発表日:2021-09-11
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TAIPEI #25 (2021 秋季号)
お米の都市
台北にあふれるお米の魅力
文:Elisa Cohen
編集: 下山敬之
写真: Samil Kuo、Green Media、macglee、changyisheng、泔米食堂
台湾では「食飽未(もう食べた)?」という挨拶がよく使われます。台湾の文化において美味しいものを食べることがどれだけ大切かが良く伝わる表現と言えるでしょう。そんな台湾で最も主要な食べ物はお米です。台湾の米栽培は、考古学的物証からおよそ3,500~5,000年前に始まったとされています。また20世紀初頭には、台湾における重要な輸出品にもなっていました。
▲台湾の多様な地理的環境が、様々な種類の台湾米を育み、豊かな米食文化を生み出しました。
毎食お米を消費していた昔と比べると、現代の台湾人はお米との繋がりが希薄になりつつあります。都会に住む人々は、口にしているお米がどこから来たものか気にすることもなく、実際に自らお米を炊くことさえも稀な状態です。そんな中、種類豊富な台湾米の素晴らしさを都会の人々に伝えるべく、台北の中心街に小さなレストランがオープンしました。
創設者の顧瑋(グー‧ウェイ)氏は、長い時間と労力を費やして質の高い地元産の材料を探求してきました。彼女たちの願いは、地元産の食材を使った料理を提供し、消費者がこれらの商品を購入するきっかけを作ることです。この方法は地域の食材の多様さを理解し、味を理解してもらえるので、長期的な農作物の消費に繋がります。そこで顧氏はチームで「泔米食堂(ガンミーシータン)」というお店を設立。台北の人々に、台湾米や農産品を知る機会を提供しています。
《TAIPEI》では、泔米食堂のマネージャーを務める劉馥熒(リョウ‧フーイン)氏をお迎えし、台湾の特製米料理が人気を集めている理由、台湾米の知名度向上の現状についてお話を伺いました。
米を通じて知る台湾
泔米食堂は、高層ビルの間にひっそりと建つ古いレンガ造りの建物の中にあります。趣のある木のドアを開けると、中には暖かな光があふれ、長テーブルの上に料理が並んでいます。

▲紅磚矮房の中にある泔米食堂では家庭料理の他に、台湾各地の農作物も販売しています。
使用されているのは地元のオーガニック食材の他、台湾中の農家、精米所、農業協会を巡って厳選した宜蘭、花蓮、台東、屏東で栽培された米です。
「レストランを経営するというよりも、台湾各地の食文化を集め、展示する感覚です」と劉氏は語っています。メニューは通常、地域ごとの米を数種類選び、その地域の食材と合わせて考案するのだそうです。例えば花蓮の赤もち米で作った飯糰(おにぎり)と、地元の人が良く使う山菜と豚肉を合わせる日もあれば、台東の米と山菜を使ったお粥。または「阿粨」という地域性のあるチマキにハイビスカスを添えたサイドメニューなど、地域の農産物と文化を料理で表現する日もあります。
▲泔米食堂では地元の米と食材を使い、台湾独自の飲食文化を料理の中で表現しています。(写真/Green Media)
「台湾米の良いところは、様々な風味の米があるということです」と劉氏が述べるように、台湾は小さい島国でありながらも、その地理条件は極めて多様です。そのため、同じ地域の中でも地形、気候、土壌が異なり、様々な種類の米が育ちます。
毎食が米料理
「台北では他の地域に行くことなく、特別な台湾米を使った料理が味わえます」と劉氏は言います。その理由は米料理が地域のライフスタイルに深く根付き、さらに料理も常に変化を続けているためです。台湾では朝から夜まで、いつでも米料理を食べることができます。たとえば、有名な朝食のメニューに蘿蔔糕(大根餅)がありますが、これはインディカ米のライスミルクから作られていますし、インディカ米にもち米を合わせた飯糰もあります。
▲台湾の一般的な料理の中には隠れた米料理も多く、ライスミルクを使って作られる蘿蔔糕(大根餅)もその一つです。(写真/macglee)
他にも歯ごたえのある米粉湯(ビーフンスープ)や塩味の効いた碗粿(ミルク粥)、草仔粿というハーブ入りの餅、油飯(おこわ)、肉圓(肉だんご)、米菓など、すべて台北のどこでも食べられます。こういった味わい豊かなメニューに加え、米を使ったデザートも多く、夏にはかき氷と一緒に出される米苔目、冬には体を温めてくれる湯圓が人気です。
▲台北の有名な屋台料理の米粉湯(ビーフンスープ)もまた米を使って作られた料理です。(写真/changyisheng)
▲甘さとしょっぱさのある米糕(おこわ)は、もち米を使って作られています。(写真/泔米食堂)
台北では米菓の種類もたくさんあることから、劉氏は「一日中お米ばかり食べていることに気づいていない外国人の方も多いと思います」と笑います。
