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金運を招く:台北の寺院と文化 (TAIPEI Quarterly 2023 冬季号 Vol.34)

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発表日:2023-12-11

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TAIPEI #34 (2023 冬季号)

金運を招く:台北の寺院と文化


文  ジェナ・リン・コーディ
編集 下山敬之
写真 Zifilm Studio、松山霞海城隍廟、松山慈祐宮、哥文虎家、関渡宮、台北市観伝播局

fs_1▲新年には、金運と安全祈願のために寺院を参拝するのが、台湾人の伝統的な習慣の一つです。(写真・Zifilm Studio)


金運向上を願う人たちは世界中にいますが、台湾の旧正月期間は金運や商売繁盛に関連する儀式やイベント、風習にあふれています。実際、台湾では旧正月に紅包(ホンバオ)を配るというお年玉に似た風習があるほか、新年の挨拶や歌の歌詞には「恭喜発財」という相手がお金持ちになることを願う言葉が使われます。その中でも特に注目すべきは、新年に歌われる「財神到」という歌の中心となっている財神です。

台湾の多様な財神

財神の概念は文化を超越しており、多神教の宗教の多くには、繁栄や幸運を司る神様と並んで財神が信仰されています。また、財神が複数いる国もあり、台湾もその一つです。伝統的な歌では「財神(ツァイシェン)がやって来る」と歌われていますが、意外にもその財神とは一人だけではないのです。

財神の歴史をたどると、古くは秦の時代にまでさかのぼり、数世紀にわたって四方位や八方位、様々な元素や色に関連付けられてきました。つまり、財神によって担当する職業や得られる富の種類が異なるのです。

中でも注目すべきは文、武、偏(幸運)の財神がいることで、それぞれ異なる役割を持っています。公務員や事業に直接関与していない人々が信仰するのは文財神です。武財神は、産業、貿易、ビジネスマンとより密接な関係を持っています。偏財神は幸運と関連しており、土地神である土地公や虎爺とつながりを持っています。

台北各地にある色鮮やかな寺院には、これらの財神を祀った祭壇が設けられています。ここで、来年の運気を上げたい方におすすめの4つの寺院をご紹介します。

松山霞海城隍廟:五路財神

松山霞海城隍廟は、中国泉州出身の商人、呂来興によって19世紀に建立されました。呂来興は台湾海峡を渡る際、航海の無事を願い霞海城隍に祈りを捧げていました。それが穏やかな天候と商売繁盛に繋がったとして、松山の美しさと繁栄への感謝からこの寺院を奉献し、後に五路財神を祀る神殿が増設されました。

fs_2▲1970 年代、政府が道路を拡張する必要があったため、地元の貴族が資金を集めて松山霞海城隍廟を移転、建設しました。 (写真・松山霞海城隍廟) 

五路財神は、道士でもある趙公明の伝説に基づいています。趙公明は五方(東・西・南・北・中)を司る神様で、中でも中央に位置する中路財神にあたります。

この他にも市場やお店に関連する北路財神の利市仙官、宝石に関連する東路財神の招宝天尊、安く買って高く売ることで財を招く南路財神の招財使者、貴重なものを集める西路財神の納珍天尊が祀られています。

このように様々なご利益を持つ五路財神は、多くの参拝者を惹きつけています。また、この寺院では伝統行事として、旧正月の5日目に財神を迎えるイベントが開催されます。スタッフが縁起の良い紅包用の封筒を配るので、大勢の参拝者が長蛇の列を作ります。

松山慈祐宮:虎爺

松山慈祐宮は賑やかな饒河夜市の隣にあります。この寺院は6階建てで、広大な正殿と複数の棟から成ります。18世紀に旅の僧が建立したこの寺院は、台湾北部の重要な媽祖廟の一つに数えられます。 

fs_3▲松山慈祐宮の媽祖神は台北の地元住民の宗教生活の中心にあります。(写真・松山慈祐宮)

ここでは媽祖のほか、虎爺の姿も見ることができます。虎爺は様々な神様の乗り物であるとともに、自身もまた財神です。実際、台湾の発音では、「虎爺(フー・イエー)」は豊かであることを表す「ホー・ジェー」と音が似ています。

fs_4▲虎爺に祈りを捧げると巨万の富が得られると言われています。(写真・哥文虎家)

