発表日:2017-03-22
1927
芸術があなたの暮らしを変える
2016 台北アートフェスティバル
文 _ 謝瑩潔
写真 _ 黒眼睛跨劇団、蒂摩爾古薪舞集、ブラックグレイス
「芸術はパンのように食べることはできませんが、パンをよりおいしく変えることはできます」——台北アートフェスティバルで芸術総監を務める耿一偉氏はそう言います。芸術は日々の暮らしにこれまでにない感覚体験をもたらし、人々の世界を見る目を変えてしまいます。
今年開催される第18 回台北アートフェスティバルは「芸術があなたの暮らしを変える」をテーマとし、台湾および世界各国のアーティストを招いて演劇、音楽、舞踏、ヌーヴォー・シルク(フランス語で「新しいサーカス」、サーカスとアートを融合させたエンタテイメント)、相声(中国の伝統的話芸、日本の漫才に相当)、舞台劇の映像記録など、さまざまな形式の11 プログラムが上演され、あなたの暮らしに新鮮な風を吹き込みます。

▲ 蒂摩爾古薪舞集とニュージーランドのブラックグレイスがアーティスト・イン・レジデンス形式で生み出した舞踏作品『在一起(2Gather)』は、先住民の伝統と現代精神を表現しています。(写真/蒂摩爾古薪舞集、ブラックグレイス)
台北発と「国際共同製作」
「アートフェスティバルは都市の特色を反映したものでなければならない」と述べる耿総監は、台北の特色として、若く、創意にあふれ、多様である点を挙げました。その上で「今年は特に性的少数者、先住民、客家の要素を取り入れた」と強調。より新鮮なプログラムを提供すると同時に国際的な相互協力を通じて台北をクリエイティビティの中心地とし、アーティストたちの活動を支援できるムードを生み出したいとの想いを語っています。
台北アートフェスティバルでは近年、世界各国の芸術祭との連携に積極的に取り組み、「国際共同製作」のコンセプトを基に世界のアートシーンで最もホットな作品を届けています。例えば今年のプログラムでは、プロ野球と米大リーグとの間に潜む、依存しつつ矛盾する関係性を描き出した岡田利規演出の台日韓共同制作による演劇作品『God Bless Baseball』、同党劇団(TheParty Theatre Group)とフランスの劇団、Cie du Veilleur が共同で作り上げた、欧州議会アシスタントの目を通じて権力構造を描く『欧州聯結(Europe Connexion)』、蒂摩爾古薪舞集(Tjimur Dance Theatre)とニュージーランドのダンスグループ、ブラックグレイスのコラボレーションによる先住民の伝統と現代精神を表現した舞踏作品『在一起(2 Gather)』などがそういった作品に挙げられます。
サーカス
女子高生と世界の窓
台北アートフェスティバルの特色の一つに、毎年、ファミリー向けプログラムとして「サーカス」の上演を行っていることも挙げられます。今年も、2014 年の台湾公演で好評を博した英国のガンディーニ・ジャグリングによる、ジャグリングとバレエを融合させたパフォーマンス『4x4瞬間建築(4 X 4 EPHEMERAL ARCHITECTURES)』や、福爾摩沙馬戯団(Formosa Circus Art、FOCA)と演出家、Baboo のコラボレーションによる、漫画かアニメのような驚きいっぱいの幻覚的なサーカス・パフォーマンス『一瞬之光 How Long Is Now?』が披露されます。
河床劇団(Riverbed Theatre)が台北市立中山女子高校の生徒と共に生み出した演劇作品『停格(StillLife)』では、女子高生たちの目を通じて見た都市の姿が描き出されます。またイタリアで最も権威のある演劇賞「プレミオ・ウブ」で3 度の受賞経験を持つ前衛劇団、Motusによる一人芝居『 MDLSX』は、主演のシルビア・カルデローニが演じる両性具有者の物語を通して現代社会における性別に関する既成概念をくつがえします。フランスのビジュアルアーティスト、フィリップ・ケーヌが手掛ける『La Mélancolie des Dragons(中国語タイトル・龍之憂鬱)』は、過去にフランスのモリエール賞にノミネートされた演劇作品で、詩情あふれる雪景色の舞台にヘビーメタル・ミュージックの楽園が出現します。イスラエル出身の演出家、ヤエル・ロネン演出の『コモン・グラウンド』は、出演者である7 人の移民2世が紛争で消失したユーゴスラビアへ戻り、共通の記憶を探るという内容です。耿氏は「演劇を通じて戦争や民族間の怨恨が和解へと向かい、それが出演者本人の体験へと転化されている」と評します。