泔米食堂では赤もち米粉から作ったケーキなどオリジナル米菓やデザートも多数開発しています。このケーキはふんわりとした柔らかい食感としっとりとした質感、花蓮の赤いもち米を使用した温かみのある色合い、独特な風味が特徴です。
▲小麦粉の代わりに赤もち米を使ったケーキは、米独自の香りとしっとりとした食感が特徴です。
麹で米を発酵させて作った自家製甘酒も大人気。食品添加物は不使用、でんぷん由来の純粋な甘みが感じられる健康的な一品となっています。他にも玄米製のホットケーキミックス、台湾の調味料各種と合わせた煎餅(チヂミ)など、質の高い台湾米製品を開発し、多くの人にその味を知ってもらう機会を提供しています。
▲純米と米麹を使って作られた泔米釀(自家製甘酒)は、米本来の味わいが存分に引き出されています。
良質なお米の炊き方
「私たちの目的は多くの人にお米を食べてもらうことなので、泔米食堂のメニューのメインはもちろんお米です」と劉氏は言います。行政院農委会の統計によれば、台湾におけるお米の消費は過去年の間に著しく低下。だからこそ泔米食堂は良質な台湾米の知名度を上げ、消費者たちに地方の味とともに楽しんでもらえるよう運営をしています。加えて同店では、来店者に対して自炊を推奨しています。
劉氏はいわく、お米を炊くときのヒントは質の良い米を買うこと。それを良く研いで、しっかり水に浸けます。米粒はスポンジことように水をすぐに吸収するので、良質な水で米の汚れを素早く洗い落とすことが大切です。
そしてお米を水に浸し、しっかりと水を吸収させることで食感のムラをなくします。米と水の比率は1対1で、浸す時間は20分から1時間ほどがベストです。通常、小さい米粒や食感の柔らかい品種は短時間浸け、逆の場合は浸す時間を長くします。時間はお米のパッケージに記載があるので、それを参照するのがオススメです。
米が炊き上がったら、蓋を開ける前に5分ほど蒸らし、しゃもじで炊飯器の中の湯気が均等にいきわたるよう米をかき混ぜます。
コンロで米を炊く場合は、水が沸騰するまでは中火、その後は鍋に蓋をして弱火でゆっくり炊きます。炊飯時の水加減は米の種類によって異なり、米粒が短いほど必要な水の量も少なくなります。
また劉氏はお米の保存方法をいくつか教えてくれました。炊飯前のお米は蓋ができる容器で密封し、出来る限り冷蔵をしましょう。そうでないと米は常に湿気や不純物を吸収するため、味が変わってしまいます。炊飯後は炊きあがってからすぐに容器で密封し、冷凍します。湯気が立つほど熱い状態で冷凍する方が、温めなおした時に風味が損なわれません。
気候や食文化、社会的な変化が、台湾の米料理を生み出しています。泔米食堂では、その伝統を守りながら斬新なアイディアで米料理を開発しつつ、より多くの人がその魅力に気付いてくれることを願っています。
泔米食堂
住所 大安区和平東路二段175巷12号
営業時間 11:00 - 14:00, 17:00 - 21:00(木曜定休)
お米の都市
台北にあふれるお米の魅力
文:Elisa Cohen
編集: 下山敬之
写真: Samil Kuo、Green Media、macglee、changyisheng、泔米食堂
台湾では「食飽未(もう食べた)?」という挨拶がよく使われます。台湾の文化において美味しいものを食べることがどれだけ大切かが良く伝わる表現と言えるでしょう。そんな台湾で最も主要な食べ物はお米です。台湾の米栽培は、考古学的物証からおよそ3,500~5,000年前に始まったとされています。また20世紀初頭には、台湾における重要な輸出品にもなっていました。
毎食お米を消費していた昔と比べると、現代の台湾人はお米との繋がりが希薄になりつつあります。都会に住む人々は、口にしているお米がどこから来たものか気にすることもなく、実際に自らお米を炊くことさえも稀な状態です。そんな中、種類豊富な台湾米の素晴らしさを都会の人々に伝えるべく、台北の中心街に小さなレストランがオープンしました。
創設者の顧瑋(グー‧ウェイ)氏は、長い時間と労力を費やして質の高い地元産の材料を探求してきました。彼女たちの願いは、地元産の食材を使った料理を提供し、消費者がこれらの商品を購入するきっかけを作ることです。この方法は地域の食材の多様さを理解し、味を理解してもらえるので、長期的な農作物の消費に繋がります。そこで顧氏はチームで「泔米食堂(ガンミーシータン)」というお店を設立。台北の人々に、台湾米や農産品を知る機会を提供しています。
《TAIPEI》では、泔米食堂のマネージャーを務める劉馥熒(リョウ‧フーイン)氏をお迎えし、台湾の特製米料理が人気を集めている理由、台湾米の知名度向上の現状についてお話を伺いました。
米を通じて知る台湾
泔米食堂は、高層ビルの間にひっそりと建つ古いレンガ造りの建物の中にあります。趣のある木のドアを開けると、中には暖かな光があふれ、長テーブルの上に料理が並んでいます。