また、「虎爺咬銭來(虎爺はお金を持ってくる)」という古いことわざもあれば「求銭母・換銭水」という金運上昇を願う儀式もあります。この儀式はまず、神殿にいるすべての神様を拝み、次に生肉、魚、卵、菓子などのお供物を虎爺のもとへ持っていきます。そして、自分の名前、住所、誕生日を告げ、水と小銭の入った器に硬貨を1枚を入れ、自分が入れた高価より価値の低い硬貨を1枚取り出します。お金の入った水が財を呼び込むという考え方なので、硬貨についた水滴を落とさないことが重要です。最後に硬貨を香炉の上で3回回し、小さな袋に入れて終了です。 

関渡宮:財神洞

北投の関渡宮は媽祖を祀っており、雲林の北港朝天宮、彰化の鹿港天后宮とともに、台湾の三大媽祖廟の一つです。 

fs_5▲関渡宮は3世紀に渡る長い歴史を持った台湾北部にある最古の媽祖廟です。(写真・Zifilm Studio)

関渡宮には財神洞と呼ばれる本堂の裏手へと続く人工のトンネルがあります。財神洞は1981年から2000年にかけて、近くの丘を掘って造られたもので、中には5人の財神が祀られています。五路財神と似ていますが、これらの財神は異なる歴史的背景があり、台湾で人気のある季倫や沈萬三といった人物が名を連ねています。

fs_6▲関渡宮にある財神洞の中には、数十メートルに渡り様々な財神が祀られています。(写真・関渡宮)

祀られている神様の1人目は、前述した趙公明、2人目が天官賜福です。これらの財神は旧暦の毎月15日に降臨し、人間の罪を裁き、祝福を与えるとされています。参拝者は申請をすることで、仕事運や金運を向上させるランプに明かりを灯すことができます。3人目は文比財神、またの名を比干王子と言います。伝説によると、比干は紀元前10世紀頃の人物とされており、実直な性格をしていました。彼は冷酷な殷の紂王から自らの心臓を切り出すよう命じられ、これに従ったと言われています。 

4人目は皇帝よりも裕福だったという季倫財神で、「幸運の星(祿星)」は中国の神話にも関連しています。5人目は元朝末期の大富豪、沈萬三です。一説によると、彼は南京市の建設費の3分の1を出資したそうです。

行天宮:五恩主

民権路と松江路の交差点にある行天宮は、台北の中でも比較的新しい寺院の一つです。1967年に建立され、20世紀半ばのデザインを反映しています。行天宮の特徴は、2014年にお香の使用を廃止したことで、台湾で初めて環境に配慮した寺院として歴史に名を刻みました。

fs_7▲行天宮には、生き物を捧げない、金紙を焚き上げない、神様に芝居を捧げない、外部からの寄付を募らない、商業行為を禁止するという他の寺院とは異なる特徴があります。(写真・台北市観光伝播局)

この寺院は特に、曹操や諸葛亮とともに三国志に登場する有名な武将、関羽を祀っていることで知られています。関羽もまた武財神の一人です。民間伝承では、関羽は算術に優れ、会計にも明るく、また誠実さを持ち合わせた人物であったとされています。この言い伝えは、ビジネスにおける取引先との関係性向上や企業の繁栄や再興を願う人たちを惹きつけています。

行天宮では関羽を含む5人の神様が祀られていて、「五恩主」と呼ばれています。参拝者に繁栄や祝福をもたらし、さらに災いを避ける力があると信じられています。関羽以外の神様は、唐の詩人・呂洞賓、かまどの神様・灶神張單、宋の道士・王灵官(王天君)、武穆王としても知られる宋の武将・岳飛がいます。 

また、行天宮では代表的な伝統療法である「収驚(お祓い)」を提供しています。これはお祓いに似ていて、職員が依頼者の名前を聞き、恩主である関羽に名前を伝え、その人を保護するよう依頼します。これらの行程は2分ほどで終わります。行天宮の参拝者の多さは、この寺院が重要な場所として認識されているだけでなく、現代の人々が抱く熱烈な宗教的要求を反映しているためです。

今回紹介した寺院は、ただ金銭的な意味合いだけでなく、徳や経済的な繁栄、心の調和を得られる価値のある場所です。回り続ける運命の輪の中において、財神たちは人々にとっての希望と指針を示す灯台であり、あらゆる富が追求する価値のある宝であることを教えてくれています。

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