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台北にある伝統的な菓子店 (TAIPEI Quarterly 2023 春季号 Vol.31)

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発表日:2023-03-10

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TAIPEI #31 (2023 春季号)


台北にある伝統的な菓子店

文:Tina Teng、Yu-Wen Lin 編集:下山敬之  写真:Yuskay Huang、台北犁記、福利麺包

台湾には伝統的な焼き菓子「糕餅(ガオビン)」があります。主な材料は小麦粉や砂糖、手作りの餡で、中秋節や結婚式、祭事の際に贈られます。この他にも19 世紀の日本統治時代には、和菓子や西洋のパンが台北に広まり、戦後のグローバル化の影響を受けて、現在ではコンビニの定番商品となりました。

時代が進むにつれて老舗の菓子店は、台湾の人たちにとって無くてはならないものになり、その匂いを嗅ぐだけで当時の様子を思い出すほど深く根ざしたのです。加えて、現在では台湾各地の名産品であるフルーツを使った菓子作りも始まっています。

門市櫥窗 (Copy)▲パイナップルケーキは、観光客だけでなく地元のお客さんにも人気です。

19世紀に創業した伝統的な中華菓子専門店「台北犁記」、20 世紀初期に創業した和菓子屋「明月堂」、戦後に西洋のパンと菓子を台湾に取り入れた人気ベーカリー「福利麺包」、これらはいずれも台北にある隠れた老舗の菓子店です。どのお店も変わらない味を提供し続けているだけでなく、都会の中に人情味あふれる憩いの場を提供しています。

台北犁記
伝統中華菓子の名店
中山区の長安東路二段にある台北犁記は、春節や中秋節の時期になると伝統の糕餅を求める人たちで長蛇の列ができます。主要な商品は、パイナップルケーキや緑豆入りの月餅、太陽餅などです。保存期間は1 ~ 2 週間と比較的長めで、持ち運びにも便利なパッケージとなっているので、観光客に人気があります。

台湾の糕餅は、緑豆をペースト状にした濃厚で柔らかい餡が入ったものが主流です。皮をむいた緑豆を1 時間以上蒸したら、煎って乾燥させ、砂糖やクルミ、豚肉でんぶなどと合わせます。それによって生まれる甘さとしょっぱさが入り混じった絶妙な風味が特徴です。また、卵を使わずに作った外側の白い薄皮も繊細でフワフワとした食感が楽しめます。

綠豆小月餅03▲緑豆入り月餅の餡は甘く、香ばしい風味が特徴です。

台北犁記は緑豆菓子の専門店として創業したお店で、当初から黄金色の餡を作り続けてきました。この特徴的な餡は、緑豆に卵黄を加えて作られています。この他にも小豆やデーツ(ナツメヤシ)を使用した卵黄ケーキなどもあります。ベテランの従業員たちの中では特に、ナツメと蓮の実をピューレ状にしたデーツの餡が人気です。

蛋+酥皮02▲定番の卵黄ケーキは台北犁記の看板商品です。

同店では台湾名物のパイナップルケーキも販売していて、日本や韓国からの観光客がよく訪れます。伝統的なパイナップルケーキの餡といえば冬瓜(トウガン)でしたが、近年では台湾産のパイナップルを使用した種類も誕生しました。パイナップルを使用することで、南国のフルーツならではの酸味と香り、そして繊維質な果肉の食感も楽しめます。

さらに、台北犁記では珍しいデーツ入りの松の実パイやパイ生地をベースとした小豆の卵黄ケーキなども販売しています。パイ生地にすることで口当たりが柔らかくなっています。どれを買っていいか分からない人には「平安禮盒」というセットがオススメです。

棗泥松子酥12▲デーツ入りの松の実パイはここ最近、非常に人気があります。

この3年間、台北犁記では新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、オンラインによる注文が増えたそうです。そのため、現在では一部の商品に限り、香港とマカオへの配送ができます。ただ、店舗のほうが取り扱っている商品数が多いので、多くのお客さんは直接店舗へ足を運んでいます。

明月堂
米と小豆で表現する至高のアート
明月堂は日本統治時代に創業した正統派の和菓子店です。ほのかな甘さと繊細な食感のあんこが特徴の和菓子は、お茶請けとして多くの人に親しまれています。

明月堂が創業した1935 年当時、台湾総督府に近い栄町には数多くの和菓子店が並んでいました。現在の店主はまもなく90 歳を迎える2 代目の周宜文(ジョウ・イーウェン)氏。80年以上に渡り、台湾にある日系企業、お菓子やお茶の愛好家たちから愛され続けてきました。

DSCF3640 (Copy)▲明月堂の小さい店舗はいつも多くのお客さんで賑わっています。(写真/ Yuskay Huang)

和菓子の真髄であるあんこ作りは、非常に繊細な工程を要します。まず不純物を除去するために小豆を煮て、そこから渋みを抑えるためにろ過を繰り返さなければいけません。そこから裏ごしをして滑らかにするとこしあん、粒を残せばつぶあんができます。この他にも甘納豆や羊かん、もなかの餡などにアレンジも可能です。明月堂は台北市内に2店舗あり、それぞれ小豆を使用した6種類のお菓子を販売しています。

DSCF3609 (Copy)▲和菓子は季節や見た目の特徴にあったユニークな商品名をつけています。(写真/ Yuskay Huang)

人気の商品は春限定で販売されるイチゴ大福。数量に限りがあるので、お買い求めの際は事前予約が必須です。大福の皮にはペースト状にしたもち米を使用しており、他では味わえない独自の食感が楽しめます。この他にも栗大福や豆大福など季節ごとの商品も販売しています。ただし、季節限定の和菓子や大福は日持ちしないので、その日のうちに食べきるようにしましょう。

DSCF3694 (Copy)▲春限定のイチゴ大福は、酸味と甘味のバランスがとれたデザートです。(写真/ Yuskay Huang)

福利麺包
世界のパン大集合
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▲福利麺包では、種類豊富なパンやクッキー、ケーキの他に軽食も販売しています。(写真/ 福利麺包)

福利麺包は台北の西洋式ベーカリーの先駆けとなったお店です。創業した1949年当時は、アメリカの軍事顧問へパンの供給を行っていました。ラインナップはクラシックなフランスパンや懐かしい台湾式のお菓子、中東のピタパン、素朴なビスケットなどで、その種類の豊富さから「パンの国連」という愛称で親しまれています。

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▲福利麺包は70 年以上の老舗で、パンが西洋式に見えますが、本格的な台湾の味がしています。(写真/ 福利麺包)

長年に渡り愛されている商品はガーリックフランスパン。雲林県産の新鮮なニンニクとニュージーランド産バターを使用しており、濃厚な風味が楽しめます。他にも砂糖不使用で、ナッツの食感と風味が特徴的な「宝島穀物老麺面包(台湾風サワードウ)」も人気です。

招牌大蒜奶油法包 (Copy)▲非常に人気のあるガーリックフランスパンは、焼き上がるとすぐに売り切れてしまいます。(写真/ 福利麺包)

旅行者におすすめなのは、2 週間以上日持ちするトルティーヤチップス。天然の植物油で粉状にしたトウモロコシを焼き、シナモンパウダーと砂糖をまぶして完成です。ベジタリアンでもお召し上がり頂けます。


 

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