発表日:2021-09-11
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TAIPEI #25 (2021 秋季号)
台北に残る日本時代の癒しスポット
文: Jenna Lynn Cody
編集: 下山敬之
写真: Taiwan Scene、楽埔町
台北は高層ビルやショッピングモールなどコンクリートで固められた街という印象を持つ人もいるかもしれません。しかし、日本時代に繁栄した台北には、当時の様子を彷彿とさせる史跡があり、豊かな文化が今もなお残されています。
当時の日本政府は大規模な開発計画を行い、多くの建物を建設しました。それらは台湾の複雑な歴史の遺産として、現在もその姿を保ち続けています。これらの木造建築物は、政府職員向けの住宅や宿舎、民間向けのビルとして使用されてきました。大半の建物は日本が撤退した後も引き続き中華民国政府が使用し、使用されないものも台湾における日本時代の文化遺産として昇華すべく政府が保護することを決定。それから数年に渡って建物の保存をした結果、貴重な伝統的建造物が復元され、一般開放されるに至ったのです。
▲台北市内には日本時代に建てられた日本式の建築物が数多く残っており、都市の中に懐かしくも洗練された雰囲気を添えています。
いずれの建物も伝統的手法や設計に基づいて建設されていますし、台北の秋を満喫できる落ち着いたスペースとなっています。これらの場所では読書や音楽鑑賞、カリグラフィーといったアートに触れられる他、お茶や食事をしながら落ち着いた時間を過ごすのにも最適です。今回はそういった日本時代の風情を感じながらも、癒やしを与えてくれる3つのスポットを紹介していきます。気になった場所があれば、ぜひ足を運んでみてください。
台湾文学基地 Taiwan Literature Base
MRT忠孝新生駅のそばにある華山1914文化創意産業園区の向かい側には、斉東街(ジードンジエ)という通りがあります。その中にある歴史的な木造建築物が台湾文学基地です。この建物は1920年から1940年の間に建てられたもので、元々は日本人職員向けの宿舎として使用されていました。その名残から周囲に宿舎群を形成し、文化資産保存法によって保存と修復が決まった初の日本式宿舎です。
斉東街は古い道路ですが、清朝時代以降は台北の川沿いの地域に隣接する基隆港周辺へ向かう主要道路でした。米や石炭などの輸出品を運搬する輸送路として重要視されていた場所です。この地域はもともと碁盤目状に開発されていましたが、数十年後を経て斉東街など古い道路の保存が決まったことで、今日のような断層的な都市構造が完成しました。現在では秋晴れた日の探索にぴったりな緑豊かな朝食店エリアになっています。
▲台湾文学基地は長い修復期間を経て、内部の環境を高度に再現することに成功しました。
台湾文学基地の中は板張りの床に畳の間などが復元されている他、ちゃぶ台を模した円形のテーブルがあるので当時の雰囲気を十分に感じられるでしょう。室内は空調が効いた快適な環境となっていて読書に最適です。この他にも建物の歴史や台湾の文学に関するショーケースや双方向性の展示スペースもありますし、日本の茶室を再現したお店で抹茶やケーキといった軽食とデザートも楽しめます。屋外には木製のベンチと芝生、熱帯植物やバンヤンの木が植えられているスペースがあるので、晴れた日には木陰でくつろぐという過ごし方もできます。
▲台湾文学基地では、台湾文学に関連する様々な展示物や一部現代詩人の作品が公開されています。
台湾文学基地
住所 中正区濟南路二段27号
営業時間 10:00 ~ 18:00 (月曜定休)
紀州庵 (ジージョウアン) 文学森林 KishuAn Forest of Literature (KishuAn)
今日の姿からは想像しがたい話ですが、日本時代の古亭付近にある川沿いのエリアは料亭や宴会場で賑わう場所でした。
その中でも1917年に平松家によって建てられた紀州庵が最も有名です。この名前は平松家の縁の地である関西紀州地方に由来しています。
当初は茅葺き屋根だった料亭ですが、1920年代に増改築がなされました。堤防との間には橋が架けられ、3階には宴会場を設置、屋根瓦も丈夫なものへ貼り換えられました。その後も料亭を拡張して別館や中庭、庭園を設け、屋外宴会場や宿舎などが建てられています。戦後の紀州庵は、斉東街の宿舎と同様に公務員が居住をした場所です。この地に住んでいた台湾の小説家の王文興(ワン・ウェンシン)の有名な作品《家変》は、この料亭との関係性が強く、作中でもよくこの料亭が出てきます。
▲紀州庵の屋外は木陰が多いので、残暑が厳しい秋の散歩にも最適です。
