしか普及していなかったので、何年も前から研究し形にしたのが今の仕事です。」
▲創業者の蒙艷芬氏は、近年のエコ意識の向上やサスティナブル商品の使用増加が蕪蕪紙創の商業的成功に結びついたと考えています。
しかし、農業経験がなかったために最初は手探りでのスタートでした。「ガーデニングからプリント、マーケティングに至るまで、独学で学ぶ必要がありましたが、関連するビジネスモデルはなく、参考になるようなものはありませんでした」と過去を振り返ります。
道の途中
蒙氏が会社を設立した2012年当時、台湾のエコに対する意識はリサイクルやゴミの分別をする程度のものだったので、集客が大変だったと蒙氏は話します。「サスティナビリティという考え方は、2015年〜2016年に生まれ、ここ数年でようやく定着してきました。当初興味を示したのはNGOや若い人たちくらいでしたが、現在では私たちの製品をプレゼントされた方々が興味を持って購入するので、大きく宣伝をする必要がなくなりました」
しかし、困難はこれだけではなく、当初は非常に繊細で特殊な製品であることから、多くの印刷業者が注文を受けてくれなかったそうです。「大抵の場合、すぐに無理ですと言われて追い返されてしまい、試してもらうにはかなりの説得が必要でした。それに競合や関連する会社、製品がないため自ら市場を作るしかなく、最適な種の選別や製紙工程、判断基準なども決まっていませんでした。今でもまだ道の途中ですが」と笑って答えます。
▲立体型のシードボールは様々な形状のものがあり、ユーザーにも大変人気です。(写真 / 蕪蕪紙創)
製紙工程と種子の選定基準
シードペーパーの製紙工程は、再生紙を抽出してパルプにするところから始まります。ドロドロになった紙の粒を適当な大きさ丸め、それを枠ですいてから発芽させる種を加えます。次にすいた紙をプレスして平らに成形し、乾燥した板に載せて天日干しします。これは普通のパルプ紙を作る製造工程とは大きく異なるそうです。「一般のパルプは高い熱と圧力が必要ですが、それでは種が死滅してしまいシードペーパーになりません。全て手で成形し、太陽光で乾燥させる必要があります。」
▲古紙パルプは低温乾燥処理をされた後、色や形の異なるシードボールへと姿を変えます。
蒙氏によるとプレス印刷の工程も通常の機械ではできないそうです。「スクリーン印刷という特殊な方法を採用していますが、これは金属板にインクを転写したり、紙に押し付けるためのもので、熱を必要としません。ただ、細かい技術に関しては印刷のプロにお任せしています。」
使用する種によっては別の問題も発生します。「どの種子がどの紙に適しているかを見極める必要があります。種が発芽するまでの時間、植え付けの難易度、種の入手難易度、紙の厚さなどを考慮しなければなりません。種のサイズも重要で、大きい種だと厚手の包装紙やシードボールにしか使用できません。薄い紙では種が大きすぎてはみ出してしまいます。」
最も一般的な種子は、ワイルドフラワーやハーブをベースにした種子で、購入後の植え付けやメンテナンスもしやすいそうです。特にタイムや菊、キンギョソウは人気が高く、比較的育てやすいですが、お客さんの要望に応じてカスタマイズもできるそうなので、購入前に相談してみてください。
▲鉢植えに入った植物を育てる場合は、定期的な水やりなど辛抱強く愛情を持ったお世話が必要です。(写真 / 蕪蕪紙創)
商品の販売場所
現在のところ、蕪蕪紙創は事業の拡大や商業化は目指していません。あくまでもサスティナビリティの精神で小規模な会社を楽しみながら経営しているそうです。「スタッフは3人だけで、注文受付や教室開催、国内外展示会の出展などあらゆることに対応しています」と蒙氏は苦笑します。現在のメインターゲットは中小企業で、趣味で注文する人は少ないそうですが、三創生活園区(サンチュアンションフォユェンチュー)とのコラボや、街中での定期的なポップアップストア、自社オンラインショップなど至る所でお買い求めいただけます。
▲蕪蕪紙創はシードペーパーを使ったギフトボックスやふせん、はがきなどユニークで有意義な製品を数多く生み出しています。
結婚式の招待状などはなかなか読み返す機会がなく、基本的には捨てられてしまいますが、蕪蕪紙創のシードペーパーはそういった紙に種を撒き、命の循環を与えました。まさに蒙氏のエコに対する情熱や精神が強く反映された製品となっているので生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
▲蕪蕪紙創はシードペーパーを使ったギフトボックスやふせん、はがきなどユニークで有意義な製品を数多く生み出しています。
蕪蕪紙創の製品販売している場所
三創生活園区Q Space
🏠 台北市中正区市民大道三段2号2階
誠品信義店
🏠 台北市信義区松高路11号
シードペーパーに蒔く「希望の種」
文/Catherine Shih
写真/Yenyi Lin、蕪蕪紙創
編集/下山敬之
「Plant the paper, Grow a hope!(紙を植え、希望を育む)」これは、台北初の「シードペーパー」を開発した蕪蕪紙創(ウーウーズーチュアン)のスローガンです。シードペーパーとは土に還すことができる紙で、再生紙に花などの種子をすき込んで作られます。蕪蕪紙創では特殊な製法を用いて、グリーティングカードやはがき、ふせん、包装紙、ノートなどの文房具から形ボール状のものまで製造しています。いずれも水を加えるだけで発芽するので簡単に植物の栽培が始められます。
