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台北観光サイト

TAIPEI 2015秋季号 Vol.01—フードストーリーの中心人物 柯沛如

アンカーポイント

発表日:2016-06-14

更新日:2016-09-23

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世界のキッチン:食から見る天下
世界は巨大なキッチン、人と物事が交錯しさまざまな人生の味を生み出します。
日々の食事は些細なこと、でもそれは過去と未来の歴史、文化、社会の姿の真実の記録です。このコラムでは食から世界を見、食に携わる人のすばらしい物語をご紹介。食をより多様で感動的にし、世界と台北の対話を目指します。
 
Beher 生活厨房とは
Beher 生活厨房は2008 年に食と生活についての考えを洗練させるスペースとして誕生。料理コースや食材生産地ツアーなどの活動を通じ、食に関する特色、アイディア、経験、体験をシェアし、食文化の全体像を表し美的教育を生活の中に取り込んでほしいと願っています。
 
台北出身の柯沛如氏はいろいろなことを学ぶため14 歳で単身渡米後、幾多の波乱を経てサンフランシスコにリアルフード・リアルストーリー(Real FoodReal Stories)を設立。サスティナブルフードにまつわる物語を紹介しています。
 
 IMG_8426.jpg
 
物語と食の出会いとは?
アメリカで学業を終えた後は、台湾に物語としてオーラルヒストリーを伝えたかったのですが、難病の自己免疫疾患を発症してしまいました。病院を渡り歩いても目立った成果はなかったのですが、ある日ヨガクラスの後、楽しい食事によって心と体が楽になり、食と健康の密接な関係に気づいたのです。体を癒すために自分で料理を作るようになり、やがて米国の自然食発祥の地サンフランシスコへ。病気のおかげで長い時間一人で過ごして分かったのは、都会の人々が互いの話にあまり耳を傾けず、人と一緒にいても孤独を感じること。多くの生産者のおかげで病気を治したこともあり、「サスティナブルフード」を軸に誰もが物語を通じて互いに親しみを持ち、リビングで主役と食の出会いにまつわるライフストーリーに耳を傾けられる、家庭のような環境と雰囲気を作りました。
 
子供は誰しも物語が好きですが、
物語が柯さんを惹きつける理由は?
最初は人に対する興味から、勉強の一環として隣近所の人を訪ねて映像と文章で彼らの日常生活を記録したのです。周囲の人や物を細かく観察し3 年が経つと、見知らぬ存在だった隣人と徐々に信頼が芽生えました。心からの話はシンプルで力強く、たとえ平凡な出来事でも独特の美しさと輝きが身に染みました。
 
2. IMG_1972(Credit to Pete Koff).jpg
▲柯氏の願いはリアルフード・リアルストーリーの思想、価値観、経験が一つの教育モデルとしてサンフランシスコから台北、全世界へと広がること。(著作権者:ピート・コフ(Pete Ko_))
 
バウマンカレッジを選んだ理由を教えていただけますか?
バウマンカレッジ(注1 )はキッチンに関連したレッスンの中に栄養学もあり、授業内容も多岐にわたっているからです。例えば、①本当の食とは何かを知る。新鮮・旬・未加工の現地の食材やハーブ、スパイスに含まれるミネラルやビタミンについて深く知る。②体と友達になる。全ての食は健康に繋がるため、大切なのは自分の体質に合っていること。③必要な栄養素を、妊娠中の母親・青少年・老人等のライフステージ別に理解する。④様々な食文化から健康の知恵を借りる、というものです。
 
3. DSC4328(Credit to Jenny Cheng).jpg
▲「深い理解は共感を呼びます。ヘンリー・ワーズワース・ロングフェロー(Henry Wadsworth Longfellow)の『もしも敵の秘められた歴史をひもとけるなら、我々は彼らの一人一人の人生に、あらゆる敵意を喪失させるに足る哀しみや苦しみを見出すことだろう』という言葉のように」と柯氏。(著作権者:ジェニー・チェン(Jenny Cheng))
  
リアルフード・リアルストーリーの設立以降、
どんな素敵な物語がありましたか?
最初の主役はブルーシーラボ(注2 )の創立者、マーティン・リードさん(Martin Reed)。サスティナブルフードに携わるきっかけについて「私が10 代の時、いつも家で有機食材を使っていた母が他界して以来、父と外食漬けの毎日でした。しかし父が循環器系の病気で倒れ、もう一度健康な体を取り戻さなければと感じたのです。食を学び自ら台所に立るようになると、良い食材は生産者の苦労とコストによって作られると分かりました。しかし価格も高い。そこで隣人や友人と団体購入しようと考えました」と語ります。この話は参加者の心に小さな火を灯し、盛り上がりは三次会まで続きました!

4. Real Food Real Stories_1st Year-59-small(Credit to Michelle Edmunds).jpg
▲食事とは命と食べ物の交わりの時。リアルフード・リアルストーリー(Real Food Real Stories)は、柯氏が育てたネクタリンの木と共に一周年を祝った。日の光に照らされた真っ赤な実は、夏の農園で一つ一つ手摘みされる熟れた果実のようで、そこには天気や生き物、この地を切り開いた先祖の祈りと知恵が記録されている。(著作権者:ミシェル・エドモン(Michelle Edmunds))
 
台北の思い出の味は?
父は屏東の潮州人ですが、母が北方出身なので、北方で好まれる麺料理が父と私の好物になりました。夏は家で冷麺を作り、タレの味を比べっこします。テーブルいっぱいの付け合わせ、錦糸卵、せん切りきゅうり、枝豆、細切りの鶏肉、幸せです!
 
リアルフード・リアルストーリー
Real Food Real Stories
www.realfoodrealstories.org


1. バウマンカレッジ(Bauman College):米カリフォルニア州の調理学校で、「健康になる食」という理念に貫かれた授業を開講(www.baumancollege.org)。
2. ブルーシーラボ(Blue Sea Labs):漁師から直接サスティナブルな魚介類の購入し、生態系と漁業従事者の権益を守る。
 
文 Beher 生活廚房
 

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