残念ながら3階建ての料亭は1996年の火事で焼失してしまいました。残された別館は交通量の多い水源快速道路と同安街の交差点にありますが、静かで落ち着いた雰囲気に包まれています。室内は温かみのある畳と木製のインテリア、果物のレンブの形をした布製吊下げ灯など印象的な内装となっています。ガラス窓が並ぶ長い廊下の先には、巨大なバンヤンの木が立ち並ぶ公園があり、秋晴れの日にはピクニックに最適な人気スポットです。隣にある新しい別館には、書店やレストラン、オープンカフェ、展示用スペースなどがあり、レクリエーションエリアとして機能しています。
▲紀州庵の中にある庭園や座敷に足を踏み入れると、日本時代の台湾の様子が思い浮かびます。
紀州庵文学森林
住所 中正区同安街107号
営業時間 10:00 ~ 18:00 (火曜-木曜、日曜)
10:00 ~ 21:00 (金曜と土曜) (月曜定休)
楽埔町 Leputing
かつて中正紀念堂のすぐそばには、老朽化した日本時代の大規模な官舎が並んでいました。古亭と呼ばれるこのエリアが誕生したのは1920年代です。もともとは斉東街の宿舎と同様に、当時の政府関連の建物が並ぶ中心に近い場所でした。清朝時代には水田や畑ばかりの地域でしたが、日本時代には錦町と名付けられ、都市開発の対象となったのです。
21世紀を迎えた現在、ここには豪華なレストランやイベントスペースが立ち並んでいます。しかし、一時期は管理者不在となり、雑草に覆われたL字型の建築基礎、緑に塗られた状態で朽ち果てた木材、かつての美しさを物語る灯籠がいくつかあるだけで、その様は廃墟のようでした。
▲楽埔町にある日本式邸宅は丁寧に防腐処理を行った木材を使用することで、その美しい姿を現代に再現しました。(写真/楽埔町)
それから2013年に、立偕生活文化有限公司がこの場所のリノベーションを依頼されます。同社は、藁や粘土、竹などの素材を含め、可能な限り伝統的な建築方法を用いて、かつての宿舎を再現しました。
▲楽埔町は日本式庭園とモダンな照明デザインを組み合わせることで、居心地のいい雰囲気を作り出しています。(写真/楽埔町)
また、敷地内はリノベーションによって見違えるほど美しくなりました。控え目でモダンな門を開けると、そこには落ち着いた雰囲気の中庭があります。リラックスできる落ち着いた雰囲気の庭園では料理が楽しめますし、見事に修復された廊下を歩けば過去の台北の雰囲気が味わえることでしょう。楽埔町には和仏折衷レストランがあるほか、台湾のアーティストの作品を展示している店舗もあり、一部は購入することもできます。特に、植物由来の染料を使ったスカーフが有名なので、自分へのプレゼントに購入してみてはいかがでしょうか。
▲現在の楽埔町はレストランへと様変わりし、素晴らしい高級料理を提供しています。(写真/楽埔町)
楽埔町
住所 大安区杭州南路二段67号
営業時間 11:30 ~ 22:00 (火曜定休)
TAIPEIからのお知らせ
コロナウイルス感染拡大の影響で、営業時間は変更となる可能性があります。まずは営業状況を確認し、感染予防対策を行った上で足を運ぶようにしましょう。
台北に残る日本時代の癒しスポット
文: Jenna Lynn Cody
編集: 下山敬之
写真: Taiwan Scene、楽埔町
台北は高層ビルやショッピングモールなどコンクリートで固められた街という印象を持つ人もいるかもしれません。しかし、日本時代に繁栄した台北には、当時の様子を彷彿とさせる史跡があり、豊かな文化が今もなお残されています。
当時の日本政府は大規模な開発計画を行い、多くの建物を建設しました。それらは台湾の複雑な歴史の遺産として、現在もその姿を保ち続けています。これらの木造建築物は、政府職員向けの住宅や宿舎、民間向けのビルとして使用されてきました。大半の建物は日本が撤退した後も引き続き中華民国政府が使用し、使用されないものも台湾における日本時代の文化遺産として昇華すべく政府が保護することを決定。それから数年に渡って建物の保存をした結果、貴重な伝統的建造物が復元され、一般開放されるに至ったのです。
いずれの建物も伝統的手法や設計に基づいて建設されていますし、台北の秋を満喫できる落ち着いたスペースとなっています。これらの場所では読書や音楽鑑賞、カリグラフィーといったアートに触れられる他、お茶や食事をしながら落ち着いた時間を過ごすのにも最適です。今回はそういった日本時代の風情を感じながらも、癒やしを与えてくれる3つのスポットを紹介していきます。気になった場所があれば、ぜひ足を運んでみてください。
台湾文学基地 Taiwan Literature Base
MRT忠孝新生駅のそばにある華山1914文化創意産業園区の向かい側には、斉東街(ジードンジエ)という通りがあります。その中にある歴史的な木造建築物が台湾文学基地です。この建物は1920年から1940年の間に建てられたもので、元々は日本人職員向けの宿舎として使用されていました。その名残から周囲に宿舎群を形成し、文化資産保存法によって保存と修復が決まった初の日本式宿舎です。
