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同性婚記念日:同性カップルの夢 二人の父親の育児 (TAIPEI Quarterly 2020 春季号 Vol.19)

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発表日:2020-03-13

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TAIPEI #19 (2020 春季号)

同性婚記念日:同性カップルの夢 二人の父親の育児

文 = 章凱閎
編集 = 下山敬之
写真= Kris Kang、林志杰


2019年5月17日「国際反ホモフォビアの日」当日、台湾では同性婚を認める法案が成立し、アジア初の同性婚合法国家となりました。今年5月には合法化から1周年を迎えますが、これは台湾だけでなく全世界における人権の新たなマイルストーンになります。

この重要な日と同性愛者の人権は、人々に「愛に違いはない」ことを気づかせてくれます。同性愛者も人の親になる責任と権利が持てることの意味を林志杰(リンジュージエ)とJona の同性カップルの台北での生活から感じてみてください。TAIPEI 春季号 2020 Vol.19--同性婚記念日:同性カップルの夢 二人の父親の育児▲林志杰と Jona はいつでも4人で行動し、人々に愛に違いはないことを伝えています。

ようやく手に入れた日常
子供の幼稚園入園は、多くの親にとって緊張と期待が入り混じる大切な日です。林志杰とパートナーのJona もそうでした。その日の仕事を終えた二人は、初日の授業を終えた双子の息子を迎え、緑に覆われた敦化南路を歩きました。一見すると平凡な道のりですが、ここまでの道のりは決して簡単なものではありませんでした。

この日を迎えるために、二人の父親はたくさんの工夫を凝らしました。まずは息子たちに「幼稚園に通う」ということを説明し、先生の話を聞くよう言いました。そして何かあった時のために、「幼稚園に行った後はパパたちも家にはいないし、そばについてやることもできない」と言い聞かせました。

子供に気持ちの準備をさせるだけでなく、自分たちも勇気を出して「保護者」の身分と向き合わなければなりませんでした。しかし、台北の環境がゲイの人たちに優しいためか、林氏はパートナーと子供の手を引いて幼稚園に行くことに何の心配もなく、幼稚園の先生たちも何の偏見もなく双子を受け入れてくれました。兄弟二人も泣くことやぐずることもなく、うなずいてから先生と手をつないで教室に入っていったのです。TAIPEI 春季号 2020 Vol.19--同性婚記念日:同性カップルの夢 二人の父親の育児▲​​​​​​台北の街角を歩く姿は、誰もがオープンで寛容なこの都市で自由自在に生活できることを表しています。

人生の後半に夢を叶える
4年前、林氏はアメリカの代理母を通じて一組の双子を出産、彼と13歳年下のパートナーJona は二児の父となりました。父となる前は会社を経営しており、ずっと交際してきたパートナー、そして彼がゲイであることを受け入れてくれる年老いた両親がいて、同性愛者の中では人生の勝ち組と言えました。しかし、人生の後半を迎える岐路に立ち、彼は家庭を持ち、子を育てたいと考え始めたのです。林氏は「中年の危機だったのかも知れない」と振り返ります。TAIPEI 春季号 2020 Vol.19--同性婚記念日:同性カップルの夢 二人の父親の育児▲林志杰には幸運なことに理解ある両親がいました。今は彼自身が父親となり子供たちを支えていこうとしています。( 写真/林志杰)

英語のことわざに「子供は社会が育てる」というものがありますが、林氏曰くこの言葉は同性愛者の家庭に当てはめてるとわかりやいそうです。一組のゲイカップルに「母親」はいませんが、出産の過程には女性の協力が不可欠です。彼らの息子は台湾のレズビアンの友人に卵子を提供してもらい、アメリカの南カルフォルニアの代理母の子宮を借りて出産しました。これはまさに「グローバルビレッジ」の成功で生まれた奇跡なのだと言います。

同性家族の台北生活
台北の多様さと寛容さのおかげで、林氏は自身の判断が間違えているとは感じず、友人や家族、幼稚園の先生たちが受け入れてくれることで、子供の存在が彼らの人生の中で最も「可愛らしい負担」であると確信するようになりました。

「同性家族」は一見、一般的な家庭とは違うように見えますが、彼らの家庭では、一人を「パパ」、もう一人を「ダディ」と呼ぶこと以外は何も変わりません。週末には遊園地や親子レストランへ行き、スマホの中は息子の動画と写真でいっぱいと何をおいても子供が最優先です。TAIPEI 春季号 2020 Vol.19--同性婚記念日:同性カップルの夢 二人の父親の育児​​​​​​​▲​​​​​​​林志杰の満足そうな表情から、子供の存在によって世界が変わったことがわかります。

実際、台北には多くの同性家族がいますが、多くはあまり目立たないように生活しています。新生北路( シンションベイルー) にある「Go Go Kids 親子空間」は、レズビアンの方が開いた児童実験室で、ここでは遊ぶ以外にケーキ作りや実験ができ、他の同性家族とも知り合えるので、様々な性別のあり方に理解ある親が遊びに行くのにふさわしい場所になっています。

毎週末、彼らは一家4人総出で台北・新北地区のお出かけスポットへ足を運びます。児童新楽園、象山、宝蔵巌など、あちこちに彼らの思い出が残っています。「台北は子供にぴったりの都市です。親子で行ける場所の豊富さは、私が過去に行ったどの都市よりも優れています。一番重要なのは交通の利便性で、どこにでもスムーズに行けることです。アメリカから台湾へ戻ってからの15年、台北では運転をしていません。」と林氏は言います。

子供はやはり生活で一番気になるのは子供
ある人によっては子供を産み育てることは、商売と同じだと形容しますが、林氏は「似て非なるもの」と考えています。どちらも経済面、時間、精神面などで全力を尽くす必要があるところは同じですが、子育ては商売のように失敗してもやり直しができません。TAIPEI 春季号 2020 Vol.19--同性婚記念日:同性カップルの夢 二人の父親の育児▲子供たちの無邪気な笑顔は、パパたちの一番の癒やしです。

幼稚園が終わると、二人は息子をそれぞれ抱っこして敦化南路( ドンホァナンルー) を散歩して帰ります。その際、頭の中に子供たちが小中高、大学へと進み、そしてあっという間に親元を離れていく様子が浮かぶそうです。「その時になって二人を追いかけても、子供たちは相手にしてくれません。私の母は子供をいつまでも気にかけてはいけない。小さい頃から自立することを教えなくてはいけないと言っていました。私にはそれが理解できませんでした。遅かれ早かれ子供は自立しますが、その時まで私はできる限り面倒を見続けたいのです」。そう話す林氏から父親、母親問わず、子を愛する姿は同じなのだと教えられます。


Go Go Kids
🏩 中山区新生北路二段15 巷12 号
🕑 11:00 - 17:00

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