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アジサイが誘う稲穂の記憶─ 水車寮歩道と竹子湖周辺の歩道 (TAIPEI Quarterly 2018 秋季号 Vol.13)

アンカーポイント

発表日:2018-09-12

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アジサイが誘う稲穂の記憶
 

水車寮歩道と竹子湖周辺の歩道

 

鍾文萍

写真 李智為、台北市観光伝播局

TAIPEI 秋季号 2018 Vol.13 アジサイが誘う稲穂の記憶─ 水車寮歩道と竹子湖周辺の歩道
陽明山では台湾固有種の「ヤマムスメ」を目にすることもできます。

 

台北は米の産地という印象がないため、蓬莱米(台湾で品種改良されたうるち米)が誕生したのは嘉南平原でも、花蓮や台東でもなく、実は台北の陽明山だということを知る人は多くありません。1923年、日本人の平沢亀一郎と磯永吉は「草山(陽明山)に風、竹子湖に雨」と形容されたこの土地を気に入り、湿度が高くて涼しく、火山によってできた堰止湖で肥沃な土壌を有する竹子湖で新種の米を栽培することにしました。当時、竹子湖を代表する光景は咲き誇るカラーやアジサイではなく、青々と輝く稲の波だったのです。

 

米を運んだ道が花を愛でる道へ

今では竹子湖で稲作をする人はいなくなり、台北の産業史における重要な記憶は失われかけましたが、幸いにもかつての生活を象徴する脱穀所「水車寮」が残されています。台北市大地工程処がこの水車寮と米を運んだ道をつないで用水路沿いの歩道として整備し、竹子湖で稲作が行われた時代の面影を伝えています。

竹子湖バス停付近から水車寮への案内標識に従って南磺渓上流の岸辺を歩いて行くと、まもなく水車寮歩道の入り口に到着します。河川と農地に挟まれた500メートル足らずの歩道は、かつて竹子湖の住民たちが脱穀する米を運ぶために作った道でした。5分ほど歩くと竹子湖唯一の脱穀所で、当時人々に「ㄟ米間(脱穀する所)」と呼ばれていた水車寮が見えてきます。水車寮歩道に残されているのは「ㄟ米間」の石造りの壁だけではありません。農作業の往来のため河川と農地に沿って整備された、木や竹、鉄の橋も数多くその姿を留め、この歩道の大きな特色となっています。

陽明山にはハイキングコースが数多くありますが、水車寮歩道は人々の暮らしから生まれた数少ないコースです。かつての水田はカラーの花やアジサイ、四季の野菜であふれ、米を運んだ道は春夏になると大勢の人々が訪れて花を愛でる道となりました。

 

知る人ぞ知る
「黒森林」と秘密の小道

水車寮歩道をさらに進むともうひとつ、陽明山の知る人ぞ知る秘密のスポットがあります。ここはウェディングフォトの聖地といわれる「黒森林」です。水車寮歩道から海芋大道のほうへ歩いて行くと、約6分で到着します。黒森林は数多くのスギが立ち並んでいて、すっと高く伸びたスギが日光に照らされると地面にひとつひとつはっきりとした影を落とし、独特の雰囲気を醸し出します。

知る人ぞ知る黒森林ですが、実は海芋大道へ直接通じる小道があります。これは道を急ぐためにいつしか生まれた近道で、今では森林管理員に秘密の小道と呼ばれています。この小道の両側にもスギが立ち並んでいますが、道幅が狭く日差しも黒森林より弱いため、霧に包まれるとまるでトトロの巣穴に迷い込んだような非現実的な光景が広がります。竹子湖周辺にある遊歩道や水車寮歩道、そして黒森林とは全く異なる雰囲気を持つ秘密のスポットです。
 

TAIPEI 秋季号 2018 Vol.13 アジサイが誘う稲穂の記憶─ 水車寮歩道と竹子湖周辺の歩道黒森林と海芋大道をつなぐ秘密の小道。まるでトトロの巣穴に迷い込んだかのようです。(写真/台北市観光伝播局)
 

水車寮歩道

登山口    陽明山竹子湖     

全長        470メートル     

所要時間        30分(個人の体力による)       


 

陽明山現れた界一

昨年1130日、中国文化大学の上空に現れた1本の虹が9時間にわたって輝き続けました。この虹が「世界一長命の虹」としてギネス記録を更新した後、虹鑑賞のために多くの人が陽明山を訪れるようになっています。中国文化大学大気科学部の周昆炫副教授によると、虹は秋冬に現れる確率が高く、陽明山では朝、太陽が東南からのぼった時は北西の方角に、午後、太陽が南西に沈む時は北東の方角に見えるとのこと。また、高い山よりも比較的低くて視界が良好な紗帽山などから見るほうがよいそうです。

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