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台北の住居について知ろう: 外国人に人気の3つのエリア (TAIPEI Quarterly 2021 夏季号 Vol.24)

アンカーポイント

発表日:2021-07-01

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TAIPEI #24 (2021 夏季号)

台北の住居について知ろう: 外国人に人気の3つのエリア

文:Rick Charette
編集:下山敬之
写真:YenyiLin、TaiwanScene、劉佳雯


時代の変遷と街並みの変化はどのような関わりがあるのでしょうか。40年前、台北は「アジアのみにくいアヒルの子」と呼ばれ蔑まれてきました。そこから、国民の健康の保証や地元に対する誇りを持てるよう意識改革を行い、一致団結して努力をしてきた結果、「世界で最も住みやすい都市指数」にランクインするまでに成長を果たしました。この指標はエコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)が毎年発表しているもので、ここに選ばれることこそ台北の試みが成功した証と言えるでしょう。

中には母なる地球の片隅にある台北という街に、馴染みがない方もいるかもしれません。そういった方のために簡単に紹介をすると、台北には、安全上の理由から海外からの駐在員が密集するような地域はありません。台北は外国人にやさしい都市なので、至る所に外国人が住んでいますし、世界的にも安全な大都市の一つとなっています。そのため、男性でも女性でも、安心して深夜の散歩ができます。

ただ、住宅を選ぶ際には人気の偏りがあります。外国人が特に魅力的であると感じるエリアがいくつか存在し、そこに集中している傾向があります。ここでは、文化的特徴と利便性という2つの観点からそれらのエリアが人気な理由を紹介していきます。


大直とMRT中山駅/林森北路エリア
(中山区Zhongshan District)

大直エリアは基隆河の北側に位置し、台北松山空港と大佳河濱公園の真向かい側にあります。このエリアには軍事施設が多数存在するため、長期間に渡り住宅開発が制限されてきました。ただ、無闇な開発が行われなかったことで、郊外エリアには過去20年の間に洗練された住宅用高層ビル、大規模なショッピングモール、高級ホテルが建てられました。MRT文湖線の地上走行区間を抜けたあと、台北松山空港から地下道を経由して大直の中心部へと向かいます。開門頁​​​​​​​▲大直橋は台北の中心に直結しているので、大直に住む人たちはすぐに市内へアクセスできます。(写真/Yenyi Lin)

エンターテイメントやショッピング関連のお店が多いことも、外国人居住者に支持されている理由の1つです。大直は信義区以外のエリアと比べて、歩道の面積が広くなっています。新興エリアでは、各道路に広い歩道があり、建物は道路から少し離れた位置に建てられているので、快適さと空気通過性に優れています。新興エリアで最も人気のあるアミューズメントスポットは、美麗華百楽園です。ここお店が入ったデパートで、買い物や娯楽が楽しめます。ただ、従来の便利な百貨店という位置づけではなく、「一日中賑やかに過ごせるスポット」として建造された、エンターテインメント要素を含む複合施設です。さらに、お隣にある内湖エリアまで足を延ばすと、コストコやカルフールなどの大型ショッピングモールがあるので、ヨーロッパの食材を買い揃えることも可能台北に住む多くの外国人が、母国の料理を作る際に訪れる便利な場所となっています。P6100229-edited​​​​​​​▲大直は静かな環境が整った住宅街です。

大直の西側には、台北の2大人気ランドマークとして、忠烈祠と圓山大飯店があります。ただ、長期滞在者にとってはホテルの裏手にある遊歩道のほうが魅力的かもしれません。ここを登ると山の上から大直を見下ろすことができます。この他にも大直の南側にある基隆河は、川沿いの公園やサイクリングロードがあるので、運動をしながら快適な週末が過ごせます。

日本人駐在員の場合は、その多くがMRT中山駅周辺の繁華街やその近くにある林森北路エリアに居住しています。その理由は、「ジャパンタウン」や「リトル東京」とも呼ばれる、條通商圏があるから。南京東路の南北に位置する、中山北路と林森北路の小道や路地に囲まれたこのエリアには、居酒屋、カラオケバー、ラーメン店、その他日本らしさが感じられる建物が並んでいます。日本統治時代の間は、日本人駐在員向けの高級住宅地でしたが、戦後数10年で日本グルメと娯楽があふれる日本人向けのエリアへと変貌を遂げました。IMG_5793-Edited▲中山駅の近くにある小さな通りには数多くのカフェやセレクトショップが並んでいます。

