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台湾とフィリピンをより近く マニラ経済文化弁事処 アンヘリト‧バナヨ代表 (TAIPEI Quarterly 2017 冬季号 Vol.10)

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発表日:2017-12-18

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台湾とフィリピンをより近く
マニラ経済文化弁事処 アンヘリト‧バナヨ代表

_ Rick Charette 写真 _ 陳伯瑋
 

フィリピンは、この40年間の政治における発展がしばしば世界の注目を集めています。アンヘリト‧タン‧バナヨさんは傍観者としてではなく、その渦中に身を置いてきました。舞台裏、とくに国政の裏方として多くの政府要人を支え、国民のため、人々の声をより反映させる進歩した政府を作り上げ、従来のやり方を覆すべく努力しています。

現在、バナヨさんは自ら「より目立たない」仕事に取り組んでいます。台北に住み、マニラ経済文化弁事処(MECO)を率いてもミッションは以前と同じ—フィリピンの仲間がより良く暮らせるよう、台湾、台北とフィリピンの友好関係をより深めることです。

バナヨさんはビジネスパーソンとして社会に出ました。企業で働くかたわら、経済やマーケティングについて大学で教えていました。政治の世界へ足を踏み入れたのは1980年代初めのことです。その後、フィリピン観光省代表、政治家ジョセフ‧エストラーダ氏の顧問、ベニグノ‧アキノ三世の大統領選の幹部などを務めました。
 

台北への道

2015年から2016年にかけ、ロドリゴ‧ドゥテルテ氏の大統領選キャンペーン活動で広報と戦略を担当。ドゥテルテ氏が大統領選で勝利をおさめたのち、台北に異動しました。

「実は海外任務は今回が初めてです」とバナヨさんは言います。「これまではずっとフィリピンが拠点でした。さまざまな役職で他の国々と仕事をしてきましたが、特にASEAN(東南アジア諸国連合)諸国と良い関係を築いています。この歳になって外交に関わりたいと思い、ドゥテルテ大統領の同意を得て台湾へ来ることを選びました。20166月に任命され、11月から台北に住んでいます。実は同大統領に外交官に任命されたのは私が一人目です」。北京などいくつかの候補地から選んだのは台北、台湾でした。
 

台北の印象—過去と現在

「台湾は大好きです。赴任前にも何度か訪れたことがあり、多くが台北で開催される会議の代表としてでした。私は台北の発展を目の当たりにしています。初めて訪れたのは1987年、その後の変化は実にドラマチックでした」。サンワールドダイナスティホテル(旧アジアワールド)のある敦化北路周辺など、当時ビジネスの中心だった台北市東部でもほとんど未開発だったことを思い出します。きらびやかな商業エリアの信義区もわずか30年前は草木が生える農地でした。それが今や、素晴らしいデザインのビル群が立ち並んでいます。

「台北の長所は、急速に都市化が進んでいるのに、公園や緑地、憩いの場がバランスよく存在しているところです。フィリピンではコンクリートだらけのビル街に公園はほとんどありません。台北や台湾の都市は開放的な空間と都市化された空間がバランス良く保たれ、本当に素晴らしいと思います」。

「この国には驚かされます。テクノロジーのみならず、人々が勤勉で忍耐強い。農業であれ工業であれ絶え間ないイノベーションによって生産物は少しずつ改良され続けています。目標が何であっても、アプローチは科学的です。この点をフィリピンの人々が学べるよう支援し、台湾の知識や手法をフィリピンに持ち込みたいものです」。

台湾とフィリピンの違いをバンレイシ(台湾名は 「釈迦」)を例に取りこう説明します。「フィリピンでは段々見られなくなり、台湾のものより小さく種が多く食べるのに骨が折れます。台湾ではテクノロジーと勤勉さ、粘り強さで大きくて甘く、クリーミーな美味しい果物の一大市場が生まれています」。

また、企業の上層部で働く友人と、台湾の医療水準がいかに高く、世界的なレベルであるかということについて話し合ったことがあるといいます。友人は、台湾の医療水準はスウェーデンに次ぐと言ったそうです。
 

休暇の過ごし方

「台北は公園へ行ったり本や雑誌を読んだり、散歩したりするのに便利ですね。象山注 の登山道にもよく行きます。マニラにはこういうところがなく、田舎まで行かないといけないのが残念です。自由な時間には長めの散歩をしたり、ジョギングや早歩きをしたりします。住んでいる信義区にも多くの公園があります。これが私が台湾を楽しんでいる理由です。フィリピンと違い、高層ビルの谷間にも公園がありとてもバランスが取れています。台湾が成し遂げた成功に異論は唱えられません。どこへ行ってもその裏付けを見ることができます。」
 

フィリピンの旅人が見る台湾

「フィリピンの人々が台北や台湾に惹かれる理由はたくさんあります。ひとつは、香港に飽きていることです。香港も台北もフィリピンから同じくらいの距離にあり、とくに中産階級の人々は頻繁に香港を訪れます。私はフィリピンの新聞に『台北、台湾へ来てみてください。食べ物は同じように美味しいし、買い物もより安く楽しめますよ』と伝えています。フィリピン人は買い物が大好きで、これは米国から学んだのかもしれません。台湾は夜市(ナイトマーケット)でもアウトレットでも安く買い物ができますので、このことをウェブサイトでアピールしています。」
 

台北/台湾の観光にあればいいものとは

「基本的には台北の既存のものにさらに何かを加えるのは難しいでしょう。大人は公園や緑地を好みますが、フィリピン人の多くが子ども向けの場所を必要とするでしょう。家族を連れて来た時、大人向けのものが多いと気づきました。素晴らしい美術館や公園などがありますが、子ども向けなのは動物園くらいです。インタラクティブな娯楽がより必要で、それがより多くの観光客を呼び込むと思います。」

「その他、台北に限らず、大きい文字で書かれた英語の道路標示を検討してはどうでしょうか。外国人旅行者が自分で運転する場合、漢字が分からないと不便ですし、英語は下のほうに小さく書いてあるだけです。夜はかなり読みづらいです。大きな英語の標識があると助かります。小さなことですが、重要です。」
 

台北に来て—台湾でのミッション

「台湾とフィリピンはとても近く、マニラから台湾桃園国際空港までは飛行機でわずか1時間45分です。2017 年に北部カガヤン州に新空港が開港し、供用開始でさらに短くなりました。しかし物理的距離が近いのに、台湾人とフィリピン人はお互いよく理解していません。私は文化と教育の交流を通じ相互理解を促進していきたいと思っています。長らく貿易と商業が重視されてきましたが、これからは同士の温かいつながりを育てることで結びつきはより強くなるでしょう」。台湾が推進する「新南向政策」(東南アジア、南アジア、オセアニアの諸国との全方位的な関係強化を目指す政策)」、そしてフィリピンやASEAN諸国の渡航者に対するビザ免除は好ましいことだと言います。「台湾とASEAN諸国の友情は強固になり、地域全体の安全も強化されるでしょう」。

注:象山は「四獣山」を構成する4つの山のひとつ。信義区の南に位置し、台北を一望できる中級レベルの登山道がある
TAIPEI 冬季号 2017 Vol.10 台湾とフィリピンをより近く マニラ経済文化弁事処 アンヘリト‧バナヨ代表

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