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スポーツ都市:台北の新たな取り組み (TAIPEI Quarterly 2024 春季号 Vol.35)

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発表日:2024-03-11

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TAIPEI #35 (2024 春季号)

スポーツ都市:台北の新たな取り組み


  Joella Jian
編集 下山敬之
写真 Brown Chen、Mike Sung、Tzuying Sun、台北市工務局水利工程処、台北市観光伝播局

fs-1▲台北ドームが完成したことで、台北市は国際的なイベントや交流活動に参加する機会が増え、より国際的な認知を高めることができます。(写真・台北市観光伝播局)

治安の良さは地元住民、観光客に関わらず、その都市の生活品質を示す重要な指標です。安全面が心配な国では、その地域の風俗や文化を十分に楽しむことはできません。

様々なランキングを発表しているサイトRankingRoyalsが発表した「2023年世界で最も安全な市ランキング」によれば、台北は世界424都市のうち第4位にランクイン。また、世界各都市の安全指数や犯罪指数などを評価するNumbeoのデータベースによれば、台北は416都市のうち第3位という結果でした。

改善に向けた取り組み

台北市政府は、健康、治安、持続可能な開発目標を国際基準に近づけるために、過去2年の間に一連の改善政策を打ち出しました。蔣万安市長は就任1年目を「交通安全の年」と定め、「台北市交通安全計画」を元々の5年から3年に短縮することを宣言。この計画には、既存の交差点設計を改善するほか、アーケードの段差の平坦化、横断歩道の見直しや安全地帯の設置、歩行者専用道路の追加などが含まれています。これらの取り組みは、かつてCNNが台北市に付けた「歩行者地獄」というレッテルを剥がすために行われています。
 
fs-2▲蒋万安市長は、今年が台北市の「交通安全の年」と宣言しました。(写真・Mike Sung)

加えて、2030年までに二酸化炭素排出量を40%削減し、2050年までに排出量ゼロを達成するという具体的な目標を掲げ、そのために「スマート・ゼロカーボン建築」、「グリーン物流、低炭素交通」、「ゼロ、ウェイスト」などの一連の環境政策を推進しています。

同時に蒋市長はスポーツこそ都市の競争力であり、すべての市民が性別や民族を問わず楽しめる幸福への道であると考え、台北ドームの完成に注力しました。そして、市長のリーダーシップにより2023年にはアジア野球選手権大会の開催を実現し、2024年3月には日本の読売ジャイアンツと台湾のプロ球団による親善試合を2試合開催するに至りました。こうしたイベントやスポーツ政策では、若者から高齢者まですべての世代が一緒に参加することが推奨されています。台北市政府は、台北市を安全で日常的にスポーツに取り組める未来型の都市にするための新たな取り組みを始めています。

台北ドームの歩み

台北市信義区にある台北ドームは「台北文化体育園区」とも呼ばれ、多目的型のドーム球場であると同時に台湾最大の屋内運動施設でもあります。
 
設備はアメリカの赤土や日本の人工芝を取り入れるなど世界トップクラスとなっているほか、台湾の選手が国際的な環境に慣れ、国際大会でのパフォーマンス向上が図れるようにと、メジャーリーグ(MLB)の基準を満たした設計となっています。特に注目をすべき点は、グラウンドから最後部の高さが74・5mに及ぶドーム型の構造です。これはアメリカや日本の大型ドームと比べても高い設計となっており、球場全体を見渡せる開放的な景色が楽しめます。
 
fs-3▲メジャーリーグの球場に匹敵するこのスタジアムは、台北市だけではなく、台湾の新たなランドマークとなるでしょう。(写真・台北市観光伝播局)

台北ドームの建設計画は、1991年11月10日に行われた台湾シリーズの優勝決定戦がきっかけで始まりました。その日は不運にも大雨に見舞われ、球場にいた13000人の観客はずぶ濡れとなり、興奮した観客が球場に足を運んでいた行政院長・郝柏村氏にドームの必要性を訴えました。