現在、MRT中山駅近くの小さな路地や小道には、モダンなカフェ、セレクトショップ、デザイナーズショップが集まっています。かつて「鍛冶屋街」として知られた赤峰街は、現代のスタイルと融合。赤峰街​​​​​​​▲古い建物の多くを部分的にリノベーションした赤峰街では、台北でも数少ない新旧が入り交じった独特な風景を目にすることができます。

この中心にある心中山線形公園では、周囲の古いアパートなどの壁に、アーティスティックなペイントが施され、週末にはクリエイティブをテーマとしたフリーマーケットが頻繁に開催されています。IMG_5780​​​​​​​▲心中山線形公園はのんびりとした心地よい雰囲気をもたらしてくれます。


天母エリア
(士林区Shilin District)

天母は市内の北部に位置し、陽明山のふもとにあります。この地区は、アメリカンスクールや日本人学校、ヨーロピアンスクールがあるため、小中高生の子供がいる駐在員に人気。台北で最も外国人居住者の人口密度が高いエリアでしょう。外交地区とも呼ばれるこの場所には、各国の大使館や駐在員事務所、多くの外交官の住居があり、他の場所よりも多くの人種や民族を目にする場所です。

1950年代半ばから1979年まで、天母はアメリカ軍の中・下級兵士とその家族の居住地区でした。また、アメリカ合衆国国際開発庁(USAID)の職員やその他の外国人の市民向け住宅施設も建設されました。Googleの衛星写真を見ると、西洋風の道路のレイアウトが見えてきます。当時の洋館はほとんど残っておらず、代わりに高層マンションが建てられました。アメリカンスクールも日本人学校も、旧アメリカ軍の敷地内にあります。

公共交通機関の利便性も、天母の住みやすさの理由の一つです。天母西側には台北MRT淡水信義線が走っていて、各駅や市内中心部へのバスも運行されています。また、プレイスポットとしては、陽明山国立公園があるので、自然愛好家にとっては最高のスポットです。天母古道2-Edited​​​​​​​▲天母の旧道はかつて陽明山の湧き水を汲み上げていた道で、現在でも長大な水道管が遺されています。(写真/Yenyi Lin)

中山北路七段の北端すぐそばから始まる緑豊かな天母古道親山歩道は、野生のタイワンザルが多数生息していて、容易に自然に触れることができます。広々とした天母運動公園には、テニスコートやバスケットボールコート、子供用遊び場、ジョギングコース、インラインスケート場、野外シアター、多目的芝生広場など高機能かつしっかり整備された公共施設が用意されています。天母に住む駐在員がスポーツや屋外の社交イベントを簡単に楽しめるよう考えられています。天母運動公園1-Edited​​​​​​​▲大きなトラックのある天母運動公園は、スポーツをしたい地元の人たちにとって最高のスポットです。(写真/Yenyi Lin)   

また、カルフール、そごう、新光三越、大葉高島屋などの大型スーパーやデパートが数多く並び、他のエリアよりも豊富な輸入品を取り扱っているのも人気の理由です。飲食店も洋食、日本料理、各国の料理を幅広く取り扱っている他、お店のスタッフも英語を話せる人が比較的多くいます。

天母は、台北で社交的に生活したい新規居住者にとって、最適な場所と言えるでしょう。その理由は新しい友達と知り合え、さらにおいしい料理を楽しめる大定番スポットがあるからです。1つは温徳徳式烘焙餐館、もう1つはDreamers Coffee Roastersというお店。温徳徳式烘焙餐館は、最高のドイツ料理を提供する名店です。同店は屋外ビアガーデンも魅力的で、非常に人気があります。Dreamers Coffee Roastersでは、最高品質のドリップコーヒーやコールドブリューコーヒー、人気のコーヒーカクテルを提供。また、屋外にも快適なスペースが用意されていますので、新型コロナウイルスが収束したらぜひお試しください。

