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小説『流』に導かれ街かど探訪
クリスマスの鮮やかな赤に彩られた冬の台北は、相変わらず熱気にあふれています。
2015 年に日本で直木賞を受賞した台湾にルーツを持つ作家、東山彰良さんの作品『流』は台北が舞台となっていて、懐かしい時代のシチュエーションを切り取っています。東山さんが描く中華商場には中国各地のふるさとの味が集まり、大人の読者の多くが制服を作った学生時代の青春を思い出すことでしょう。広州街に住んでいたという東山さんは、万華区の龍山寺や西門町にその足跡を残したり、植物園で初めての恋を語ったり、大稲埕の持つ古都の魅力にも惹かれています。
文学のまなざしと小説の足あとを手掛かりに、新旧の台北の異なる息遣いを際立たせてみました。龍山寺にけぶるお香は数十年の間も変わらず、華西街の食べ物はいつもこれを目当てに観光客が訪れる味わいです。若者が集まる西門町は、アートとファッションを代表するスポットとなっています。東山さんの大好きな植物園には珍しい草花と上品で素朴な史跡がたたずみ、迪化街の古い建物やここで売られる各地の物産、クリエイティブなスタイルに手の届きやすい価格のおいしい食べ物は、旅人が心身ともに満たされるパラダイスです。この TAIPEI 冬号で、東山さんの台北文学の旅コースを一気にご紹介しています。
商業や工業の発達したテンポの速い社会では、手作りのぬくもりは何よりも大事です。熟練の職人が持つ伝統工芸へのこだわりは、台北の奥行きある文化を際立たせ、台北の物語をより豊かに鮮やかに彩ります。TAIPEI 冬号は、万華の伝統的な漢餅やお茶の老舗、鍛冶屋さん、仏具店などを紹介しています。時代に応じて扱う品に移り変わりはあれど代々受け継がれたものは、昔ながらの味わいに加え、もっと大事な信頼です。
手作りの紙や筆を使うことで、ひと味違う感動はいかがでしょう?製紙の技は、なんとペンダントトップやランプシェードまで生み出しています。百年の歴史を持つ筆づくりの専門家は、手作りの筆からメークアップ用ブラシを手掛け、老舗の看板に新たな息吹を添えます。伝統的なランタン工芸で技を存分に生かした素晴らしいアートが生まれたり、木工や錫、陶器など手工芸品は暮らしをセンス良く彩ってくれます。
文化と創意は街が持つパワーをよりふくらませる原動力です。TAIPEI 冬号ではレッド・ドット・デザイン賞の CEO であり、ワールド・デザイン・キャピタル(WDC) の提唱者、ピーター・ゼックさんによる台湾のデザイン産業に対する踏み込んだまなざしを紹介しています。また、駐台北韓国代表部の前代表、任期を終えたばかりの趙百相(チョ・ベクサン)さん、台湾で活躍する日本人の映画監督、北村豊晴さんが台北の印象を大いに語ってくれました。
2017 年の台北ユニバーシアードまで 250 日余り、今回は難病を克服した女子バレーボールの王欣婷選手と、台湾先住民、パイワン族のスケート選手、宋青陽選手の熱い闘いの物語をお届けします。台北ユニバに向けともに応援していきましょう!