斉東街は古い道路ですが、清朝時代以降は台北の川沿いの地域に隣接する基隆港周辺へ向かう主要道路でした。米や石炭などの輸出品を運搬する輸送路として重要視されていた場所です。この地域はもともと碁盤目状に開発されていましたが、数十年後を経て斉東街など古い道路の保存が決まったことで、今日のような断層的な都市構造が完成しました。現在では秋晴れた日の探索にぴったりな緑豊かな朝食店エリアになっています。
台湾文学基地の中は板張りの床に畳の間などが復元されている他、ちゃぶ台を模した円形のテーブルがあるので当時の雰囲気を十分に感じられるでしょう。室内は空調が効いた快適な環境となっていて読書に最適です。この他にも建物の歴史や台湾の文学に関するショーケースや双方向性の展示スペースもありますし、日本の茶室を再現したお店で抹茶やケーキといった軽食とデザートも楽しめます。屋外には木製のベンチと芝生、熱帯植物やバンヤンの木が植えられているスペースがあるので、晴れた日には木陰でくつろぐという過ごし方もできます。
台湾文学基地
住所 中正区濟南路二段27号
営業時間 10:00 ~ 18:00 (月曜定休)
紀州庵 (ジージョウアン) 文学森林 KishuAn Forest of Literature (KishuAn)
今日の姿からは想像しがたい話ですが、日本時代の古亭付近にある川沿いのエリアは料亭や宴会場で賑わう場所でした。
その中でも1917年に平松家によって建てられた紀州庵が最も有名です。この名前は平松家の縁の地である関西紀州地方に由来しています。
当初は茅葺き屋根だった料亭ですが、1920年代に増改築がなされました。堤防との間には橋が架けられ、3階には宴会場を設置、屋根瓦も丈夫なものへ貼り換えられました。その後も料亭を拡張して別館や中庭、庭園を設け、屋外宴会場や宿舎などが建てられています。戦後の紀州庵は、斉東街の宿舎と同様に公務員が居住をした場所です。この地に住んでいた台湾の小説家の王文興(ワン・ウェンシン)の有名な作品《家変》は、この料亭との関係性が強く、作中でもよくこの料亭が出てきます。
残念ながら3階建ての料亭は1996年の火事で焼失してしまいました。残された別館は交通量の多い水源快速道路と同安街の交差点にありますが、静かで落ち着いた雰囲気に包まれています。室内は温かみのある畳と木製のインテリア、果物のレンブの形をした布製吊下げ灯など印象的な内装となっています。ガラス窓が並ぶ長い廊下の先には、巨大なバンヤンの木が立ち並ぶ公園があり、秋晴れの日にはピクニックに最適な人気スポットです。隣にある新しい別館には、書店やレストラン、オープンカフェ、展示用スペースなどがあり、レクリエーションエリアとして機能しています。
紀州庵文学森林
住所 中正区同安街107号
営業時間 10:00 ~ 18:00 (火曜-木曜、日曜)
10:00 ~ 21:00 (金曜と土曜) (月曜定休)
楽埔町 Leputing
かつて中正紀念堂のすぐそばには、老朽化した日本時代の大規模な官舎が並んでいました。古亭と呼ばれるこのエリアが誕生したのは1920年代です。もともとは斉東街の宿舎と同様に、当時の政府関連の建物が並ぶ中心に近い場所でした。清朝時代には水田や畑ばかりの地域でしたが、日本時代には錦町と名付けられ、都市開発の対象となったのです。
21世紀を迎えた現在、ここには豪華なレストランやイベントスペースが立ち並んでいます。しかし、一時期は管理者不在となり、雑草に覆われたL字型の建築基礎、緑に塗られた状態で朽ち果てた木材、かつての美しさを物語る灯籠がいくつかあるだけで、その様は廃墟のようでした。
それから2013年に、立偕生活文化有限公司がこの場所のリノベーションを依頼されます。同社は、藁や粘土、竹などの素材を含め、可能な限り伝統的な建築方法を用いて、かつての宿舎を再現しました。
また、敷地内はリノベーションによって見違えるほど美しくなりました。控え目でモダンな門を開けると、そこには落ち着いた雰囲気の中庭があります。リラックスできる落ち着いた雰囲気の庭園では料理が楽しめますし、見事に修復された廊下を歩けば過去の台北の雰囲気が味わえることでしょう。楽埔町には和仏折衷レストランがあるほか、台湾のアーティストの作品を展示している店舗もあり、一部は購入することもできます。特に、植物由来の染料を使ったスカーフが有名なので、自分へのプレゼントに購入してみてはいかがでしょうか。
楽埔町
住所 大安区杭州南路二段67号
営業時間 11:30 ~ 22:00 (火曜定休)
TAIPEIからのお知らせ
コロナウイルス感染拡大の影響で、営業時間は変更となる可能性があります。まずは営業状況を確認し、感染予防対策を行った上で足を運ぶようにしましょう。
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