紹介
歸綏街303巷9号にある「辜家塩館」は、海峡交流基金会の前理事長・辜振甫の父である辜顕栄氏により1910年に建設されました。当時、辜家は塩業を営んでいたため、この辜家邸は古くから「塩館」と呼ばれていました。商売のため、当時の淡水河埠頭を臨む場所に建てられ、船は直接邸宅前の岸につけることができました。
辜家が1961年に転居した後の1963年から現在に至るまでは、栄星幼稚園として利用されています。西洋後期のルネサンス建築を模した非常に特色のある建築で、前面には拱廊(きょうろう)、クリーム色の外壁、優雅な拱窓(アーチ窓)、陶器の欄干があり、正面中央の側壁には細かい勲章やレリーフによる装飾が施され、西洋の文明がアジアに押し寄せてきた風潮を反映した、当時の代表的な富豪の邸宅です。大量のヒノキで精巧に造られた天井と階段の保存状態も良く、壁には辜顕栄氏の経営した大和洋行の標記が残されています。辜家塩館は辜家の繁栄を証明するばかりでなく、台北の歴史の重要な1ページでもあります。