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ムスリムフレンドリーな旅の体験を (TAIPEI Quarterly 2016 秋季号 Vol.05)

アンカーポイント

発表日:2017-03-22

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豊かな文化が織りなす国マレーシア
ムスリムフレンドリーな旅の体験を

_ Cheryl Robbins
写真 _ 游家桓

この2 年半、マレーシア観光局在台オフィスの所長を務めているアフマド・ファイサルさん。マレーシア観光を台湾に広める彼が、母国で成功したムスリムフレンドリーな旅行体験を皆さんへ紹介します。
セランゴール州の小さな町で生まれ育ったファイサルさんは、世界中を旅することを夢見ていました。マレーシア観光局の責任者としてキャリアをスタートさせてから15 年。観光産業へ足を踏み入れることを決心した時を振り返り、彼にとって旅行とは「幸せ」だと熱く語ります。「毎日新しい人たちと出会いがあり、遠くへ行って異文化を経験し、人とのつながりが広がる楽しい産業です。それに同じ場所にいるのは苦手なので、私には最高の仕事です。」
旅好きなファイサルさんですが、2014 年1 月に台北オフィスに配属されるまで台湾を訪れる機会はありませんでした。台北での生活は予想と大きく異なりましたが、とても楽しいものだそうです。「とても便利で進歩的、旅するにも働くにもよい場所です。素晴らしい未来のある国ですね。」
TAIPEI 秋季号 2016 Vol.05 ムスリムフレンドリーな旅の体験を
▲ (写真/ 游家桓)

言葉を学んで
台湾の扉を開く

台北での生活を楽しむファイサルさんですが、台湾へ来るまで中国語を勉強したことがなかったため、最初は旅行も買い物も難しかったそうです。そこで彼は家庭教師を雇いました。2 年後の今では基本的なコミュニケーションがとれるようになり、休日に台湾の探検を楽しんでいます。
自然愛好家でハイキングとダイビングが好きな彼にとって、花蓮と台東はお気に入りの旅行先です。台東県の熱気球フェスティバルに参加したり、花蓮県ではゴムボートで渓流下りをしたことがあるそう。東海岸に暮らす先住民の文化は、彼にサバ州とサラワク州の民族コミュニティを思い出させます。アミ族は7 ~ 8 月に豊年祭を行いますが、サバ州、サラワク州でも似たお祭りが5 ~ 6月に行われます。台湾は世界で最も広く分布しているオーストロネシア語族の起源だと考えられています。マレーシアはその中に含まれており、台湾先住民とサバ州とサラワク州の少数民族は関連があります。そのためファイサルさんはさらに深く台湾の先住民文化を学びたいと思うようになったそうです。彼はこのつながりが台湾とマレーシアを結ぶと考えています。
生活の基盤でありほとんどの時間を過ごす台北にも、もちろんファイサルさんお気に入りの場所があります。自然豊かな陽明山国家公園のほか、多様な屋台グルメが揃う士林夜市、いろいろな買い物が楽しめる西門町も大好きな場所です。
マレーシア人は海外旅行で文化と自然に親しみ、新しい食べ物に挑戦することが好きなのだそうです。屋台料理が多い台湾はこの点で恵まれているとのこと。交通の便が良く人々も親切な台北は、初めて台湾を訪れるマレーシア人にふさわしいとファイサルさんは言います。
マレーシアは人口の大半がイスラム教徒で、ファイサルさんもその1 人です。彼は台北には世界各国の多様なハラル(イスラム教で食べることが許された食品や料理)レストランが多くあることに気づきました。しかし台北以外ではとても少ないそうです。しかしこの状況も台湾政府のムスリムフレンドリーに対する熱心な努力によって時間とともに改善されると彼は期待しています。
TAIPEI 秋季号 2016 Vol.05 ムスリムフレンドリーな旅の体験を
▲ マレーシア観光局在台オフィス所長のファイサルさん。「台湾人旅行者にマレーシアを売り込む時、私は行き先だけではなく体験を売っているのです」と語ります。(写真/ 游家桓)

