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書店の再定義:グローバルなつながりと創造性の受容 (TAIPEI Quarterly 2023 冬季号 Vol.34)

アンカーポイント

発表日:2023-12-11

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TAIPEI #34 (2023 冬季号)

書店の再定義:グローバルなつながりと創造性の受容


  Hsinya Teng、Lin
編集 下山敬之
写真 重本書店、桑格設計書店、moom bookshop、朋丁

fs_1▲現在の書店が提供する価値は本だけでなく、お店の雰囲気と空間、そして人々との関係も含まれます。(写真・重本書店)

台北には1999年から世界初となる24時間営業の書店があります。中でも誠品敦南店は2020年の閉店まで、様々な変化を経ながらも愛書家の憩いの場であり続けました。同店の閉店後、24時間営業の書店は誠品信義店に引き継がれ、間もなく誠品松菸店に移されます。誠品書店の存在によって、台北には「読書の町」のイメージが生まれ、世界中で反響を呼ぶようになったのです。

紙の書籍がデジタル時代の苦境にあえぐ一方で、台北の独創的で個性豊かな書店は相変わらず活況を呈しています。多くの書店は、店主のユニークな趣味や個性を反映し、多様で多面的な空間へと進化してきました。これは、書店という物理的な空間が、かけがえのない宝物である確たる証拠です。書店は情熱的なクリエイターが集まり、創造的な感性を磨き、活用する場所なのです。

この記事でご紹介する4つの書店は、いずれもアートとデザインに特化しており、独自の運営方法、空間デザイン、キュレーションによって、この街のクリエイティビティの栄養源となっています。

重本書店  

グラフィックデザイナーの葉忠宜氏が設立した重本書店は、グラフィックデザインとタイポグラフィに重点を置いています。葉氏のグラフィックデザインに対する情熱は、店内の隅々にまで表れています。店内のデザインは「宇宙」という大きなテーマを中心に展開されています。金属製の本棚、ノイズを軽減する発泡アルミニウム製の天井、バルーンライトが浮かぶバー、壁が銀色に塗られたブースなどがあり、読書に没頭できる落ち着いた空間となっています。

fs_3▲▼重本書店は葉忠宜氏が運営する独立書店であり、グラフィックデザインとタイポグラフィ印刷を専門としています。(写真・重本書店)
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店内には、人間工学に基づいた快適さと絶妙な美しさを併せ持つ有名な日本の家具メーカー、天童木工のデザイナーズチェアが置かれています。また、2台の手作りスピーカーが設置され、訪れる人にワンランク上の音楽体験を提供しています。書籍のセレクトから入念に選び抜かれた家具に至るまで、重本書店は自身のコレクションを共有したがっている友人のような存在です。

重本書店は様々な業界の専門家と協力し、テーマに沿った展示会や料理の創作も行っています。例えば、グラフィックデザイナーが企画した坂本龍一展や、熟練のバリスタによる「コーヒー・ファイン・ダイニング」など、顧客がデザインに没頭できるよう、様々な工夫が凝らされています。また、金曜日と土曜日は深夜0時まで営業しているため、台北では珍しい夜遅くまで美味しいお酒と読書を楽めるお店です。

桑格設計書店

1984年創業の桑格設計書店は、おそらく台北で最も古いデザイン関連の書店です。この書店は台北の中心部にある復興北路にひっそりと佇んでいます。店内にはグラフィックデザイン、プロダクトデザイン、建築、インテリアデザイン、ファッション、アニメーション、イラストレーションなど、幅広い分野のアート&デザイン関連の書籍が並びます。桑格設計書店は、品揃えが豊富で配送も迅速なオンライン書店も備えており、デザインの専門家や愛好家にとって貴重な存在となっています。

fs_6▲桑格設計書店の創業者である施安富氏は、快適な読書空間を提供できるよう心がけています。(写真・桑格設計書店)

さらに、数年前の改装で店内がさらに広く開放的になり、デザインワークショップ、展示会、セミナーなどが定期的に開催されるようになりました。2022年には、翻訳・出版のための海外デザイン書籍のキュレーションを開始しています。

fs_5▲40年の歴史を持つサンガー書店は14階にあります。 慣れていないとちょっと見つけにくい不思議な本屋さんです。(写真・桑格設計書店)

