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台北が誇るバスケットボール界のスター クインシー・デイビス (TAIPEI Quarterly 2017 春季号 Vol.07)

アンカーポイント

発表日:2017-03-27

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台北が誇るバスケットボール界のスター

クインシー・デイビス


_ Don Singleterry
写真 _ 璞園建築バスケットボールチーム、中華民国バスケットボール協会

璞園建築バスケットボールチームが練習する体育館へ入ると、よく磨かれた床の上でキュッキュッとシューズが音をたてています。チームメイトたちのおしゃべり、コーチが吹くホィッスル、どれもお馴染みの音です。ここでみなさんはすぐにクインシー・デイビス選手の姿を見つけることができるでしょう。最も背が高いわけでも、最も足が速いわけでもなく、またチームで一番重要な選手というわけでもありません。しかし、彼のコートの中と外での行動は世界中に影響を与えています。
デイビス選手は台湾プロバスケットボールリーグ(SBL)の璞園建築チームでパワーフォワード兼センターとしてプレーしています。カリフォルニア出身でアラバマ州モービルに住んでいたデイビス選手が、台北を我が家として5年が経ちました。彼は台湾と台湾の人々への愛から米国籍を放棄して正式に台湾人となり、支援の波を起こすことを選んだのです。
TAIPEI 春季号 2017 Vol.07 台北が誇るバスケットボール界のスター クインシー・デイビス
▲ (写真/璞園建築バスケットボールチーム)

博愛に満ちたふるさと台湾
幼い頃からバスケットボール選手になることを夢見ていたというデイビス選手。大学を卒業した後、キプロスやポルトガル、ベネズエラ、中国、トルコでプレーしました。そして米国に戻って消防士として新たな人生を歩もうとしていた時、人生を変える1本の電話がかかってきたのです。それは台湾のバスケットボールチームへの誘いでした。「私が台湾に来ることになったのは、バスケットボールというスポーツへの愛、そして私の能力を信頼してくれる場所でキャリアを高めるチャンスがあったからでした」デイビス選手はこう言い、「台湾は見過ごされることの多い隠された宝物です」と付け加えました。
デイビス選手は台湾代表チームでプレーすることを切望していましたが、外国籍の選手にはその資格がありません。彼は夢を叶えるため、米国籍を放棄して台湾人になるという犠牲を伴う決断を下します。この行為は全国的な注目を集め、彼を支持する声が殺到しました。こうして彼は台湾代表チームのメンバーとしてライバルの中国代表チームを打ち負かし、国際大会でのハイレベルな戦いに貢献するようになりました。
「台湾の人々は、私がこれまで触れたことのないような、本当の愛と敬意をもって私に接してくれます」とデイビス選手は言います。彼はさらに「チームメイトもそうですが、台湾の文化では男性の名前の最後に『兄』を意味する『哥』という言葉をつけます。1人の男性を自分の兄弟と認めると、愛し、リスペクトするのです。これはとても素晴らしいことです」と話してくれました。
TAIPEI 春季号 2017 Vol.07 台北が誇るバスケットボール界のスター クインシー・デイビス
▲ 米国籍を放棄して台湾人となったデイビス選手は台湾代表チームで活躍しています。(写真/中華民国バスケットボール協会)

スポーツを通じて人々の成長を
来たる2017年台北ユニバーシアードの準備を進める台北で、デイビス選手はなぜこの大会が台湾にとって非常に重要なのかについて考えを語ってくれました。「地域的にも国際的にも大きな利益がもたらされます。スポーツは現代の人々が必要とする社会的スキルを育ててくれるものです」。また「台湾の子どもたちは目標を達成するためにチームで努力することを十分に学んでいませんし、誇りを持って自分の国の代表となる機会も十分に与えられていません」と指摘します。スポーツに参加することによって前向きな変化がもたらされる、彼はこの信念をこんな例えで裏づけます。「国際的な競技で、国として一丸となって国旗をかかげ、まるで戦争であるかのように競争します。しかし本当の戦争は恐ろしい暴力行為で“誰も”勝つことはありません。その代わりにスポーツで競い合い、友達になり、学び、成長し、愛する家族のもとへ帰るのです。」
デイビス選手はスポーツの利点と、それがどのように日常生活に影響し、生涯続くのかということを強調します。「スポーツは自制心、強さ、そしていかに逆境の中で戦うのかを教えてくれます。どの職業を選んでも、いつかは他の人々と一緒に働かなければなりません。スポーツはそのための準備をしてくれます」コートの外でもデイビス選手は情熱的です。彼は「台湾ユースジェネレーションアメリカ(TYGA)」というサマーキャンプを開催しています。これは意欲的な若者を彼の故郷へ連れて行き、文化や言語、チャンスをつかむことについて学んでもらうというものです。「このプログラムによって彼らはカリフォルニアへ行くチャンスを得て、台湾の外にある世界について学び、接することができます」と彼は言います。「若者たちがスポーツを通じて私と同じ道を歩みたいと言う声を聞くと、謙虚な気持ちになるのと同時に誇らしく感じます」どうして台湾の若者を勇気づける必要があると感じるのかと尋ねると、「台湾人として、この世にいる間は人々の人生にポジティブな影響を与えることが義務だと思っているからです。」と答えてくれました。

台北、その思い
デイビス選手がいろいろな点で典型的な台湾人と同じであることは見過ごされがちです。彼はインターネットでゴルフゲームを楽しみ、都市型レンタサイクルのYouBikeに乗り、カラオケへ行きます。「私の歌はひどいですよ」デイビス選手は笑いながらこう言います。彼は進んで友達や親戚に会いに行き、台湾のローカルフードに挑戦しています。「いつもみんなに臭豆腐を試すよう勧められます」彼のお気に入りは蛋餅(卵巻きクレープ)。理由は「何でも好きなものを入れられるから!」とのことです。こういったささやかな事柄で、身長2メートル8センチの彼が冒険と楽しいことが大好きだということが分かります。
インタビューが終わりに近づいた時、デイビス選手が「私たち」という言葉をよく使うことに気がつきました。台湾人となってから、彼は自分の役割を果たすことと貢献することを十分にに受け入れてきました。本来の国籍を放棄して他の国籍を選ぼうとしている人々へのアドバイスについて尋ねた時、彼の答えはシンプルでした。「正当な理由のために行ってください。その文化を愛し、素晴らしいと思ってそれを実現してください」そしてこう付け加えました。「何も変えようとしないで、ただ受け入れるのです。台湾は、人々が私の人間性と幸せを気にかけてくれていると感じた唯一の場所です。台湾人は謙虚で、周りの人々を大事にしていると思います」
デイビス選手にとって台湾は故郷から遠く離れた故郷であり、人間らしさ、愛、受容のある場所です。デイビス選手のように高い地位にある人々とつながったり、理解し合ったり、共感することは難しい時代ですが、デイビス選手には当てはまりません。デイビス選手は彼の誕生日にこのインタビューを受けてくれました。大多数の人がそうしようとは思わないでしょう。これは彼が正しい場所にいること、そして台湾は彼がいることでよりよくなるということを裏づけているのです。

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