マレーシアの経験から学ぶ
台湾政府はイスラム教徒旅行者の誘致に関し、マレーシアから熱心に学んでいます。シンガポールの旅行サイトによる調査でマレーシアはこの数年、調査対象の50カ国のうち最もムスリムフレンドリーな旅行先に選ばれています。
ファイサルさんとマレーシア人の専門家たちは台湾観光局と協力し、マレーシアのイスラム教徒旅行者に対していかに台湾観光を広めていくかを提言する検討会を行ってきました。「昨年の台北国際旅展(ITF)では私たちの経験を観光局に紹介しました。私たちはこの取り組みに対して観光局、台北市と密接に提携しています」と彼は言います。
イスラム教徒の旅行といえばまず気になるのは食事ですね。ハラル料理は安全と品質を保証し、人道的に動物を扱う料理であるとファイサルさんは言います。マレーシアではほとんどのレストランで、世界的なファストフード店までもがハラル料理を提供しています。これらの店は全て、マレーシア唯一のハラル認証団体、マレーシア政府ハラル認証機関(JAKIM) の認証を受けています。さらにマレーシアではほとんどのホテルでイスラム教徒の利用客に対してキブラ(メッカがある方向)の案内と礼拝マットが用意されています。さらに旅行代理店は礼拝のための時間など宗教的ニーズに配慮したツアーを提供しているそうです。
ファイサルさんによれば、台北のハラルレストランや祈祷室は増えていますが台北以外では十分でなく、より一層の努力が必要とのことです。マレーシアでは宗教などに関わらず、すべての旅行者に快適さを提供することを重視していると説明します。非イスラム教徒の旅行者はイスラム文化を体験することが奨励されています。ハラル料理を作るツアーやイスラム教徒の家庭でのホームステイ、伝統料理の調理や昔ながらの方法による農業体験などに参加することによって、より理解を深めることができます。

重要な観光市場—台湾
似通った先住民文化を持つマレーシアと台湾。宗教、建築、テクノロジーなどに独自性を持ちながら、ともに文化の多様性を誇りとしています。マレーシアの人口は大多数がマレー系、華人系、インド系が占め、この他多くのエスニックグループが存在します。
ファイサルさんは台湾人旅行者へマレーシアを売り込む時、「体験」という言葉を好んで強調します。「私が扱うのは旅の行き先ではなく体験です。体験はあらゆる素晴らしい旅の要です」と彼は言います。最近の傾向では、台湾人旅行者はマレーシア東海岸の美しい島々や、サバ州、サラワク州を訪れることが多いそうです。また現代的なショッピングモールでの買い物のほか、子ども連れの旅行者にはレゴランドやハローキティタウンのようなテーマパークが人気です。もちろんグルメな台湾人にはペナンやクアラルンプールもおすすめとのこと。まさに今年、ペナンは世界で最高の料理が楽しめる旅行先のひとつに選ばれています。「マレーシアの料理はマレー、インド、中華料理の結晶で、これこそ強みでしょう」とファイサルさんは言います。
現在、マレーシアにとって台湾は注目の観光市場です。昨年マレーシアを訪問した台湾人は28万5,000 人、今年1 ~ 5 月では前年比13%増加しています。ファイサルさんはこれを航空便の利便性が高まったためと考えています。台湾とマレーシア各地を結ぶ直行便は増加しており、「台湾がいかにマレーシアにとって重要かが分かります」とファイサルさんは言います。航空便の利便性向上は彼が熱心に取り組んできた問題で、航空会社への働きかけによって多くの路線が実現しました。マレーシアは2020 年までに外国人訪問者数360 万人、観光収入1,680 億リンギットを達成し、観光を国の重要産業とすることを目指しています。
文化、宗教、食事、そして多様な自然。マレーシアを旅する人たちすべてをユニークでエキサイティングな経験が待っています。さあ出発の時です!

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