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TAIPEI 2016春季号 Vol.03—メジャーリーガーチェン・ウェイン 台北での青春時代と思い出

アンカーポイント

発表日:2016-06-15

更新日:2016-09-23

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文 _ 陳瑞浩
写真 _ 台北市観光伝播局提供

1_陳偉殷(右)與台北市市長柯文哲夫婦在去年跨年晚會上同台,一起倒數迎新年。(潘俊霖攝).jpg
▲陳偉殷投手(右三)は昨年末のカウントダウンイベントで 柯文哲台北市長夫妻と同じステージに立ち、ともに新年を迎えました。(写真/潘俊霖)
「台北にやって来るたび、また変わったなあと感じます」―目に驚きを浮かべてそう口にするのは米メジャーリーグで活躍する陳偉殷(チェン・ウェイン)投手。この都市での暮らしに慣れてしまった台北の人々には彼の言葉はどこか新鮮に響きます。
王建民(ワン・チェンミン)投手に続き、台湾の人々を夜通しテレビの前に釘付けにする「台湾の星」となった陳投手は先ごろ、マイアミ・マーリンズ入団を決めました。
マウンド上ではいつも真剣な表情の彼も、台北のことに話が及ぶとほおを緩めます。そして、「日本や米国は職場という感覚が強くてなかなか気分転換できませんから、台北に戻るのはいつも楽しみです。ここは僕をリラックスさせてくれる場所なんです」と打ち明けます。
台北「モダンな都会」
かつ「勝利の地」
日本語の「一生懸命」を座右の銘とする陳投手のことですから、台北という街に対する第一印象も自然と野球に関わるものとなります。
「高校2 年生の時、高校野球の大会に出場するため、チーム全員でバスに乗って台北へ来て優勝を果たしました。その時の記憶は今も心に残っています」―そう語る陳投手は当時、チームのエースでした。中学卒業後、彼は自分の才能を証明するため、敢えて優秀なピッチャーがゴロゴロいる、競争の激しい高苑工商(高雄市)へと進みました。だからこそ主力として優勝を果たした場所、台北のことが彼の心に深く刻み込まれているのです。
当時の気持ちを陳投手は「試合で台北に来るたび、ここに来なければ知りもしなかったことを発見し、自分がとても遅れていると感じたものです。やっぱり台北は他の街とは違うんだなって」と振り返っています。
その後、プロの世界へと進み、日本球界からメジャーリーグへとキャリアを積み重ねてきた陳投手は、ホーム&アウェイ方式のリーグ戦を戦う中で数多くの都市を訪れました。「海外のものは何でもよく見える」というような言い方をする人は多いですが、彼にはまったくそうは感じられませんでした。
陳投手はこう言います―「台北に来るといつも、この街は特別だと感じます。例えば台北101(信義区)や百貨店、文化創意産業園区(クリエーティブパーク)といった場所には、レトロ感と現代感など多彩な要素が混ざり合ったスタイリッシュな雰囲気があります。それは日本や米国にはないものです」と。ここで語った台北101 で行われる毎年恒例の大みそかのカウントダウン花火には、陳投手にとって忘れられない思い出があります。
美しい記憶 ――
堤頂大道で見た花火
「ある年、僕はカウントダウン花火を見るため、家族と一緒に車で堤頂大道を台北101 に向かっていました。でも道がとても混んでいて、カウントダウンが始まってもまだ目的地に着かなかったので、そのまま堤頂大道で花火を眺めることになったんです」。

2_陳偉殷曾在堤頂大道上看到完整、璀璨的台北101大樓煙火。(高讚賢攝).jpg
▲陳投手はかつて、堤頂大道から完璧な美しさの台北101 の花火を目にした。(写真/高讃賢)
内湖区の基隆河沿いを走る堤頂大道から信義区までは約6 キロメートルの距離があるものの、500メートルの高さから見下ろすように立つ台北101 の姿はそこからでもはっきり目にすることができました。当時のことを陳投手は、「みんなビルに近ければ近いほど良いって言うけれど、あの時、堤頂大道で見た花火の美しさは完璧だった。それに家族と一緒に年が越せたということもあって格別な瞬間となりました」と語っています。
思い出の味、家族との時間
名古屋やバルチモア(以前所属していた日本や米国のチームの本拠地)での暮らしが長い陳投手ですが、「名古屋は静かで住みやすいけれど、あまり便利じゃない。それに比べて台北は縦横無尽にMRTが走り、食事や娯楽に困ることが全くない」と言い、利便性が高く、にぎやかな台北は決して日米の大都市に負けていないと主張します。
ほかにも「米国や日本ではレストランはほとんど、夜の早い時間に閉まってしまうから、家にいて突然お腹が空いてもどうしようもないけど、台北ならいつだってどこかしらで食べ物にありつける」とこの街の長所を挙げます。
ものを食べるという行為には、ただ空腹を満たすだけでなく、心を満たすという効果もあります。和食好きの陳投手には行きつけの店があり、台北に戻った際には東区(忠孝東路四段周辺エリア)の「菊川」や「鮨十兵衛」を必ず訪れるそうです。
また、2 歳になったばかりの息子を持つ陳投手は台北滞在中、親子の時間を大切にしていて、動物園が家族みんなのお気に入りの場所だそう。
「長男が動物好きだから、よく台北市立動物園に連れて行きます。特にキリンやゾウ、パンダを見ると大はしゃぎです。下の子はよく分かってないみたいですが、お兄ちゃんが好きなので一緒に喜んでいます」と話します。
「未来を見すえたスポーツ教育を」
メジャーの一流プレーヤー、台湾トップクラスのスターとなった陳投手は今年、故障なくシーズンを送ることはもちろん、2 人の息子との時間を多く持てるようにと願っています。息子たちが将来、自分と同じく野球の道を歩むかどうかについては、「子供には幅広い可能性を与えてやりたい。父親としてはあの子たちが健康に成長してくれることが一番」と語っています。
小さな頃から運動の習慣を身につけさせるという米国の教育方法に賛同する彼は台北でスポーツが盛んになってきていることについて、「多くの人が運動は単に健康のためと考えているけれど、幼いころから運動を始めれば、強い体を持った子供に育てることができるだけでなく、経験を通じて興味を持つという習慣も身につけられます」と強調します。
陳投手は、今年も春節(旧正月)を台湾で過ごせませんでしたが、太平洋の向こう側でトレーニングに専念しており、新たな所属先となったマーリンズの一員として、今シーズンも台湾に熱狂を届けてくれるに違いありません。米国にいても彼の心は常に台湾とつながっています。その中には忘れがたい思い出の残る台北のことも含まれているはずです。
 

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