天母のコアともいえるイベントが、毎週金曜日から日曜日にかけて中山北路と天母東路の交差点で開催される屋外フリーマーケット「天母生活市集」です。約200店の露天が並び、手作りの創作グッズや中古品などが販売されます。また、この他にも大道芸人やインディーズ・ミュージシャンなどによる楽しいライブイベントが多数開催されています。現在は新型コロナウイルスの特別警戒期間のため一時的に中止となっています。


康青龍エリア
(大安区Daan District)

国立台湾師範大学と台湾大学の近くに位置する康青龍エリアは、アーティスティック、そしてノスタルジックな雰囲気が漂うことで有名。この地域の名称は、南北を貫く永康街、青田街、龍泉街という3つの主要な通りの名称から付けられています。

日本統治時代、このエリアは日本政府の役人や上級公務員、学者などの居住区として発展。当時は日本式の木造住宅群が建設されました。今でも街を歩くと、それらの建築物を目にすることができ、現在は多くの飲食店やその他新興企業がリノベーションをして使用しています。青田街付近にある青田七六は、1931年に日本の学者が建てたレストランです。メニューは西洋のスタイルを取り入れた伝統的な日本食を提供しています。IMG_6268-1-Edited​​​​​​​▲青田街の周辺は大きな木々に囲まれた閑静な場所です。そのため多くの人が康青龍エリアを最高の住宅街と考えています。

上記以外にも、エリアを南北に分割する和平東路を越えると、落ち着いた雰囲気を醸し出す町並みが姿を表します。この静けさや個性的なデザイナーズ・ブティック、国内外各料理の飲食店などがあるため、若い世代の駐在員に人気です。台湾の路地裏文化は地元では国宝とみなされているので、台北の精神を理解するには、こうした通りを歩いて見るのが一番です。

また、交通機関の利便性や公園へのアクセスの良さもこの地域の魅力。北端にはMRTの淡水信義線、南端には松山新店線が走っています。緑あふれる広大な大安森林公園は、レクリエーション施設が充実しているので、子供連れでも十分に楽しめます。他にも台湾大学のキャンパスがあり、雄大な木々や日本統治時代の建築物など、美しい景観が広がっています。南の方へ足を延ばすと新店渓と呼ばれる川があり、ここから川辺にある公園やサイクリングロードにアクセスできます。

この20年の間、永康街と周辺の路地は、観光スポットとして注目を集めています。この通りには、個人経営のクリエイティブなお店が多数存在します。特に、デザイナーズブティックや飲食店が多く、海外からの観光客が多く訪れています。台湾屋台のB級グルメや、日本、韓国、その他各国の料理店、そして路地裏には隠れたカフェや茶屋まであるので、どんな人でも楽しめる最高のスポットです。永康を象徴するブランドのひとつに、世界的に有名なレストラン「鼎泰豊」の本店があります。ここは世界各地のツアーで必ずコースに含まれるほど人気の高いお店です。1090824_114_永康街_劉佳雯攝​​​​​​​▲様々なお店が立ち並ぶ永康街と永康公園の周辺は、便利な交通機関と生活機能が整っています。(写真/劉佳雯)   

康青龍エリアには、所得に応じたカテゴリーがあります。キャリアの長いベテランが多く住んでいますが、中等教育機関が集中しているため、学生も少なくありません。そのため、鼎泰豊のような高級スポットから、龍泉通りを中心とした「師大龍泉商圏」には、特に学生グループをターゲットとした屋台が集まっています。また、このエリアには、1974年にオープンした台湾最古のジャズクラブであるBlue Note Taipeiがあります。コンパクトなエリアですが、様々なジャンルのお店があるので、外国人移住者たちから高い評価を獲得しています。


コミュニティーサービスセンター(台北)
天母にあるコミュニティで、外国人の定住を支援するという使命を担っています。外国人居住者によって運営されていて、台北に住みたいという方がまっさきに訪ねるべき場所です。詳細情報はこちらをチェック(communitycenter.org.tw)


TAIPEIからのお知らせ:
新型コロナウイルス特別警戒期間中は特に感染予防に注意をしてください。不要不急の外出は控え、外出する際は必ずマスクを着用し、各地の規則に従ってください。

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