クリスマスの鮮やかな赤に彩られた冬の台北は、相変わらず熱気にあふれています。
2015 年に日本で直木賞を受賞した台湾にルーツを持つ作家、東山彰良さんの作品『流』は台北が舞台となっていて、懐かしい時代のシチュエーションを切り取っています。東山さんが描く中華商場には中国各地のふるさとの味が集まり、大人の読者の多くが制服を作った学生時代の青春を思い出すことでしょう。広州街に住んでいたという東山さんは、万華区の龍山寺や西門町にその足跡を残したり、植物園で初めての恋を語ったり、大稲埕の持つ古都の魅力にも惹かれています。
文学のまなざしと小説の足あとを手掛かりに、新旧の台北の異なる息遣いを際立たせてみました。龍山寺にけぶるお香は数十年の間も変わらず、華西街の食べ物はいつもこれを目当てに観光客が訪れる味わいです。若者が集まる西門町は、アートとファッションを代表するスポットとなっています。東山さんの大好きな植物園には珍しい草花と上品で素朴な史跡がたたずみ、迪化街の古い建物やここで売られる各地の物産、クリエイティブなスタイルに手の届きやすい価格のおいしい食べ物は、旅人が心身ともに満たされるパラダイスです。この TAIPEI 冬号で、東山さんの台北文学の旅コースを一気にご紹介しています。
商業や工業の発達したテンポの速い社会では、手作りのぬくもりは何よりも大事です。熟練の職人が持つ伝統工芸へのこだわりは、台北の奥行きある文化を際立たせ、台北の物語をより豊かに鮮やかに彩ります。TAIPEI 冬号は、万華の伝統的な漢餅やお茶の老舗、鍛冶屋さん、仏具店などを紹介しています。時代に応じて扱う品に移り変わりはあれど代々受け継がれたものは、昔ながらの味わいに加え、もっと大事な信頼です。
手作りの紙や筆を使うことで、ひと味違う感動はいかがでしょう?製紙の技は、なんとペンダントトップやランプシェードまで生み出しています。百年の歴史を持つ筆づくりの専門家は、手作りの筆からメークアップ用ブラシを手掛け、老舗の看板に新たな息吹を添えます。伝統的なランタン工芸で技を存分に生かした素晴らしいアートが生まれたり、木工や錫、陶器など手工芸品は暮らしをセンス良く彩ってくれます。
文化と創意は街が持つパワーをよりふくらませる原動力です。TAIPEI 冬号ではレッド・ドット・デザイン賞の CEO であり、ワールド・デザイン・キャピタル(WDC) の提唱者、ピーター・ゼックさんによる台湾のデザイン産業に対する踏み込んだまなざしを紹介しています。また、駐台北韓国代表部の前代表、任期を終えたばかりの趙百相(チョ・ベクサン)さん、台湾で活躍する日本人の映画監督、北村豊晴さんが台北の印象を大いに語ってくれました。
2017 年の台北ユニバーシアードまで 250 日余り、今回は難病を克服した女子バレーボールの王欣婷選手と、台湾先住民、パイワン族のスケート選手、宋青陽選手の熱い闘いの物語をお届けします。台北ユニバに向けともに応援していきましょう!
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- 華やかな輝きを支える技 ランタン職人‧陳祖栄 (TAIPEI Quarterly 2016 冬季号 Vol.06)華やかな輝きを支える技 ランタン職人‧陳祖栄 文 _ 樊語婕 写真 _ 施純泰、陳祖榮 今年の台湾ランタンフェスティバルに登場した高さ12メートルの「祥猴献桃」や、2014年台北ランタンフェスティバルを彩った「孔子周遊列国」、「昭君出塞」などの優美なランタン。これらはすべて国宝級のランタン職人‧陳祖栄さんの手によるものです。2013年に台北ランタンフェスティバルに出品された「伝統芸陣...19432017-03-23
- 伝統の木‧錫‧陶工芸 生活用品に手作りの温もり (TAIPEI Quarterly 2016 冬季号 Vol.06)伝統の木‧錫‧陶工芸 生活用品に手作りの温もり 文 _ 杜韻如 写真 _ 施純泰、Woo Collective 手作りの温もりが加わった日用品は単なる道具ではなく、暮らしの美を備えたスタイリッシュな装飾品です。職人の腕とデザイナーのアイデアと想像力で伝統的な工芸材料に手作りの温もりを与え、都市の日常に温かみを添えようする動きが台北で始まっています。 温もりの木で暮らしに彩り...20012017-03-23