使用されているのは地元のオーガニック食材の他、台湾中の農家、精米所、農業協会を巡って厳選した宜蘭、花蓮、台東、屏東で栽培された米です。
「レストランを経営するというよりも、台湾各地の食文化を集め、展示する感覚です」と劉氏は語っています。メニューは通常、地域ごとの米を数種類選び、その地域の食材と合わせて考案するのだそうです。例えば花蓮の赤もち米で作った飯糰(おにぎり)と、地元の人が良く使う山菜と豚肉を合わせる日もあれば、台東の米と山菜を使ったお粥。または「阿粨」という地域性のあるチマキにハイビスカスを添えたサイドメニューなど、地域の農産物と文化を料理で表現する日もあります。
「台湾米の良いところは、様々な風味の米があるということです」と劉氏が述べるように、台湾は小さい島国でありながらも、その地理条件は極めて多様です。そのため、同じ地域の中でも地形、気候、土壌が異なり、様々な種類の米が育ちます。
毎食が米料理
「台北では他の地域に行くことなく、特別な台湾米を使った料理が味わえます」と劉氏は言います。その理由は米料理が地域のライフスタイルに深く根付き、さらに料理も常に変化を続けているためです。台湾では朝から夜まで、いつでも米料理を食べることができます。たとえば、有名な朝食のメニューに蘿蔔糕(大根餅)がありますが、これはインディカ米のライスミルクから作られていますし、インディカ米にもち米を合わせた飯糰もあります。
他にも歯ごたえのある米粉湯(ビーフンスープ)や塩味の効いた碗粿(ミルク粥)、草仔粿というハーブ入りの餅、油飯(おこわ)、肉圓(肉だんご)、米菓など、すべて台北のどこでも食べられます。こういった味わい豊かなメニューに加え、米を使ったデザートも多く、夏にはかき氷と一緒に出される米苔目、冬には体を温めてくれる湯圓が人気です。
台北では米菓の種類もたくさんあることから、劉氏は「一日中お米ばかり食べていることに気づいていない外国人の方も多いと思います」と笑います。
泔米食堂では赤もち米粉から作ったケーキなどオリジナル米菓やデザートも多数開発しています。このケーキはふんわりとした柔らかい食感としっとりとした質感、花蓮の赤いもち米を使用した温かみのある色合い、独特な風味が特徴です。
麹で米を発酵させて作った自家製甘酒も大人気。食品添加物は不使用、でんぷん由来の純粋な甘みが感じられる健康的な一品となっています。他にも玄米製のホットケーキミックス、台湾の調味料各種と合わせた煎餅(チヂミ)など、質の高い台湾米製品を開発し、多くの人にその味を知ってもらう機会を提供しています。
良質なお米の炊き方
「私たちの目的は多くの人にお米を食べてもらうことなので、泔米食堂のメニューのメインはもちろんお米です」と劉氏は言います。行政院農委会の統計によれば、台湾におけるお米の消費は過去年の間に著しく低下。だからこそ泔米食堂は良質な台湾米の知名度を上げ、消費者たちに地方の味とともに楽しんでもらえるよう運営をしています。加えて同店では、来店者に対して自炊を推奨しています。
劉氏はいわく、お米を炊くときのヒントは質の良い米を買うこと。それを良く研いで、しっかり水に浸けます。米粒はスポンジことように水をすぐに吸収するので、良質な水で米の汚れを素早く洗い落とすことが大切です。
そしてお米を水に浸し、しっかりと水を吸収させることで食感のムラをなくします。米と水の比率は1対1で、浸す時間は20分から1時間ほどがベストです。通常、小さい米粒や食感の柔らかい品種は短時間浸け、逆の場合は浸す時間を長くします。時間はお米のパッケージに記載があるので、それを参照するのがオススメです。
米が炊き上がったら、蓋を開ける前に5分ほど蒸らし、しゃもじで炊飯器の中の湯気が均等にいきわたるよう米をかき混ぜます。
コンロで米を炊く場合は、水が沸騰するまでは中火、その後は鍋に蓋をして弱火でゆっくり炊きます。炊飯時の水加減は米の種類によって異なり、米粒が短いほど必要な水の量も少なくなります。
また劉氏はお米の保存方法をいくつか教えてくれました。炊飯前のお米は蓋ができる容器で密封し、出来る限り冷蔵をしましょう。そうでないと米は常に湿気や不純物を吸収するため、味が変わってしまいます。炊飯後は炊きあがってからすぐに容器で密封し、冷凍します。湯気が立つほど熱い状態で冷凍する方が、温めなおした時に風味が損なわれません。
気候や食文化、社会的な変化が、台湾の米料理を生み出しています。泔米食堂では、その伝統を守りながら斬新なアイディアで米料理を開発しつつ、より多くの人がその魅力に気付いてくれることを願っています。
泔米食堂
住所 大安区和平東路二段175巷12号
営業時間 11:00 - 14:00, 17:00 - 21:00(木曜定休)
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