桑格設計書店は、同店は台湾のデザイナーの協力のもと、キュレートされた書籍に新たな解釈を与えるブックカバーを制作しています。例えば今年はデザイナーの朱俊達とコラボし、日本のベストセラー書籍『来るべきデザイナー 現代グラフィックデザインの方法と態度』の表紙をリデザインしました。また、日本の新進グラフィックデザイナー40人の作品を紹介する繁体字中国語版を発行し、台湾の読者に海外のデザインの最新トレンドを紹介しています。

fs_4▲『来るべきデザイナー 現代グラフィックデザインの方法と態度』 は、2023年に桑格書店から発売された新刊です。(写真・桑格設計書店)

moom bookshop

2016年にオンライン書店として誕生したmoom bookshopは、その2年後、台北の活気ある東区の路地に実店舗を構えました。同店は、写真に特化した台湾では珍しい書店の一つです。そのミニマルな空間は、多様なキュレーションを展示するための充実したキャンバスとなっています。

fs_7▲豊富な蔵書が特徴のmoom bookshopでは、主に美術や写真関連の書籍を販売しているほか、不定期に写真展も開催しています。(写真・moom bookshop)

紙媒体の書籍はかけがえのないものであるという信念のもと、店主が厳選したヨーロッパ、アメリカ、中国、日本、アフリカの写真集、雑誌、美術出版物のほか、台湾の名著もいくつか並んでいます。

地元の読者と国際的な美術出版社との間の架け橋であるmoom bookshopは、世界中から独立系出版物を集めた書籍の宝庫です。コンパクトなスペースですが、選りすぐりの書籍が集められており、有名写真家の全作品が揃っています。moom bookshopは、台北の著名なクリエイター達にとって、革新的なアイディアを吸収し、新しいインスピレーションを得られる、隠れたスポットでもあるのです。

moom bookshopでは書籍に加え、写真展やテーマ別のブックフェアを定期的に開催しています。長年オンラインコンテンツの制作に携わってきた同店は、写真集に命を吹き込むだけでなく、さらに舞台裏を語ることで写真家にも焦点を当てています。このコンテンツはSNSで人気を博し、台北の写真シーンのクリエイティブなエネルギーを刺激しました。

写真愛好家にとって、このお店は単なる書店ではなく、芸術的な視野を広げ、インスピレーションを得られる、心地よい場所なのです。

朋丁

2016年に設立された朋丁は、中山北路一段の条通商圏にある古い3階建ての集合住宅にあります。リノベされた店内は、書籍、アートの展示、そして美味しい飲み物がシームレスに融合した多機能スペースとなっています。長年にわたり、さまざまな運営方法を模索してきた結果、朋丁は自らを、台北の活気溢れる文化芸術の拠点として再定義するに至りました。

fs_8▲溜まった水のイメージが朋丁のブランドコンセプトで、お店という空間は多角的な想像力を披露するためのプラットフォームであり、人々に豊かな成長を促す場となっています。(写真・朋丁)

創業者であり、出版とプロダクトデザインの経歴、そして芸術への情熱を持つ陳依秋氏さんとKenyon Yeh氏さんは、企画、編集、クリエイティブな発想のプロとしての技能を組み合わせ、この書店を完成させました。英語の「ponding(滞水)」に由来する店名の通り、朋丁はエキサイティングな変容の中で再構成され繁栄する、魅力的な要素とエネルギーが集まる場所といえます。

朋丁は、世界中の独立系出版物、雑誌、ZINE、アート作品をキュレートする、賑やかなハブとしても機能しています。この書店は年間を通じ、イラストレーター、職人、写真家、家具デザイナーなど、多様なアーティストを集めた展示会やセミナーを数多く開催しています。

彼らは訪れた人がクリエイターとの対話を通じてインスピレーションを刺激できる、充実したプラットフォームを提供できるようプロジェクトをデザインします。陳氏とYeh氏の丁寧なキュレーションと入念な再編集によって、アートは新たな次元に到達したと言えます。その過程で、朋丁は従来の書店の定義を超越する存在となりました。創業者がキュレーター及びイベント主催者を務めていることも、その魅力をさらに高めています。

言うなれば、こうした審美的な書店によって、芸術は過去の書店の枠組みから脱却し、多様かつ意外な環境で繁栄することが可能となったのです。

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