数日後、行政院長は台北にも日本のドームのような大型スタジアムが必要として、建設計画を指示しました。台北ドームの名称は東京ドームの愛称である「ビッグエッグ」になぞらえ、華語で「大巨蛋」と表記します。

しかし、台北ドームの-建設は思うように進まず、32年に及ぶ歳月と6人の市長の交代を経て2023年10月20日に完成し、同年12月2日に正式オープンしました。

fs-4▲アジア野球選手権大会の閉会式に出席する蒋万安市長。(写真・台北市観光伝播局)

台湾の野球は国際的にも評価されており、台湾の人たちにとっても国民的なスポーツです。台北ドームは国際大会の会場としてだけでなく、台湾野球界の底上げにも活用されます。例えば、近隣諸国や高校の野球チームに対して奨励金を支給していますし、ドームを学生大会の会場とすることで、選手たちが若い頃から国際基準の球場でプレーできる機会を提供しています。

台北ドームの完成により、台北市では国際大会や交流イベントに参加する機会が増え、将来的にはレベル1やレベル2のグレードの高い国際試合も行われる予定です。野球界のレジェンドである王貞治氏も、台北ドームをアジアで一番の素晴らしいドームであると称賛しています。この球場は台湾の選手たちに慣れ親しんだ場所で戦う機会を与えると同時に、台北市の国際的な知名度を高め、より多くの観光客が訪れるきっかけとなるでしょう。

fs-5▲台北ドームと国父紀念館は地下通路でつながっているので通行が分散され、混雑しにくい構造になっています。(写真・台北市観光伝播局)

長い年月をかけて完成したこの球場は、野球を愛する人々にとって夢が現実となった場所と言えます。ぜひ台北を訪れる際には台北ドームに立ち寄り、これから刻まれていく歴史の1ページを体験してみてください。

台北市のスポーツ習慣

近年、台北市のスポーツ習慣は徐々に広がりを見せています。統計によれば、習慣的にスポーツに取り組む人口の割合、全国的なスポーツ大会における結果、全国的なスポーツ大会への参加人数、自治体のプロスポーツチームに対する補助金の額など様々な点で各都市をリードしています。

fs-6▲健康ブームに合わせ、ペットと一緒に外出し健康を維持しましょう。(写真・Tzuying Sun)

台北市政府は台北ドーム以外にもスポーツ政策として「スポーツ推進の3ステップ」、「アスリート育成の3ステップ」、「大型イベントを通じたスポーツ文化と経済発展の促進」という3つの柱を採用し、台北市を大規模なスポーツの拠点とすることで、市民の規則正しい運動習慣を養い、幸福な生活が送れるよう取り組んでいます。

fs-9▲台北の公園は家族で楽しめる場として人気で、子どもたちの運動への意欲を育むことができます。(写真・Brown Chen)

また、台北市は今年「スポーツセンター2.0プロジェクト」を始動しました。このプロジェクトは多様で総合的なスポーツ施設を設立することで、市のスポーツの発展を促すことを目的としています。プロジェクトの中には、各行政区におけるスポーツ施設のリソースの評価、公共のスペースや学校のキャンパス、利用可能な場所を評価した上での多目的なスポーツ施設の設置計画が含まれており、いずれもスマートな持続可能性、多様なコミュニティ、国際的な競技スポーツ、地域の特性といった要素が考慮されています。

各行政区に一つのスポーツ施設を設置することを基本とし、スポーツ活動のためのスペース拡大や施設の整備を通じて、すべての年齢層の人がスポーツに取り組める都市を目指しています。これによって市民は健康で持続可能性があり、楽しい生活を送ることができます。同時に、地域全体の包括的な施設として、ユニークなスポーツ会場やスポーツセンターを設立すべく取り組んでいます。質の高いインフラを提供し、国際的に有名なスポーツイベントを開催することで、世界に「スポーツ都市」として台北を認知してもらうことを目指しています。

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