▲ 『 我是東西南北香蕉人』は、清朝末期の改革派詩人、黄遵憲を主人公とする奇想天外なタイムスリップ劇です。(写真/黒眼睛跨劇団)
奇想天外ミュージカルと
シェークスピア
舞台演出家、鴻鴻と台湾最大の音楽賞「金曲獎」ノミネート歌手、黄連煜がタッグを組んだミュージカル『我是東西南北香蕉人(我はさすらいのバナナマン、Bananaiana)』は、清朝末期の改革派詩人、黄遵憲を主人公に、詩、歌、ロック、人形劇の要素を融合させた奇想天外なタイムスリップ劇です。同作品について耿氏は「歴史上でも黄連煜は当時、非常に前衛的だった人物で、そんな彼が今の台北に現れてこの世界を目にすれば、さすらい人の多様化、国際化、それこそが台北を象徴する言葉だと言うでしょう」と述べています。
シェークスピアの没後400 年に当たる今年、台北アートフェスティバルでも、彼をテーマとする相声および映画の上映によってその功績に敬意を表します。相声瓦舍(Comedians workshop)は10 月7 日、大安森林公園の野外ステージにてシェークスピア劇の古典的シーンと新たに創作した場面を組み合わせた作品を無料上演します。また映画『博士と彼女のセオリー』への出演で知られる女優、マクシーン・ピークが男の主人公を演じる舞台劇の映像記録『ハムレット』は、9 月13 日に中正記念堂・演芸庁で上映されます。「台北アートフェスティバルが観衆の世界に対する感受性と観察力をより鋭敏なものとする一つのきっかけになり、そのムードが都市全体に広がってほしい」と耿氏は語っています。
台北アートフェスティバル
www.taipeifestival.org
フェイスブックで「臺北藝術節 Taipei Arts Festival」と検索してください
TAF 前売りブース:中山堂広場、公館自来水園区、中正紀念堂広場
(02)2528-9580 内線191 ~ 199
2016 台北アートフェスティバル
文 _ 謝瑩潔
写真 _ 黒眼睛跨劇団、蒂摩爾古薪舞集、ブラックグレイス
「芸術はパンのように食べることはできませんが、パンをよりおいしく変えることはできます」——台北アートフェスティバルで芸術総監を務める耿一偉氏はそう言います。芸術は日々の暮らしにこれまでにない感覚体験をもたらし、人々の世界を見る目を変えてしまいます。
今年開催される第18 回台北アートフェスティバルは「芸術があなたの暮らしを変える」をテーマとし、台湾および世界各国のアーティストを招いて演劇、音楽、舞踏、ヌーヴォー・シルク(フランス語で「新しいサーカス」、サーカスとアートを融合させたエンタテイメント)、相声(中国の伝統的話芸、日本の漫才に相当)、舞台劇の映像記録など、さまざまな形式の11 プログラムが上演され、あなたの暮らしに新鮮な風を吹き込みます。
▲ 蒂摩爾古薪舞集とニュージーランドのブラックグレイスがアーティスト・イン・レジデンス形式で生み出した舞踏作品『在一起(2Gather)』は、先住民の伝統と現代精神を表現しています。(写真/蒂摩爾古薪舞集、ブラックグレイス)
台北発と「国際共同製作」
「アートフェスティバルは都市の特色を反映したものでなければならない」と述べる耿総監は、台北の特色として、若く、創意にあふれ、多様である点を挙げました。その上で「今年は特に性的少数者、先住民、客家の要素を取り入れた」と強調。より新鮮なプログラムを提供すると同時に国際的な相互協力を通じて台北をクリエイティビティの中心地とし、アーティストたちの活動を支援できるムードを生み出したいとの想いを語っています。
台北アートフェスティバルでは近年、世界各国の芸術祭との連携に積極的に取り組み、「国際共同製作」のコンセプトを基に世界のアートシーンで最もホットな作品を届けています。例えば今年のプログラムでは、プロ野球と米大リーグとの間に潜む、依存しつつ矛盾する関係性を描き出した岡田利規演出の台日韓共同制作による演劇作品『God Bless Baseball』、同党劇団(TheParty Theatre Group)とフランスの劇団、Cie du Veilleur が共同で作り上げた、欧州議会アシスタントの目を通じて権力構造を描く『欧州聯結(Europe Connexion)』、蒂摩爾古薪舞集(Tjimur Dance Theatre)とニュージーランドのダンスグループ、ブラックグレイスのコラボレーションによる先住民の伝統と現代精神を表現した舞踏作品『在一起(2 Gather)』などがそういった作品に挙げられます。
サーカス
女子高生と世界の窓