- 伝統の技が生む紙と筆 手書きでしたためる記憶 (TAIPEI Quarterly 2016 冬季号 Vol.06)伝統の技が生む紙と筆 手書きでしたためる記憶 文 _ 樊語婕 写真 _ 吳金石、施純泰 スマートフォンやパソコンを使う毎日で、「手書き」の温もりと感動を忘れてはいませんか?手づくりの紙と筆に特有の質感に魅せられ、その伝統的な製法を学ぶ人たちがいます。さらに彼らは、昔ながらの工芸品に現代的なアイデアを取り入れ、新たな生命を吹き込んでいます。 ▲ 商品の細かな部分に李孟書さんの...17782017-03-23
- 路地裏の名人を訪ねて 物語が呼び覚ます町の記憶 (TAIPEI Quarterly 2016 冬季号 Vol.06)路地裏の名人を訪ねて 物語が呼び覚ます町の記憶 文 _ 葉亜薇 写真 _ 林衍億 万華は台北で最も早くから栄えた地域で、茶葉店、中華菓子店、漢方薬局、衣類や時計の卸売り、昔ながらの鍛冶屋などが集まっています。こういった人々の暮らしと密接に関係する商売から、かつての生活の痕跡を見つけることは難しくありません。何代にもわたって受け継がれてきた伝統の技、そして職人たちは、今ではこの地ならでは...17542017-03-23
- 北村豊晴さんの映像人生 (TAIPEI Quarterly 2016 冬季号 Vol.06)20代、30代、40代 北村豊晴さんの映像人生 文 _ 江欣盈 写真 _ 北村豊晴 「中年の危機(ミッドライフ‧クライシス)を迎えた父親、“空の巣症候群”の母親、そして仕事、恋愛、人間関係と青春の問題に直面する3人の子ども」これは北村豊晴監督の最新作「植劇場—恋愛砂塵暴」のメインテーマです。北村監督は一貫してユーモアあるオーバーな視覚表現で、幻想とリアルの間のシチュエーションを軽妙に描...22722017-03-23
- 「台湾は太平洋に浮かぶ真珠」 -趙百相さん (TAIPEI Quarterly 2016 冬季号 Vol.06)「台湾は太平洋に浮かぶ真珠」 -趙百相さん 文 _ 顔艾玨 写真 _ 楊佳穎、駐台北韓国代表部 ▲ 趙百相さんは、地理、自然、人、文化、風俗、歴史などなど旅する度に台湾のさらなる魅力や強みを発見するといいます。(写真/楊佳穎) 信義区の台北世界貿易センター22階に入居する韓国の対台湾窓口機関「駐台北韓国代表部」に入ると、趙百相(チョ‧ベクサン)同部前代表のオフィスからは、海外から...12522017-03-23
- 自転車で台湾の自然に遊ぶ (TAIPEI Quarterly 2016 冬季号 Vol.06)渡り鳥のようなドイツの旅人 自転車で台湾の自然に遊ぶ 文 _ 蔡嘉瑋 写真 _ 陳正国 「グランド‧ツアー」──18 世紀イギリス貴族の子息がヨーロッパ大陸で長い期間を過ごし見聞を広めることに由来する旅の形──は、旅行の真髄だと見なされてきました。1人で自然の中を歩き回って太陽の日差しと風景が与えてくれる温かさを感じ、寂しさと孤独がもたらす意義を学びます。旅というものは単に食べたり飲ん...11592017-03-23
- 台北都市外交 それぞれの輝き (TAIPEI Quarterly 2016 冬季号 Vol.06)姉妹都市‧友好都市に台北の魅力を発信 台北都市外交 それぞれの輝き 文・写真 _ 台北市秘書処国際事務組 台北市の柯文哲市長は市長に就任して間もなくの2015年初め、米国や日本の友好都市や姉妹都市を積極的に訪れ、大きな反響を呼びました。今年下半期には相次いで各都市が台北を訪問し、台北市は姉妹都市との関係をより強固にしたのみならず、台北のさまざまな姿、そして豊かな文化を伝えました。これによ...11782017-03-23
- 迪化街でグルメ堪能 (TAIPEI Quarterly 2016 冬季号 Vol.06)レトロを味わう台北の旅 迪化街でグルメ堪能 文 _ 許慈倩 写真 _ 施純泰 東山彰良さんは小説『流』で、魅力ある旧市街や新旧が交錯する独特の雰囲気など、子供時代を過ごした台北を描いています。東山さんは、散歩しながらグルメを味わい、懐かしさを抱きながら全く違う新鮮なものごとを探索するという、にぎやかな雰囲気の中での温故知新の旅が台北旅行の最大の醍醐味だと話します。中でも台北最古の問屋街...20932017-03-23