誕生秘話
「蕪蕪紙創」という名前はガーデニングや農業と関連しています。「蕪 (wu)」は「荒れ果てる」や「雑草 」という意味ですが、「蕪 」が2つ連続すると別の意味が生まれます。その1つが「成長と繁栄」で、創設者である蒙艷芬(モンヤンフェン)氏がシードペーパーの製作を通して実現したい目標です。「人が受け取るものは生きていて、成長しているという考え方から着想を得ました。それを他の人に手渡すことで生命のサイクルとして多くの人に伝わっていきます」と蒙氏語っています。
蒙氏はもともと自作するほど紙に対する情熱があり、そこから会社を立ち上げました。「大学では金融を専攻していましたし、仕事も長年秘書をしていたので、今やっていることは全く畑違いなんです。技術も新しいものではなく、海外では20年ほど前から存在していました。ただ、小規模な慈善団体や宗教団体の間でしか普及していなかったので、何年も前から研究し形にしたのが今の仕事です。」
しかし、農業経験がなかったために最初は手探りでのスタートでした。「ガーデニングからプリント、マーケティングに至るまで、独学で学ぶ必要がありましたが、関連するビジネスモデルはなく、参考になるようなものはありませんでした」と過去を振り返ります。
道の途中
蒙氏が会社を設立した2012年当時、台湾のエコに対する意識はリサイクルやゴミの分別をする程度のものだったので、集客が大変だったと蒙氏は話します。「サスティナビリティという考え方は、2015年〜2016年に生まれ、ここ数年でようやく定着してきました。当初興味を示したのはNGOや若い人たちくらいでしたが、現在では私たちの製品をプレゼントされた方々が興味を持って購入するので、大きく宣伝をする必要がなくなりました」
しかし、困難はこれだけではなく、当初は非常に繊細で特殊な製品であることから、多くの印刷業者が注文を受けてくれなかったそうです。「大抵の場合、すぐに無理ですと言われて追い返されてしまい、試してもらうにはかなりの説得が必要でした。それに競合や関連する会社、製品がないため自ら市場を作るしかなく、最適な種の選別や製紙工程、判断基準なども決まっていませんでした。今でもまだ道の途中ですが」と笑って答えます。
製紙工程と種子の選定基準
シードペーパーの製紙工程は、再生紙を抽出してパルプにするところから始まります。ドロドロになった紙の粒を適当な大きさ丸め、それを枠ですいてから発芽させる種を加えます。次にすいた紙をプレスして平らに成形し、乾燥した板に載せて天日干しします。これは普通のパルプ紙を作る製造工程とは大きく異なるそうです。「一般のパルプは高い熱と圧力が必要ですが、それでは種が死滅してしまいシードペーパーになりません。全て手で成形し、太陽光で乾燥させる必要があります。」
蒙氏によるとプレス印刷の工程も通常の機械ではできないそうです。「スクリーン印刷という特殊な方法を採用していますが、これは金属板にインクを転写したり、紙に押し付けるためのもので、熱を必要としません。ただ、細かい技術に関しては印刷のプロにお任せしています。」
使用する種によっては別の問題も発生します。「どの種子がどの紙に適しているかを見極める必要があります。種が発芽するまでの時間、植え付けの難易度、種の入手難易度、紙の厚さなどを考慮しなければなりません。種のサイズも重要で、大きい種だと厚手の包装紙やシードボールにしか使用できません。薄い紙では種が大きすぎてはみ出してしまいます。」
最も一般的な種子は、ワイルドフラワーやハーブをベースにした種子で、購入後の植え付けやメンテナンスもしやすいそうです。特にタイムや菊、キンギョソウは人気が高く、比較的育てやすいですが、お客さんの要望に応じてカスタマイズもできるそうなので、購入前に相談してみてください。
商品の販売場所
現在のところ、蕪蕪紙創は事業の拡大や商業化は目指していません。あくまでもサスティナビリティの精神で小規模な会社を楽しみながら経営しているそうです。「スタッフは3人だけで、注文受付や教室開催、国内外展示会の出展などあらゆることに対応しています」と蒙氏は苦笑します。現在のメインターゲットは中小企業で、趣味で注文する人は少ないそうですが、三創生活園区(サンチュアンションフォユェンチュー)とのコラボや、街中での定期的なポップアップストア、自社オンラインショップなど至る所でお買い求めいただけます。
結婚式の招待状などはなかなか読み返す機会がなく、基本的には捨てられてしまいますが、蕪蕪紙創のシードペーパーはそういった紙に種を撒き、命の循環を与えました。まさに蒙氏のエコに対する情熱や精神が強く反映された製品となっているので生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
蕪蕪紙創の製品販売している場所
三創生活園区Q Space
🏠 台北市中正区市民大道三段2号2階
誠品信義店
🏠 台北市信義区松高路11号
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