台北アートフェスティバルの特色の一つに、毎年、ファミリー向けプログラムとして「サーカス」の上演を行っていることも挙げられます。今年も、2014 年の台湾公演で好評を博した英国のガンディーニ・ジャグリングによる、ジャグリングとバレエを融合させたパフォーマンス『4x4瞬間建築(4 X 4 EPHEMERAL ARCHITECTURES)』や、福爾摩沙馬戯団(Formosa Circus Art、FOCA)と演出家、Baboo のコラボレーションによる、漫画かアニメのような驚きいっぱいの幻覚的なサーカス・パフォーマンス『一瞬之光 How Long Is Now?』が披露されます。
河床劇団(Riverbed Theatre)が台北市立中山女子高校の生徒と共に生み出した演劇作品『停格(StillLife)』では、女子高生たちの目を通じて見た都市の姿が描き出されます。またイタリアで最も権威のある演劇賞「プレミオ・ウブ」で3 度の受賞経験を持つ前衛劇団、Motusによる一人芝居『 MDLSX』は、主演のシルビア・カルデローニが演じる両性具有者の物語を通して現代社会における性別に関する既成概念をくつがえします。フランスのビジュアルアーティスト、フィリップ・ケーヌが手掛ける『La Mélancolie des Dragons(中国語タイトル・龍之憂鬱)』は、過去にフランスのモリエール賞にノミネートされた演劇作品で、詩情あふれる雪景色の舞台にヘビーメタル・ミュージックの楽園が出現します。イスラエル出身の演出家、ヤエル・ロネン演出の『コモン・グラウンド』は、出演者である7 人の移民2世が紛争で消失したユーゴスラビアへ戻り、共通の記憶を探るという内容です。耿氏は「演劇を通じて戦争や民族間の怨恨が和解へと向かい、それが出演者本人の体験へと転化されている」と評します。
▲ 『 我是東西南北香蕉人』は、清朝末期の改革派詩人、黄遵憲を主人公とする奇想天外なタイムスリップ劇です。(写真/黒眼睛跨劇団)
奇想天外ミュージカルと
シェークスピア
舞台演出家、鴻鴻と台湾最大の音楽賞「金曲獎」ノミネート歌手、黄連煜がタッグを組んだミュージカル『我是東西南北香蕉人(我はさすらいのバナナマン、Bananaiana)』は、清朝末期の改革派詩人、黄遵憲を主人公に、詩、歌、ロック、人形劇の要素を融合させた奇想天外なタイムスリップ劇です。同作品について耿氏は「歴史上でも黄連煜は当時、非常に前衛的だった人物で、そんな彼が今の台北に現れてこの世界を目にすれば、さすらい人の多様化、国際化、それこそが台北を象徴する言葉だと言うでしょう」と述べています。
シェークスピアの没後400 年に当たる今年、台北アートフェスティバルでも、彼をテーマとする相声および映画の上映によってその功績に敬意を表します。相声瓦舍(Comedians workshop)は10 月7 日、大安森林公園の野外ステージにてシェークスピア劇の古典的シーンと新たに創作した場面を組み合わせた作品を無料上演します。また映画『博士と彼女のセオリー』への出演で知られる女優、マクシーン・ピークが男の主人公を演じる舞台劇の映像記録『ハムレット』は、9 月13 日に中正記念堂・演芸庁で上映されます。「台北アートフェスティバルが観衆の世界に対する感受性と観察力をより鋭敏なものとする一つのきっかけになり、そのムードが都市全体に広がってほしい」と耿氏は語っています。
台北アートフェスティバル
www.taipeifestival.org
フェイスブックで「臺北藝術節 Taipei Arts Festival」と検索してください
TAF 前売りブース:中山堂広場、公館自来水園区、中正紀念堂広場
(02)2528-9580 内線191 ~ 199
関連写真
:::
人気の記事
TAIPEI Quarterly 2016 秋季号 Vol.05
2017 年台北ユニバまであと1 年 熊讃ブラボーお誕生日おめでとう! (TAIPEI Quarterly 2016 秋季号 Vol.05)
NBA 挑戦の軌跡 ジェレミー・リン 「自分を信じれば夢はかなう」 (TAIPEI Quarterly 2016 秋季号 Vol.05)
卓球・江宏傑選手―― 目指すは台北ユニバの金メダル (TAIPEI Quarterly 2016 秋季号 Vol.05)
台北でグリーンな1 日を満喫 (TAIPEI Quarterly 2016 秋季号 Vol.05)
台北東部でハイキング 森を楽しもう 都会の隣に広がる 美しい森林へ (TAIPEI Quarterly 2016 秋季号 Vol.05)