- 異次元ジャングル「台北植物園」 (TAIPEI Quarterly 2016 冬季号 Vol.06)活気溢れる青春の緑 異次元ジャングル「台北植物園」 文 _ 許慈倩 写真 _ 台北市観光伝播局、施純泰 青春小説として東山彰良さんの『流』をとらえると、初恋の場面で何度も登場する「台北植物園」には、味わわずにはいられない旧市街の余韻が満ち溢れています。主人公の葉秋生は当初、祖父の死の真相を究明するため頻繁に台北植物園へ足を運びますが、これをきっかけに恋が始まります。民国60~70年代(...21632017-03-23
- アートの中心——西門町 (TAIPEI Quarterly 2016 冬季号 Vol.06)過去の輝きを取り戻した アートの中心——西門町 文 _ 許慈倩 写真 _ 施純泰、頼建宏、呂恩賜、台北市観光伝播局 タトゥー、人気の音楽、流行の服、輸入製品、映画。現在の西門町は若者のサブカルチャーの聖地です。しかし清朝時代は市街地の外に位置する手つかずの地域でした。日本統治時代に入り、日本政府はその力を示すため西門町にハイセンスな娯楽を中心とした商圏と日本人の宿舎を作りました。50年...27282017-03-23
- 昔ながらの文化の都--艋舺 (TAIPEI Quarterly 2016 冬季号 Vol.06)ありのままの庶民の生活 昔ながらの文化の都――艋舺 文 _ 許慈倩 写真 _ 施純泰 ▲ 近年では多くの芸術家がここで展覧会を行ったり創作に打ち込んだりしており、剥皮寮にアートの力を注入しています。(写真/施純泰) かつて万華は艋舺(マンガ)と呼ばれる台湾三大都市のひとつでした。大変賑わった街だったため、この地域では交通網が発達しました。東山彰良さんが幼少期を過ごした広州街は...16382017-03-23
- 文学の世界と共に「流」れる町 台北旧市街地の今と昔 (TAIPEI Quarterly 2016 冬季号 Vol.06)文学の世界と共に「流」れる町 台北旧市街地の今と昔 文 _ 許慈倩 写真 _ 施純泰、王能佑 ▲ 台北旧市街地は魅力的な歴史の香りがただよいます。(写真/施純泰) 台北を好きになる理由はたくさんあります。いま、歴史を切り口に好きになるのがトレンドになっているようです。 台北は進化を続ける町です。壮大な建築物、豪華なオフィスビル、おしゃれなショッピングセンターがあり、整備された...15902017-03-23
- スケートを履いたパイワン族戦士宋青陽選手 (TAIPEI Quarterly 2016 冬季号 Vol.06)2017台北ユニバ‧ローラースケート競技で金メダルを スケートを履いたパイワン族戦士宋青陽選手 文 _ 謝瑩潔 写真 _ 李庭歓、王冠文 ▲ 宋青陽選手はローラースケートとアイススケートの両方に取り組む数少ない選手の一人。(写真/王冠文) 台湾先住民の間で神とあがめられるヘビ「ヒャッポダ(百歩蛇)」をデザインしたウェアに身を包み、頭の両脇を剃り上げ、残した髪をポニーテール状に結ん...19792017-03-23
- 難病を乗り越え、自分と戦う 女子バレーのポイントゲッター 王欣選手 (TAIPEI Quarterly 2016 冬季号 Vol.06)難病を乗り越え、自分と戦う 女子バレーのポイントゲッター 王欣婷選手 文 _ 謝瑩潔 写真 _ 王欣婷、台北市観光伝播局 2015年に開催された韓国‧光州ユニバーシアードで台湾選手団の旗手を務めた女子バレーボールの王欣婷選手は、すらりとしたプロポーションに女優の桂綸鎂(グイ‧ルンメイ)を思わせる爽やかでナチュラルな雰囲気をまとい、優雅に歩く姿はまるで有名モデルかと見まごうばかりです。...22072017-03-23
- TAIPEI Quarterly 2016 冬季号 Vol.06編集者の言葉 小説『流』に導かれ街かど探訪 クリスマスの鮮やかな赤に彩られた冬の台北は、相変わらず熱気にあふれています。 2015 年に日本で直木賞を受賞した台湾にルーツを持つ作家、東山彰良さんの作品『流』は台北が舞台となっていて、懐かしい時代のシチュエーションを切り取っています。東山さんが描く中華商場には中国各地のふるさとの味が集まり、大人の読者の多くが制服を作った学生時代の青...7602017-03-23